約 2,570,012 件
https://w.atwiki.jp/ff0014/pages/42.html
月の監視者 遥か昔、我々が生きた時代。 あの青き星は、ただ「輝く空」と…… 「アーテリス」と呼ばれていた。 月の監視者 ゾディアークもハイデリンも、人が創り出したものだ。 真実と正しさだけでできた、絶対の神ではないのだよ。 月の監視者 人が、過去を過去として、前に向かって進むこと…… それがハイデリンに込められた願いなのだから。 『月を繰る者たち』 月の監視者 先ほども話したとおり、 ハイデリンは万能ではなく、最強でもない。 むしろ、つねに窮地にあると言った方が近いだろう。 月の監視者 だからこそ、彼女は「もしも」に備えていた。 ゾディアークが予期せず消滅した場合の策を、 この月に仕込んでいたのだ。 月の監視者 再び終末に見舞われるアーテリスから、 生命を連れ出す巨大な「船」…… それこそが、月のもうひとつの役目だよ。 『月を繰る者たち』 ウリエンジェ 私はかつて、水晶公からの申し出に…… 彼の命と引き換えに世界を救うことに、力を貸しました。 ウリエンジェ ミンフィリアにしても、第一世界に送り込む手引きをした。 彼女をサンクレッドやフ・ラミンさんから永遠に奪ったのは、 ほかでもない、私なのです。 ウリエンジェ 無論、水晶公もミンフィリアも、 私の行い以上に、彼ら自身の気高い意志と願いによって、 その道を選んだことでしょう。 ウリエンジェ けれど、私が背中を押したことで、 彼らの本当に言いたかった言葉を…… ウリエンジェ 生きたい、という望みを奪っていたのではないかと、 そう思って、足がすくむことがあるのです。 ウリエンジェ ……そのことで苦しみ、迷っているときに、 必ず胸をよぎってしまう考えがあります。 ウリエンジェ アシエンを倒す方法を確立するために…… それによって平和がもたらされると信じて命を捧げた、 ムーンブリダのことです。 ウリエンジェ 私が、ルイゾワ様の弟子としての、 あるいは「暁」としての使命以外に、 目を向けられていれば…… ウリエンジェ あなたの命に勝るものなどないのだと、 ちゃんと伝えられていれば。 彼女は、今も笑っていただろうと思えてなりません。 『薄情なヒト』 月の監視者 これは懐かしい。 ……どうしてその花を? 月の監視者 なるほど、ヴェーネスらしい話だ。 月の監視者 だとすれば、その花を標として進んだ先には、 私たちですら知らない彼女の真意が、 隠されているかもしれないな。 月の監視者 覚えておくといい。 その花は、我々の時代には「エルピス」と呼ばれていた。 月の監視者 エルピス……その名を携え、行くといい。 この先、アーテリスが暗い影に覆われたとしても、 貴殿らが、希望の光を見つけ出せることを願っている。 『青き星の君たちへ』 ノックに続いて、自分の名を呼ぶ声がする。 この声は…… ▼ヤ・シュトラだ ヤ・シュトラ こんばんは、起きていてくれてよかったわ。 ヤ・シュトラ とりあえず……そのまま、動かないでいてもらえて? ヤ・シュトラ ……問題はなさそうね。 ヤ・シュトラ ほら、あなた、第一世界で戦っていたときに、 大罪喰いが放出した光をため込んでいたでしょう? ヤ・シュトラ そういう前科があるから、 ゾディアークを倒しても異変がなかったか、 改めて視ておこうと思ったのよ。 ヤ・シュトラ リーンがいない以上、 気づいてあげられるのは私くらいでしょうしね。 ヤ・シュトラ 仕方のない状況だったとはいえ、 あのゾディアークと真っ向勝負だなんて……。 ヤ・シュトラ その前は別人の身体に入れられていたし、 あなた、何か物騒な呪いでもかけられているのではなくて? ヤ・シュトラ ……というのは冗談だとしても。 第一世界で、アーモロートを訪れたころのあなたの魂は、 本当に亀裂だらけだったのよ。 ヤ・シュトラ 見せられるものなら、戒めに見せてあげたいくらい。 私はもう二度と……あんな痛々しいもの、視たくないわ。 ヤ・シュトラ わかったら、ときには自分を大事になさいな。 それから、何かあったら相談すること。 ……理解できて? ヤ・シュトラ なら、私は退散するわ。 シャーレアンの夜は冷えるから、あたたかくして、 きちんとベッドに入って眠るのよ。 ヤ・シュトラ アジントタ……よい夜を。 『アーテリスの明日』
https://w.atwiki.jp/ff0014/pages/2.html
メニュー 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80-5.0 80-5.1 80-5.2 80-5.3 80-5.4 80-5.5 80-6.0 80-ラヴィリンソス 80-サベネア 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 90-7.0 90-オルコ・パチャ 90-コザマル・カ 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 希望の園エデン ミソロジーオブエオルゼア 暗黒騎士 賢者 トップページ プラグイン紹介 メニュー 右メニュー 更新履歴 取得中です。 ここを編集
https://w.atwiki.jp/ff0014/pages/60.html
戸惑った様子のブネワ族 私が双頭に何を願うか… それを知るには、なぜ同胞たちの大半が、 トライヨラに移住したかを理解する必要があるわ。 戸惑った様子のブネワ族 彼らはね、陽の光を…… 暖かく安全で暮らしやすい環境を求めて出ていったのよ。 この森で生きていくのは、簡単ではないから……。 戸惑った様子のブネワ族 それでも私たちにとっては、 他部族と暮らすことの怖さの方が受け入れがたかった。 戸惑った様子のブネワ族 だからこの森に残って願い続けてきたのよ。 いつか双頭が、この呪われた森から肥沃な土地へと、 マムージャ族だけの安全な場所へと導いてくれることを……。 ウクラマト 豊かな土地を…… それも自分たちだけの土地を求めてたってことか……。 蜜園のブネワ族 私たちの頭上を覆う樹冠を見ればわかると思いますが、 この森は日光が届かないため、農作物が育ちにくい。 蜜園のブネワ族 土を耕し、肥料や水を工夫して、 ようやく芽が出たと思っても、すぐに枯れてしまう。 この森は、呪われているのですよ。 蜜園のブネワ族 唯一まともに育つのはナジュール…… トライヨラの言葉で言うジャティーカバナナくらいのものです。 何百年もそんな暮らしが続けば、嫌になってしまいますよ。 ウクラマト 作物が死ぬ、呪われた森……。 そこから抜け出すために、双頭に頼っていたのか……。 ぶっきらぼうなブネワ族 食料も資源も豊富にある森で、のうのうと生きてきた奴らに、 我らの願いが理解できるはずもない。 ぶっきらぼうなブネワ族 もはや戦いで奪うことでしか、 マムークの同胞たちが幸福に暮らせる路はない……。 ウクラマト だったら探すまでだ、戦い以外の路を……! フビゴ族の商人 はるか昔、この森には豊かな鉱脈があったそうだが、 ヨカフイ族が支配していた時代に、粗方掘り尽くされてね。 フビゴ族の商人 今では、残っている資源と言えば隕石の欠片ぐらいのもの。 そんな状態で、どうやって他の部族と対等な取引ができる? この何もない森で生き続けるかぎり、できるはずもない。 フビゴ族の商人 生まれ育った森で豊かに暮らしていけるなら、 それ以上に幸せなことはないのだが……。 ウクラマト 利用しやすい資源がなく、 商いも上手くはいかないってことか……。 ウクラマト これでひととおり話を聞けたはずだ。 ウクラマト いろいろな意見はあったけどよ、 みんな、この森の貧しさを語っていたよな。 ウクラマト 農作物も育たず、利用しやすい鉱脈も尽きちまった上に、 特産物がないから商いの面でも、不利を強いられる……。 ほかの部族の土地を羨む気持ちも理解できるぜ。 ウクラマト この森に残ってる資源は、 隕石の欠片くらいだなんて意見もあった。 ウクラマト 下の森に入ったときに、エレンヴィルが言ってたよな。 隕石の異質なエーテルが、植生に影響を与えてる説があるって。 それが本当なら、農作物が育たないことと関係があるのかもな。 コーナ 隕石の欠片を調べてみるべきだろうね。 この森の暮らしを豊かにする方法が思いつくかもしれない。 コーナ そして、この森でもっとも強い力を持っているとされるのが、 南にある「幻煌樹」という大樹に取り込まれた隕石の核だ。 サンプルを採取するなら、その近くに行くべきだろう。 ウクラマト マムークのみんな、話を聞かせてくれてありがとな! おかげで、この森が抱えてる問題に、 隕石が発するエーテルが関係してるかもしれねぇことがわかった! ウクラマト それを解決する方法を見つけるために、 今すぐ隕石の欠片を調べにいってくる! 必ず良い結果を持ち帰ってみせるから、信じて待っててくれ! 『星の欠片を集めて』 ウクラマト アタシらがやろうとしてることを、 ゼレージャあたりが知ったら、鼻で笑われるんだろうな。 最後の試練を前にして、何を遠回りしてるんだってさ。 ウクラマト だけどよ、目の前で泣いてる民がいるのに、 それを見て見ぬふりをするなんて、アタシにはできねぇ。 そんな奴が、みんなの笑顔を護る王になれるはずがねぇんだ。 ウクラマト だから今は、これ以上双頭を生み出さなくてもいいように、 この森が抱える問題を何とかしてやりてぇ。 バクージャジャの奴とも、約束したからな。 ウクラマト そのために、今のアタシらにできることはしたつもりだ。 あとは、隕石の欠片を託した兄さんたちの帰りを待つだけだな! コーナ 皆さんいらっしゃるようですね。 全員に結果を聞いていただきたかったので、 声をかけておいたんです。 コーナ 少しお時間をいただきましたが、 お三方のご協力のおかげで、すべてわかりましたよ。 コーナ この問題の本質と……その解決方法がね。 コーナ 先ほど、あなたがたに問いましたね。 なぜ双頭を求めるのか、と。 コーナ 結果、多くの方が、 陽光の降り注ぐ土地を求めていると答えてくれました。 コーナ では、なぜそのように求めるのか……。 その理由は、「ジャティーカ央森」の特殊な環境にあります。 コーナ 皆さんがご存じのように、この森の土壌は豊かだ。 一方で、高い樹冠に陽光の大部分が遮られてしまい、 農作物が育たずに苦労されてきたそうですね。 コーナ 加えて、過去にヨカフイ族が行った大規模な資源採掘によって、 利用しやすい鉱石も枯渇しているという……。 これではシュバラール族の土地を羨むのも、無理はないでしょう。 クルル それだけじゃありません。 ジャティーカ央森には、古の時代に天から降り注いだ星…… つまり、隕石の欠片が今も残っています。 クルル これを分析したところ、 特殊な波長のエーテルを発していることがわかりました。 クルル 私たちがジャティーカバナナと呼ぶ、 隕石が放つエーテルに耐性のある植物ならともかく…… 多くの農作物にとって、これが発育の妨げになっていたんです。 コーナ ですが、それも今日で終わりです。 エレンヴィル 原因がわかれば対処できるってことだ。 俺が働いてるシャーレアンって国には、 世界各地から集めた植物のサンプルが大量にあってな。 エレンヴィル その中には、隕石が発するエーテルにも耐えるどころか、 それを糧にして、よりよく育つ農作物だって存在する。 エレンヴィル リンクパール通信を駆使して、 同僚たちにも確認したから間違いない。 上にも掛け合って、提供の約束も取りつけてある。 アルフィノ かつてエオルゼアは、トラル大陸からポポトやトマトなど、 さまざまな作物をもらい、食卓を豊かにしてきました。 今度は、その恩返しをする番です。 フビゴ族の商人 私たちも、ナジュール以外の作物を、 栽培できるようになるのか……? アルフィノ ええ、そのとおりです。 環境に悪影響を与えないよう慎重に事を進める必要はありますが、 新たな名産品が生まれることも期待できるでしょう。 ウクラマト 双頭という力に頼らなくたって、お前らは生きていける。 この森の呪いを、恵みに変えてな! ぶっきらぼうなブネワ族 俺たちは、もとより戦う必要など…… 無辜の命を犠牲にすることだって……なかったのか……。 戦のバクージャジャ オレたちの罪は、どうしたって消えるもんじゃねェ。 だとしても、これ以上の犠牲をなくせるんだったら、 やるべきことはひとつなんじゃねェか? 魔のバクージャジャ 「双血の教え」は、もう終わりにしようよ。 ウクラマト 絶対的な力を捨てるってのは、簡単なことじゃねぇと思う。 だからアタシが、お前らに証明してみせる。 ウクラマト 教えや力に縋らなくても、みんなで手を取り合えば、 どんな困難だって超えていけるってな! ぶっきらぼうなブネワ族 だったら俺は……ウクラマト王女を、信じたい……。 戸惑った様子のブネワ族 私たちだって、多くの子どもを犠牲にする行いを、 なんとも思ってないわけじゃないもの……。 ウクラマト 王女らしくしねぇとって、虚勢を張って生きてきたアタシが、 素直に誰かを頼れるようになったのは、お前らのおかげだ。 ウクラマト だからよ、あいつらにも何か一言かけてやってくれねぇか? ▼強力しあえば、ヴァルガリマンダだって倒せる ぶっきらぼうなブネワ族 グルージャジャ様ですら、封印するに留まった、 あのトラルヴィドラールを倒したのか!? ウクラマト みんなに伝えたかったことは、これで全部だ! ウクラマト アタシらはマムークに戻って、「友の試練」に挑む。 そして……「双血の教え」に頼らない、 新たな路を切りひらいてみせる! ぶっきらぼうなブネワ族 ……なら、必ずゼレージャ様の試練を打ち破ってくれ。 いま語った言葉が夢物語ではないと、 我々に信じさせてほしい……。 ウクラマト へっ、任せとけ! ウクラマト そうだ。 ゼレージャにも隕石のことを教えてやらねぇとな。 あいつだって、腹いっぱい美味いもん食いてぇだろうしよ! コーナ そんなこと、僕は思いもしなかったよ。 これが君との差、か……。 コーナ ならば、僕は……! 戦魔のバクージャジャ 頼むぞ、ウクラマト……。 『友の試練』 ウクラマト ゼレージャ! 最後の試練を始めようぜ! ゼレージャ ふん、何をしていたのか知らんが、悪あがきは終わりか。 ウクラマト ああ、よくわかったぜ。 マムークのことも、お前らのことも。 ゼレージャ それを知ったところで何だと言うのだ? ウクラマト お前の言う「双頭を超える」ってのがどういうことなのか、 アタシなりの答えが出た。 ウクラマト マムークの連中が笑えていないのは、 自分たちが背負った罪の重さに苦しんでるからだ。 ウクラマト だからアタシは、オヤジの幻影を超えることで、 「双血の教え」をぶっ壊す!! ゼレージャ 何を言うかと思えば……「双血の教え」を壊すだと? 我々は双頭なくしては生きてはいけぬ、 弱者の集まりだというのに! ウクラマト そりゃ、ひとりひとりの力はちっぽけなもんさ。 ウクラマト だけどよ、みんなで手を取り合ってひとつになれば、 ヴァリガルマンダだって倒せるほどの、大きな力になるんだ!! ゼレージャ くだらぬ……ならば証明してみよ。 トラル大陸の歴史上、最強の存在である、お前の父親を相手に! ウクラマト へっ、上等だぜ。 トライヨラを受け継ぐ身として、 オヤジの幻影なんかに負けてられるかよ! コーナ 僕もラマチとともに戦います。 ゼレージャ 困りますな、第二王子殿。 この試練では、候補者同士の共闘は認めていない。 せいぜい、妹君がなぶられる様を見学しているのだな。 コーナ 候補者同士……ですか。 それなら……! コーナ これで、僕は継承候補者ではなくなった。 ラマチに協力するのだって、自由のはずです。 ゼレージャ どういうつもりだ。 コーナ ここまでの旅でわかったんですよ。 父上の跡を継ぐに相応しい人物が、誰なのかということがね。 コーナ トライヨラの人々を幸せにできるのは…… ゾラージャ兄さんでも、バクージャジャでも……僕でもない。 コーナ どんなときも、民の笑顔を護ろうとしている……君だけだ。 だから僕は、全身全霊をかけて、ラマチを王にしてみせるよ。 コーナ それが、僕に機会をくれた父上と、 トライヨラのためにできる、最大の恩返しになると信じて! ウクラマト ありがとよ。 やっぱ、コーナ兄さんは頼りになるぜ! ゼレージャ ふん、好きにするがいい。 所詮は劣等種、何人集まろうが同じことだ! ゼレージャ いでよ、トラル史上最強の双頭…… グルージャジャよ! ウクラマト みんな、準備はいいか! ウクラマト さあ行くぜ、オヤジ! アタシを信じてくれる奴らの想いに応えるため…… アンタを超えてみせる!! 武王グルージャジャ 旅で磨いた「武」を見せてやろう! 理王グルージャジャ 歩んで知った「理」とともに……。 ウクラマト 証明してやるよ! みんなで手を取り合えば、双頭だって超えられるって! アルフィノ 魔力が凝縮して… ならば! ウリエンジェ お守りします サンクレッド 周囲に警戒を! 来るぞ! コーナ ぐっ… さすが…理の父上…! 武王グルージャジャ ヴァリガルマンダの鱗すら 切り裂いた剣技だ!! ウリエンジェ 太刀筋を見極めるのです… ウリエンジェ コーナ王子 これを! ウクラマト ぐっ… さすが武のオヤジ! 理王グルージャジャ 炎の刃よ、降り注ぎなさい……! アリゼー なっ…負けてなんか…! アルフィノ アリゼー! 大丈夫かい…? クルル なんて… 圧力なの…! 武王グルージャジャ そらそら! 武王グルージャジャ グハハハハハ! ウクラマト 離れろ、みんな! 理王グルージャジャ やれやれ… 理王グルージャジャ 喧嘩バカはこれだから……長引く前に終わらせますよ。 クルル 勢いを削ぐわ! 理王グルージャジャ さあ行きなさい アルフィノ 援護する! 武王グルージャジャ 指図するんじゃねぇよ 理王グルージャジャ これはどうです? コーナ 火属性の術式… 理の父上の策です! ウクラマト な、なんだ!? 炎で身動きが…! サンクレッド やってくれる…! アルフィノ 理王の魔法か!? ウリエンジェ これは…! コーナ 身動きを封じられたようですね。 全員でカバーを! クルル 炎の縛めを狙って! 理王グルージャジャ わたくしの炎からは逃げられませんよ? コーナ ラマチを護ってみせるッ! コーナ 破壊しきれなかったか! それでも……みんなの力が合わされば! ウクラマト ありがとな! 頼りになるぜ…! コーナは、炎の縛めを壊した。 アルフィノ ありがとう…! アリゼーは、炎の縛めを壊した。 サンクレッド 悪い、助かった…! クルルは、炎の縛めを壊した。 ウリエンジェ 感謝を… アリゼーは、炎の縛めを壊した。 アリゼー これでどう…! ウリエンジェ お守りします アルフィノ 援護する! 理王グルージャジャ 炎の刃よ 降り注ぎなさい 武王グルージャジャ 何者か知らんが、なかなか楽しませてくれる! 理王グルージャジャ これを受ければ、諦めもつくでしょう? ウクラマト うわぁっ! コーナ なにっ サンクレッド うおっ!? ウクラマト みんな、アタシの後ろに来い! なんかやばそうだ! コーナ わかった…! アリゼー …任せるわ! アルフィノ 了解だ…! クルル ええ! 武王グルージャジャ こいつを受けてなお、立ってられるか? コーナ 手を貸しますよ アルフィノ 支えてみせる…! サンクレッド 援護する! ウリエンジェ 支援いたします 燃えよ天道、進めよ吾道 発動まで 5 燃えよ天道、進めよ吾道 発動まで 4 燃えよ天道、進めよ吾道 発動まで 3 燃えよ天道、進めよ吾道 発動まで 2 燃えよ天道、進めよ吾道 発動まで 1 ウクラマト アタシは……みんなの笑顔を護る王になるんだぁぁぁ!! ウクラマト ま、負けねぇ…! ウクラマト へへっ……。 アンタの力はそんなもんかよ! 武王グルージャジャ オレの全力を受けきるとはな。 だが、まだだ! コーナ あなたを超えて、ラマチを王にしてみせる! トライヨラの未来のために! ウクラマト みんなを… 守ってみせるッ…! ウクラマト はぁ、はぁ…… 幻影とはいえ、さすがの強さだったぜ……。 ゼレージャ このような結果……私は認めんぞ! ???? この期に及んで、往生際が悪いんじゃないか? アルフィノ ルガディン族……まさか! ウクラマト タンカのじいさんじゃねぇか! ひっさしぶりだなぁ! タンカと呼ばれた老人 よう、ウクラマト。 少し会わないうちに、いい面構えになったな。 アルフィノ タンカ……? タンカと呼ばれた老人 タンカというのは、 グルージャジャにもらった、こっちでの通名だ。 元の名前は、マムージャ族の舌じゃ発音しにくいらしい。 アルフィノ あなたの本名……ケテンラムとおっしゃるのでは? ウクラマト えぇぇぇぇぇぇぇ! ウクラマト ケテンラムってあれだろ、 エオルゼアのすっげぇ船乗りの……!? ケテンラム ま、その話はあとだ。 ケテンラム ゼレージャ。 この子らは、お前が出した試練を超えてみせたじゃないか。 ケテンラム それを認めないということは、お前に連王の選者を任せた、 グルージャジャの信頼を裏切ることになるんだぞ。 ゼレージャ 超えたと言っても、数に物を言わせてではないか! ▼マムークの長としての誇りを見せてくれ ゼレージャ ふん、私の誇りなど、もはや残っておらん。 すべて、この試練に懸けてきたのだからな。 ゼレージャ ……故にこそ、容易に打ち破れる試練でなかったことは、 私自身がよくわかっているが。 ウクラマト みんなで手を取り合えば、オヤジだって超えられるんだ。 もう、双頭ひとりに願いを背負わせる必要はねぇのさ。 ゼレージャ ならば、我らにどうしろと言うのだ。 ウクラマト ともに生きようぜ、みんなでさ。 ゼレージャ お前が本気で王を目指すつもりなら、 そう安々と、ともに生きようなどと言うべきではない。 特に、多くの赤子の命を奪ってきた男に向けてはな……。 ゼレージャ だが、連王の選者としての使命は果たそう。 ウクラマト王女が「友の試練」を超えた証として、 この秘石を授ける。 コーナ おめでとう、はまだ早いかな。 いずれにしても、君たちならきっと黄金郷を見つけられるさ。 コーナ 君はもう、僕が護ろうとしてきた、 か弱い妹なんかじゃない。 コーナ この旅をとおして、次代の王として相応しい成長を遂げた。 兄として、とても喜ばしく思うよ。 ウクラマト 兄さん……ありがとな。 コーナ ここまでのご協力、ありがとうございました。 遠いところまでお越しいただいたのに、 ご期待に添えず……すみません。 サンクレッド 謝る必要なんてないさ。 お前がウクラマト王女を信じて王位を託したなら、 俺たちは、その選択を信じるだけだ。 コーナ それから…… 最後ぐらい、想いを言葉に乗せてみようと思います。 慣れていないので、月並みな言い方になってしまいますが…… コーナ おふたりに出会えて、良かったです。 ウリエンジェ あなたの気持ち、たしかに届きました。 ウリエンジェ 私たちの旅はここで終わりですが、 3人で紡いだ思い出は、この胸に残り続けるでしょう。 サンクレッド ああ。 また俺たちの力が必要になったときは呼んでくれ。 お前のためなら、すぐに駆けつけるさ。 サンクレッド それに、まだ俺たちの依頼は終わっちゃいない。 依頼主を無事に、王都へと送り届けるまではな。 コーナ 皆さん! 大切な妹のこと、頼みましたよ! 『友の試練』 ウクラマト 約束どおり、「友の試練」を超えて証明してきたぜ。 手を取り合えば、あのオヤジが相手でも、 打ち破ることができるんだってな。 ミーラジャ ふふ、信じていたわ。 あなたたちなら、やってみせるだろうって。 フビゴ族の商人 ウクラマト王女は、宣言どおりに示してみせた。 ならば、次は我らが応える番ではないだろうか。 蜜園のブネワ族 双頭に縋る必要がないとわかれば、 罪悪感に苛まれながら「双血の教え」に従う必要もありません。 今後は、ほかの部族と手を取り合うことだって……。 戸惑った様子のブネワ族 でも、どうやって……? ウクラマト 同じ大陸で生まれても、同じ村で育っても、 同じ毛の色をしていたって、アタシらはそれぞれ別の人間だ。 ウクラマト だから、違うところがあって当たり前なのさ。 その違いにびびって、相手を遠ざけちまうのはもったいねぇ。 まずは、そいつのことを知ることだ。 ウクラマト そうして深く知っていくうちに、 気づけばそいつのことを気に入っちまうことがある。 ウクラマト 好きになった奴らとなら、真正面から向き合える。 知らずに嫌って憎み合うより、よっぽどいいだろ? ウクラマト 最初の一歩は怖ぇかもしれねぇけど、 踏み出してこそ、前に向かって進むことができるのさ。 フビゴ族の商人 まずは相手のことを知ること、か……。 たしかに、我らは他部族のことを知ろうともしてこなかった。 フビゴ族の商人 だが、これまでの罪をなかったことにして、 今さらトライヨラの一員になるなど、許されるのだろうか。 ???? 待て。 ゼレージャ 「双血の教え」を信奉する者たちの中には、 双頭を生むことが犠牲を伴うのだと知らない者もいたはずだ。 歴代の族長が、ひた隠しにしてきたからな……。 ゼレージャ ゆえに、マムークが犯してきた罪の責は、 族長たる私にのみある。 犠牲になった命に対する償いは、我が命をもって果たそう。 ゼレージャ だからどうか、ウクラマト王女…… 彼らに累が及ばぬよう取り計らってはくれまいか……。 ウクラマト そりゃもちろん構わねぇけど、 死んで罪を償うって話は聞けねぇな。 ウクラマト お前が命を投げ出せば、 生きているバクージャジャの心に重荷が残っちまう。 ウクラマト ゼレージャ、責任を感じてるのなら、 お前が率先して、ほかの部族に語り聞かせてくれよ。 マムークの文化を、みんなの想いを知ってもらうためにな! ウクラマト それに、言っただろ。 ともに生きよう……ってさ。 ミーラジャ あなた……もう一度、やり直しましょう。 ショブリト灰戦場でシャブルク・ピビルが生まれた、 あの日から……。 ミーラジャ ありがとう、ウクラマト王女。 私たちのことを、知ろうとしてくれて……。 『友の試練』 ウクラマト んじゃ準備も出来たところで、 さっそく黄金郷探しに出発しようぜ! どこから始める? ???? 提案があるわ。 ミーラジャ 黄金郷を探しているのでしょう? ひとつだけ、思い当たる場所があるの。 ウクラマト ミーラジャ……! それにゼレージャまで……!? ゼレージャ 私は黄金郷について口にするつもりはない……が、 彼女の意志で話そうとするのを、わざわざ止める理由もない。 ウクラマト んじゃ、ありがたく聞かせてもらうぜ! ミーラジャ 長年この森で暮らしてきた私たちにも、 一カ所だけ、深くまで立ち入ったことのない場所があるの。 黄金郷がこの森にあるとすれば、きっとそこよ。 ミーラジャ あなたたちに双頭の真実を伝えた場所、ゴクドラーク岩窟…… その奥に大きな扉があったでしょう? ミーラジャ 扉の向こうは、双頭の代償となった赤子たちの魂が眠る慰霊堂。 「天(あま)深きセノーテ」と呼ばれているわ。 ミーラジャ 「双血の教え」の信奉者ですら、 入口付近しか立ち入ることを許されておらず、 その深部がどうなっているのかは誰も知らないのよ。 ウクラマト そんなところにアタシらが入っていいのかよ? ゼレージャ ……「双血の教え」を捨てるからには、 禁足地の掟も過去のものとする必要があるだろう。 ゼレージャ それに、私たちがやってきた行いを白日の下に晒してこそ、 皆がその過ちに気づくことができるはずだ。 ゼレージャ いずれは、あの暗く冷たい水の底で眠る子らを、 もっと安らかに眠ることができる場所に移すつもりだ。 ウクラマト いい考えだな! そのときは、アタシにも手伝わせてくれよ! ミーラジャ それに、天深きセノーテについて、 こんな話を聞いたことがあるの。 ミーラジャ およそ20年前に、異国の魔道士を連れたグルージャジャ様が、 天深きセノーテを訪れたらしい、と。 クルル きっと、おじいちゃんのことだわ! ゼレージャ 連王が訪れた目的はわからぬが…… あの場所は、ヨカフイ族が石切場として掘った遺跡を、 我々が秘した慰霊堂として、再利用した経緯がある。 クルル ヴォーポーローさんもこう言っていたわね。 かつて、ヤクテル樹海で採石に携わっていたヨカフイ族が、 黄金郷の夢を視た、と……。 クルル そしてその後、 おじいちゃんが連王とともに天深きセノーテを訪れている……。 きっとこれは、偶然の一致なんかじゃない。 ウクラマト 本当にありそうじゃねぇか……! 天深きセノーテの奥に、アタシたちが探してる黄金郷が! ウクラマト ありがとよ、ふたりとも! 絶対に黄金郷を見つけてくるからな! ミーラジャ 天深きセノーテに降りるなら、 私たちが使役している飛獣を使うといいわ。 バクージャジャの鱗を持ってるあなたたちには、従うはずよ。 ミーラジャ 信じてるわね。 あなたが、私たちの王になることを。 ウクラマト よし、そうと決まればすぐに行こうぜ! 目指すはゴクドラーク岩窟の先……「天深きセノーテ」だ! 『黄金郷に至る路』 ウクラマト ここが、双頭の代償となった子どもたちが眠る慰霊堂…… 天深きセノーテへの入口ってわけか。 エレンヴィル 継承の儀のためとはいえ、 赤子たちの魂が眠る場所に踏み込むのは気が引けるな。 ウクラマト せめて祈りを捧げておこうぜ。 眠りを乱すことがないようにさ……。 ウクラマト さあ、行こうぜ。 ウクラマト これが、お前たちとの旅の終わりになるかもしれねぇし、 ちゃんと最後まで、この路を進みたいんだ! 『黄金郷に至る路』 クルル ここは、ヨカフイ族の遺跡と聞いていたけれど…… この発光する奇妙な石材も、彼らの文明の産物なのかしら? エレンヴィル いや……こんな物、これまで一度も見たことがない。 クルル だとしたら、さらに古い時代の文明のもの、ということ? アリゼー まさか、また古代アラグ帝国絡みじゃないでしょうね。 アルフィノ 詳しく調べてみないことには断定できないが…… 見た限りでは、アラグの魔科学とは別系統のように思う。 クルル 黄金の光……まさか、あそこが……? ウクラマト 向こうに何か見えるけど……どうやって渡ればいいんだ? エレンヴィル これで渡れそうだな。 ウクラマト よ、よし……行ってみようぜ。 クルル 見て、あの扉を覆っているのは、 シャーレアン製の封印機構よ! ウクラマト どうやったら開けられるんだ? アルフィノ こっちに来てくれ! アルフィノ ウクラマト、ここに石板を嵌めてみてくれないか? ウクラマト さすがアルフィノだぜ! ウクラマト ここが、黄金郷……なのか? クルル どうかしら……。 ヨカフイ族たちが視たという夢の光景とは、 似ても似つかないように思えるけれど……。 ???? グハハハハハ! よくぞここまでたどり着いた! 武王グルージャジャ 見事、継承の儀をやり遂げたな、ラマチよ。 ウクラマト じゃあ……やっぱりあれが「黄金郷」への扉なんだな。 ウクラマト アタシら……最後まで、やり遂げることができたんだ……! 武王グルージャジャ 喜びよりも、疑問が上回ってるって様子だな。 クルル 見たことのない石材といい、これまで旅してきたトラル大陸と、 なんだか結びつかなくって……。 クルル あの扉の向こうにあるものは……黄金郷とは、いったい……? 武王グルージャジャ 疑問はもっともだが、ただひとつ確かなのは、 この扉の向こうに伝説の黄金郷が広がっているということだ。 今は訳あって開くことはできないがな……。 武王グルージャジャ 黄金郷とは何なのか、なぜ隠しているのか…… そして、ガラフ・バルデシオンに依頼した調査の内容……。 武王グルージャジャ 継承式のあと、ラマチにはすべてを話そう。 その後、真実をどう扱うかは、お前が決めればよい。 エレンヴィル 何にしても、黄金郷は実在する……。 エレンヴィル ……ずいぶん遅くなったが、ここまで来たぞ。 武王グルージャジャ さあ、トライヨラへ帰るぞ! ウクラマト ああ! 『黄金郷に至る路』 コーナ あなたに、伝え忘れていたことがあります。 コーナ ラマチが無事に旅を終えることができたのは、 皆さんの……特にあなたの協力があったからでしょう。 コーナ ……兄として、感謝しています。 ▼ウクラマトが頑張ったからだ コーナ それと、ラマチからあなたへの言伝を預かってきました。 継承式が終われば、彼女はこの国の王となるわけですが…… コーナ あなたには、ラマチが作る新たな政権の、 要職に就いていただきたい……とのことです。 コーナ 僕としては、若干の嫉妬を覚えないわけではありませんが……。 コーナ 急な話ですから、驚くのも無理はありません。 継承式の後、彼女から改めて要請するつもりのようですので、 答えはそのときでいいでしょう。 コーナ ラマチとともに、この国を護っていくのか…… それとも、また次の旅に出るのか…… どちらを選ぶもあなたの自由です。 コーナ 言伝は以上です。 たしかに伝えましたよ。 コーナ これは僕の個人的な願いになりますが…… あなたには、これからも彼女を支えていただきたい。 コーナ 今回の旅は、ラマチにとって特別な経験だったようですから。 兄としては、少し悔しいですがね……。 『新たなる夜明け』 武王グルージャジャ 愛すべきトライヨラの民たちよ! よくぞ集まってくれた! 武王グルージャジャ これより、現国王であるわしの退位…… そして、次期国王の即位を宣示するべく、継承式を執り行う! 武王グルージャジャ ……とまぁ、堅苦しいのはここまでだ。 さっそくだが、伝説の黄金郷を見つけ出し、 継承の儀を勝ち抜いた、次代の王を紹介させてもらおう! 武王グルージャジャ 我が娘、ウクラマトだ! ウクラマト ……旅に出るまで、アタシは知らなかった。 それぞれの部族が、今日まで大切に受け継いできた、 文化を、歴史を、願いを。 ウクラマト この街で暮らしてるだけで、 トライヨラのすべてを知った気になってたんだ。 ウクラマト でも、ハヌハヌ族の集落では、 イヒーハナ祭に込められているのが、 すべての命に繁栄を願う祈りだと知った。 ウクラマト ペルペル族が大切にしているアルパカが、 どんなふうに育まれているのかも知ったよ。 そしたら、苦手だったはずのアルパカを好きになっちまった。 ウクラマト モブリン族と壺匠の関係を知ったら、 彼らが力を合わせて生み出す創作物のすべてが、 今まで以上に輝いて見えるようになった。 ウクラマト ヨカフイ族の歴史や思想には、胸を打たれた。 人が死ぬのは、肉体的な終わりを迎えたときじゃない、 誰かの心から忘れ去られたときだってな。 ウクラマト 400年以上も争い続けた、シュバラール族とマムージャ族が、 和平を結んだことで生まれた、シャブルク・ピビル。 その美味さは、平和の意味を教えてくれた。 ウクラマト それから……マムークでは双頭に願いを託す連中に出会い、 悲しみの歴史を知った。 ウクラマト でも、彼らが感じてきた苦しみに向き合い、 それを取り除く希望を見つけ出して、手を取り合うことができた。 あいつらは、これからトライヨラと交流を始めるだろうぜ。 ブネワ族の老人 「双血の教え」の人たちが、ほかの部族を受け入れた……? ウクラマト王は、どんな魔法を使ったの……。 ウクラマト とまぁ、トライヨラの愛すべき文化や人々に出会えた一方で、 この国には、まだたくさんの問題が残ってることもわかった。 ウクラマト コザマル・カでは、メシが食えず盗賊行為に走る奴らがいた。 ヨカフイ族の一部には、未だに戦いを望む連中もいる。 誰もがみんな、平和で幸せに生きてるわけじゃねぇ。 ウクラマト それに、アタシが旅してきた土地以外にも、 まだ出会ってねぇ、多くの部族が暮らしてる。 知らない文化も、歴史も、願いも山ほどあるはずだ。 ウクラマト だからアタシはトライヨラの王として、 みんなのことを、もっと知り、もっと好きになって、 笑って暮らしていける国にしていきたい。 ウクラマト だってアタシは……この旅で見てきたみんなの笑顔が、 何よりも好きだからだ!! ウクラマト ところでよぉ、 王になれるのはひとりだけ、なんて決まりはねぇよな!? エレンヴィル あいつ……何を言い出すつもりだ? ウクラマト みんなも知ってのとおり、 アタシのオヤジには頭がふたつある。 武王と理王、ふたつの心が力と知恵を合わせて国を興したんだ。 ウクラマト そんな国を、さらによく変えていこうとするなら、 未熟なアタシの力だけじゃ、無理ってもんだ。 ウクラマト だからよ、アンタの知恵を貸してほしい。 ウクラマト アタシとともに、この国の王になってくれ……コーナ兄さん!! コーナ 本気なのかい、ラマチ。 ウクラマト アタシが武王で、兄さんが理王……ふたり合わせて新たな連王! ってのはどうだ? 武王グルージャジャ グハハハハハ! 武王グルージャジャ ま、いいんじゃねぇか? 王がふたりいたところで、困るこたぁねぇしな! 武王グルージャジャ すべては、民がそれを受け入れるか、否かだ。 コーナ ……僕は、シャーレアンへの留学を経て、 外つ国の技術を伝え、広めてきました。 コーナ その結果、ヨカ・トラルでは気球が飛び、 サカ・トラルでは鉄道が走り始めています。 コーナ トライヨラの技術力と生活水準を高めることで、 他国に対して国力を示し、侵略に対する抑止力とする。 それが、僕なりの国防戦略だったのです。 コーナ ですが、僕はみなさんが大切に受け継いできた文化に、 あまりにも無関心で、無理解だった。 コーナ 文化とは……人が脈々と受け継いできた、生きた証。 僕は継承の儀をとおして、その尊さを知りました。 コーナ もしも、僕のことを認めていただけるなら、 皆さんに寄り添った方法で、この国を豊かにしていきたい。 それが、先代より理王を受け継ぐ者としての責務だと信じて。 コーナ 何よりも、皆さんには幸せであってほしい。 それが、僕の……素直な想いです。 ウクラマト へへっ。 こいつが無駄にならずに済んでよかったぜ! ウクラマト こいつは、アタシとコーナ兄さんが王となったことを描いた、 トライヨラ叙事詩の新章……さしずめ「継の章」ってところか! コーナ まったく……継承式を前に忙しそうに走り回ってると思ったら、 これを造らせていたわけか。 ウクラマト 言っとくが、ただの思いつきじゃねぇぜ? 継承の儀を経て、アタシがたどり着いた答えさ。 武王グルージャジャ ともかくこれで、長らく不在にしてた理王が、 戻ってきたってことだな。 武王グルージャジャ 隠してても、我が子にはわかっちまうか。 武王グルージャジャ こいつが死んじまって、もう3年になる。 トナワータ族の青年 そんな……理王様がお亡くなりになっていたなんて! ハヌハヌ族の老人 とても、とても、悲しい……。 ウクラマト そうじゃなきゃいいとは思ってたが……。 武王グルージャジャ 黙ってて悪かったな。 だが、こいつは最後の最後まで理王としての責務を果たした。 継承の儀が、それよ。 武王グルージャジャ 王が代替わりするなんざ、トライヨラにとって初めてのこと。 理王は死ぬ間際まで、計画を進めてたのさ。 この国を想い、この国を生きる奴らのことを想ってな。 武王グルージャジャ ったく……決めるだけ決めたら、 あとはわしに押しつけて逝っちまいやがって。 武王グルージャジャ ま、お前たちふたりが「連王」を受け継いでくれて、 こいつも満足してるだろうさ。 武王グルージャジャ 多少、予想外のことはあったが……これにて継承式は終いだ! 武王グルージャジャ 新たな連王とトライヨラに、輝かしい栄光があらんことを! クルル ウクラマトさん、とても立派だったわ。 クルル まさか継承式の場で、コーナ王子を理王に指名するだなんて、 想像していなかったから、少し驚いたけれど……。 クルル あの兄妹(ふたり)なら、 互いに支え合って良い国を作っていけるって信じているわ。 『新たなる夜明け』 ウクラマト よう、みんな! ウクラマト 継承式を見にきてくれて、ありがとよ! 上からも、みんなの顔がよく見えたぜ! アリゼー なかなか様になってたわよ、武王ウクラマトさま。 ウクラマト だから、そういうのはよせって! ウクラマト 互いの肩書きなんてどうでもいい。 お前らは、ともに旅しながら心を通わせた仲間…… もはやアタシにとっちゃ、家族も同然の存在だ。 ウクラマト なんて…… そう思ってるのはアタシだけか? ▼そうだな、ラマチ ウクラマト ラマチ……。 クルル 家族も同然と言ってくれるのなら、 私もラマチって呼んでもいいかしら。 アリゼー ま、もう短い付き合いでもないしね。 私も呼ばせてもらうわよ、ラマチ。 アルフィノ では、私も。 構わないかい? ウクラマト 言っただろ、家族も同然の存在だって。 そう呼んでくれたら、アタシも嬉しいぜ。 ウクラマト へっ、なんか照れくせぇな! 『すべての路は希望とともに』 ウクラマト それで、お前にはもうひとつ話があるんだけどよ…… コーナ兄さんから聞いてるだろ? ウクラマト お前をこの国の要職に就けたいって話、 言っとくがアタシは本気だぜ。 ウクラマト これからも、そばにいてほしいんだ。 ウクラマト ……ま、無理強いするつもりはねぇ。 ただ、お前が旅を続けていく先に、 そういう道も選べるんだって、知っておいてほしくてよ。 ウクラマト そうそう、こいつを渡しておかなくちゃな。 ウクラマト 大陸の北側、サカ・トラルへの通行許可証だ。 トラル大陸には、お前が歩いてない土地がまだまだある。 ウクラマト 冒険者なら、惹かれるだろ? ウクラマト あーあ! これで、お前らとの旅も終わっちまうんだな……。 ウクラマト ……こんなアタシを、仲間と認めて、 最後までともに旅をしてくれたこと。 ウクラマト お前らには、どれだけ感謝してもしきれねぇよ。 本当に、ありがとな。 ウクラマト さてと、こっからはやることが山積みだ! 王としての公務も覚えなきゃならねぇし、 黄金郷についても、オヤジから聞かなきゃならねぇ。 ウクラマト そこで知ったことをどうするにせよ、 一緒に旅したお前らには必ず報告する。 ウクラマト それまで好きに過ごしててくれて構わねぇから、 折を見て連王宮に寄ってくれよな。 エレンヴィル 俺は、まだしばらくこっちに残るつもりでいる。 シャーレアンに戻ってグリーナーの仕事を再開する前に、 会っておきたい相手がいるからな。 ウクラマト お前らはどうだ? アルフィノ もとは、ガレマール帝国と諸国の関係改善を図るべく、 多部族国家のトライヨラから学びを得るための旅だった。 アルフィノ シュバラール族とマムージャ族に対話の機会を与えた前連王、 そして「双血の教え」を知り、彼らと手を取り合ったラマチ…… 両者がもたらした融和を見て、あらためて実感したよ。 アルフィノ 他者を受け入れるということは、 まず相手を知ることから始まるのだ、とね。 アリゼー 今回の継承の儀で、ラマチがトライヨラの人々を知ったように、 思いもよらない方法で、他人を知ることだってあるはず。 アリゼー あとは、どうやってそれを促すか…… もう少しこの国を見て回らせてもらいながら、考えるつもり。 クルル 私は、引き続きこの街に滞在してもいいかしら? ラマチがグルージャジャさんから黄金郷について聞いたら、 すぐに共有してもらえるように……。 ウクラマト もちろんだ! 宿も引き続き押さえてあるから、遠慮なく使ってくれ! アリゼー あなたはどうする? もらった通行許可証でサカ・トラルを見に行くとか? ▼そのつもり アリゼー そう言うだろうと思ったわ。 まだ半分も楽しい冒険が待ってるなんて知ったら、 じっとしてられるわけないもの。 エレンヴィル なら、一緒に行かないか? エレンヴィル 俺の会っておきたい相手っていうのが、 前に話した師匠のことでな。 都合、サカ・トラルにある故郷に里帰りするつもりだ。 エレンヴィル おたくにこれといった目的がないなら、 道すがら、簡単なガイドをするくらいはできるが……どうだ? ウクラマト それじゃみんな、いったんここでお別れだ。 ウクラマト 元気でな! あばよ!! 『すべての路は希望とともに』 ――一方 天深きセノーテ 最深部 ゾラージャ これが、黄金郷への扉……。 こんな場所へ到達することが、王の条件であったと……? サレージャ 20年ほど前、私はグルージャジャ様に命じられ、 外つ国の賢者に黄金郷の調査を依頼する手紙を代書しました。 サレージャ 実際、調査は行われ…… 連王は遺跡の力を恐れるあまり、封印を施したのだとか。 継承の儀は、その封を開くためのものだった、と……。 サレージャ それにしても、あのタンカが遺跡の守人として、 すべての秘石を持っていたとは。 面倒な試練など経ずとも、よかったわけですな。 サレージャ さてさて、この先にいかなる力が眠っているやら。 グルージャジャ様が恐れるほどのものとなれば、 王座を奪うのにも役立ちましょう……。 ゾラージャ 言うは易しだな。 新たな連王は未熟なれど、私が敗れた父上の幻影を破った相手。 あのふたりから王位を簒奪するのは、容易ではない。 サレージャ 連王の血を受け継いだ奇跡の子が、こうも弱気になられるとは。 ですが、どうかご安心を。 サレージャ 扉の「鍵」にございます。 王宮の宝物庫に保管されておりましたが、 継承式で警備が薄くなったところを狙えば、このとおり。 サレージャ あなた様はただ、扉を開けさえすればいい。 継承の儀の結果も、幻影相手の勝敗も、 もはや取るにたらぬ些事……。 サレージャ さあ、この「鍵」を用いて、真なる王となるのです! サレージャ おお、これは……!? 扉の先から響く声 だれか……える……!? 扉の先から響く声 ……やっと繋がった! サレージャ いったい何者だ、姿を現せ! 扉の先から響く声 そうしたいのは山々だけど、ゲートを開くことはできないんだ。 でも、キミが手にしているはずの、その「鍵」があれば、 新たに「繋げる」ことができる。 サレージャ 謎めいた声の主よ。 もしやお前が、大いなる力とやらの守護者か? 扉の先から響く声 大いなる力かどうか、わからないけど……。 私の知識があれば、大抵のことは実現できると思うよ。 それこそ、世界を創り変えることだってね。 ゾラージャ 世界を創り変える、か……。 ゾラージャ ……フフフ……ハハハハハッ!! ゾラージャ おもしろい。 お前が何者かは知らぬが、そのような力を得られるならば、 たとえ悪鬼であっても契りを結ぶ価値はあろうな。 サレージャ ようやく眼に生気が戻りましたな。 こやつの力を使って、私とあなたで新たなる王国を…… サレージャ な…………ぜッ…………!? ゾラージャ もはやお前は不要だ。 ゾラージャ 私は求める……新たな世界を。 ただひとつ、私が生きる理由のために! 扉の先から響く声 キミの願い、叶えてあげる。 けど、その代わり………… 『すべての路は希望とともに』 長大な橋を超えた先に広がるのは 古くからの言葉で「導きの太陽」と呼ばれる荒野 強烈な日差しが乾きをもたらすこの地は 生物たちに過酷な試練を与えてきた だが その地下に恵みの水―― 青燐水が埋蔵されていたことで状況は一変する 理王コーナを支持する革新派の人々は 青い炎に照らされた先に 豊かな未来を夢見て走りだした そして 俺たちもまた足を踏みだす 新たに敷かれた鉄の道を辿り 旅を続けるために エスティニアン お前たちもこっちに来ていたとはな。 エスティニアン 王が代替わりしたと噂で聞いたが、 黄金郷の扉とやらを見つけたということか。 エレンヴィル 俺はこっちの出だからな。 諸々の報告で帰郷するついでに、 サカ・トラルを案内してるところだ。 エレンヴィル おたくは? エスティニアン ただの物見遊山だ。 あてのある旅じゃないからな。 ▼相変わらず自由だ エスティニアン グルージャジャから、 手合わせの報酬をたんまりもらったからな。 しばらくは路銀の心配もない。 エスティニアン それじゃあ、俺は行くぞ。 エスティニアン ああ、そうだ……ここらのサボテンダーは美味いぞ。 見た目は多少奇抜だが、試してみるといい。 エレンヴィル 野生のサボテンダーを……? 『サカ・トラルへ』 イヤーテ あれっ、もしかしてあんた……! イヤーテ エレネッシ…… エレンヴィル エレンヴィル、だ! イヤーテ ……って、すっかり男の子になったんだねえ。 子どものころは、そりゃあ可愛らしかったのに。 エレンヴィル 何年前の話をしてるんだ……。 3年前に帰ってきたときも会ってるだろう。 イヤーテ あら、そうだっけ? ごめんごめん、長く生きてると記憶が曖昧になってさあ。 エレンヴィル この人は同郷のイヤーテさん。 俺の師であるカフキワの幼馴染みだ。 イヤーテ よろしくね! イヤーテ それにしても、友達連れでふたり旅とはねぇ…… あのエレネッシパが! ▼エレネッ……なんて? エレンヴィル ……エレネッシパは俺の故郷での名だ。 グリーナーとして働き始めるときに、面倒が起きないよう、 あっちのヴィエラ族に倣って名前を変えたんだ。 エレンヴィル まあ、帰郷するなら、 どのみちおたくには知られてただろうけどな。 ……とりあえず、今までどおりに呼んでくれ。 イヤーテ なるほど、里帰りのついでに立ち寄ってくれたんだね。 いいなあ、私もカフキワに会いたくなってきちゃったよ。 イヤーテ カフキワはエレネッシパの師であり、母親なんだよ。 あの子、すんごい弓の名手でさあ…… 会うたびに、ご馳走を狩ってきてくれるんだ。 エレンヴィル 俺から見れば、イヤーテさんも相当だったけどな。 シャトナ族は、自然の恵みを受けて生きる狩猟採集民…… 一流の狩人が多い。 イヤーテ カフキワは別格だよ! 武器の扱いもだけど、何より動物に詳しいのなんのって! イヤーテ なにせ、その知識を見込まれて、 グルージャジャ様の一行に加わっていたくらいなんだから! イヤーテ もともと好奇心が強い方だったけど、 あの旅で大陸のあちこちに行って、火が付いたんだろうね。 イヤーテ 子ども……エレネッシパが生まれてからも、 折を見ては私に預けて、未知の動物を探しに行ってさ。 イヤーテ あの頃のエレネッシパ、寂しくて泣いちゃったり、 一緒に連れていけって必死にせがんだり…… 大変だったよねえ? エレンヴィル ……おい、余計なことを喋るな。 イヤーテ いいじゃないの、せっかく友達を連れてきてるんだから。 イヤーテ でもカフキワは、 「一人前になるまでは連れていかない」って……。 それが、あの子なりのケジメだったんだろうね。 エレンヴィル で、その一人前として認める条件として出されたのが、 黄金郷を見つけだすこと、だったわけだ。 ……前にも話したとおりな。 エレンヴィル 俺はバカ正直に探し始めて、その努力が無駄に終わると、 「おとぎ話」だったんだと考えるようになった。 俺の目を外に向けさせるための方便だったんだろうってさ。 エレンヴィル だが、本当に「黄金郷の扉」を見つけられた。 イヤーテ え、うそ!? 見つけたの!? エレンヴィル 継承の儀の課題だったんだ。 トラル大陸に住んでて、なんで知らないんだよ……。 イヤーテ すごい……すごいよ、エレネッシパ! カフキワ、ぜったい喜ぶよ……! エレンヴィル まあ、今回の旅について、あれこれ聞いてはくるだろうな。 『ロネークの背に揺られて』
https://w.atwiki.jp/ff0014/pages/49.html
アモン ……ですが、私はヘルメスだから終末を呼んだわけじゃない。 アモン 私は、私として生き、この心で苦しんだ…… 絶望した……見切ったんです。 アモン かつて偉大な皇帝と、彼が導いた超大国が示しました。 最後に待つのは無であると。 生きるのはただ、そこに至る道程でしかないのだと。 アモン ……だったら何故生きる? アモン 他者を踏みつけ、足蹴にし、傷つけながら、 どうして生き続ける必要があるんだ? アモン 人はあらゆる言葉で生を讃えるが、 見てみろ、人生の大半は暗澹たる闇の中だ。 アモン しかもその闇を、自分たちで吐きだしているときた。 まったくもってたちが悪い。 アモン だったらもういい、やめてしまえばいい……! アモン この星に生きる、いつまでも、どこまでも愚かな人類が、 誰ひとりそれを謳わなかったとしても…… 終わることこそ、ただひとつの正しい答えだ! アモン それが正しいと……真理だとわかっているのに……。 アモン どうしてこんな、口にするたび、 何かに負けたような気がするんだ……。 アモン これじゃないなら、私は何を求めていた……? アモン どういう結果ならよかったんだ……。 アモン 自分が……待っていたのは…… アモン 望んでいたのは、どんな答えだ……? 『すべての子らよ』 ハイデリン よくぞここまで辿り着きました……。 ▼久しぶり、ヴェーネス ハイデリン あなたは……エルピスに行ったのですね。 ハイデリン 私たちの時間が、やっと、ここで繋がった……。 ハイデリン わかりました。 では、その上で、あえてあなたたちに問いましょう。 ここへ来た目的を……。 アリゼー ハイデリン、あなたは終末が再来したときに備えて、 脱出船としての月を準備していたのよね。 アリゼー でも、本当にそれですべてなの? 私たちは逃げたくない…… 鏡像世界も含めて、この星を救いたいの! ハイデリン そうですね…… 逃げるのは、人が取り得るふたつの選択、 その片方にすぎません。 ハイデリン もうひとつの道は、 メーティオンが巣くう天の果てへ向かうこと。 終焉を謳うものたちと、直接決着をつける方法です。 ハイデリン ……しかし、そこは彼女たちが支配する、 デュナミスで構築された宙域。 ハイデリン 想いだけが力となるその場所では、 どれほどのエーテルを有し、強大な魔法を繰ろうとも、 決して彼女たちに勝つことはできません。 ハイデリン かの空間に集められた、先ゆく星々の絶望、苦しみ、悲しみ…… それらに抗えなければ、行くだけ無駄。 あえなく全滅するでしょう。 アリゼー そんなの平気よ、私は屈したりしないわ! アリゼー ……なんて、昔なら言えたかもしれないけど。 アリゼー 旅の中には、確かにあったわ。 どうしようもなく悲しいこと…… 恐れるなって言い聞かせても、足がすくんだこともね。 アリゼー あの想いを、なかったことにはできない。 絶対に大丈夫だなんて言えない。 アリゼー そんな私たちじゃ、逃げる道を選ぶことしかできないの……!? ハイデリン ……いいえ。 あなたたちは、だからこそ可能性を持つのです。 ハイデリン かつて、アーテリスよりも栄えた多くの星々が、 負の感情のない楽園を作り出そうと試みました。 ハイデリン 悲しみや怒り、争いや破滅、死や絶望…… そういったものを排除しようとして、失敗したのです。 メーティオンの報告によれば、ひとつの成功例もなく。 ハイデリン だとすれば……それらの闇は、 決してなくならないものなのでしょう。 ハイデリン どれほど理想を突き詰めていっても、 すべてを消し去ることはできないのです。 ハイデリン だから生命は、必ず絶望する。 ハイデリン するけれど……しない誰かがいたのなら、繋いでいけます。 ハイデリン あなたたちだって、そうしてここに至ったのではありませんか? ハイデリン 完璧な正しさは存在しなかった。 その理想が打ち砕かれたとき、 傍らに立つ者に、手を差し伸べられた。 ハイデリン 己の力は、望みに足りはしなかった。 無力に苛まれたときも、目指す背中は揺るぎなかった。 ハイデリン 大切な者は、その手をすり抜けていった。 けれども愛は継がれ、新たな希望に巡り合えた。 ハイデリン 言葉は本質から遠く、あなたを悩ませた。 その心を理解してくれる者たちがいた。 ハイデリン 真実は容易にねじ曲がり、失われる。 そう知ってなお探求が止まなかったのは、 わずかでも触れたいと願えるものに出会えたから。 ハイデリン 憎しみは、自他を燃やし尽くした。 真っ白な灰の中に、小さくもあたたかなものが遺った。 ハイデリン 大きな災いに対し、人はあまりに非力だった。 それでも数多の手に引かれ、押されて、 今、新たな地平を臨んだ。 ハイデリン あなただって……どこで折れていても不思議ではなかった。 苦難は十分にありました。 ハイデリン けれど、ときに旅の続きを想い、この世界で会う誰かを想い、 託されたものを糧にして、あなたは立ち上がってきた……。 ハイデリン そうして絶望を知り、 いずれ終わりがくることを知りながらも、 皆で歩み続けていけることこそが…… ハイデリン 今の人が勝ち得てきた力。 終焉を謳うものに対抗しうる、強さなのです。 アルフィノ では……! 私たちは、終末を止めに行くことができるのですか……!? ハイデリン その資格を得るに、かぎりなく近いでしょう。 ハイデリン ですが…… ハイデリン 人を天の果てに送るのは、至難の業。 やり直しは利かず、仕損じれば二度目はありません。 ハイデリン ゆえに私は、星の意志として問わなければならない…… ハイデリン あなたたちの決意を。 強大な相手を前に、幾度倒れ、毀たれようとも、 皆でなら戦い抜けるという確信を。 ハイデリン 旧き神にすら屈するようならば、 天の果てで待つ者たちに挑むべくもない。 ハイデリン 月に乗り、星(わたし)を棄てて、どこへなり逃げるといいでしょう。 ハイデリン さあ……構えなさい! エスティニアン どれほど大層な試練を言い渡されるのかと思えば…… なるほど、わかりやすくていい。 サンクレッド その分、ごまかしも利かないがな。 サンクレッド ……まあ、耐えてみせるさ。 なにせこっちには、諦める理由がない。 ウリエンジェ くずおれそうなら、支えましょう……。 微力でも、そのために力を培ってきたのですから。 ヤ・シュトラ まったく、あなたたちときたら…… 相手は最強の蛮神のひと柱、星の意志だとわかっていて? ヤ・シュトラ でも、ええ、私も負ける気はしないわね。 グ・ラハ・ティア 全力でいただいてくぞ……! すべての世界を救う、最後の可能性……星と命の未来を! ハイデリン エルピスでは聞けずじまいだったことを、 今一度、あなたに問いましょう。 ハイデリン あなたの旅が、良いものであったなら…… 勝利を以て、示しなさい! 『すべての子らよ』 アリゼー ハイデリン、あなた……やっぱりもう、力が……! ハイデリン 星の意志として、未来の番人として、 この一戦をきちんとやり遂げるだけの力は、 残してありました。 ハイデリン だから、大丈夫……。 あなたたちは正しく試され、正しく打ち勝ったわ。 ヤ・シュトラ ……本題に入る前に、ひとつ教えてもらえるかしら。 ヤ・シュトラ あなたが世界を14に分割した理由…… それはもしや、エーテルが薄弱な生物の方が、 デュナミスに干渉しやすいからではなくて? ヤ・シュトラ あなたは、一度終末に打ちのめされた人類が、 今度こそ絶望を受け止められるようになることを、 願った……信じた。 ヤ・シュトラ それが遂げられたとき、 デュナミス渦巻く天の果てへと終末を止めに行けるように、 世界ごと命を創り変えたのでは……? ハイデリン さて……私の行いは、どうあれ人に課した試練。 多くを破壊し、多くを苦しめた…… 優しさや正当性で語られてはならないものです。 ハイデリン それに、事実、ゾディアークはとても強かった。 星を巻き込むくらいの全力でいかないと、 どうにもなりませんでした。 ハイデリン 大切なのは、私が何をしたかではなく、 あなたたちが今、私を乗り越えたということです。 ハイデリン だから、逃げずに立ち向かう方法を…… すべての命運を、その手に託します。 ハイデリン そこには、私が割り出した、 メーティオンの軌跡が記録されています。 ハイデリン 天を航行する術を学んだレポリットたちならば、 向かうべき座標を割り出し、案内してくれることでしょう。 アルフィノ しかし、私たちは実際にそこへ到達できるのだろうか……。 天の果てというくらいだ、月に行くよりずっと困難だろう。 アルフィノ メーティオンのように、 デュナミスを使って翔ぶわけにもいかないだろうし……。 ハイデリン ええ、エーテルを動力とする場合、 目的地に到達するために必要な量は、 並大抵のものではありません。 ハイデリン ……ですが、あなたたちはすでに、 解決法を目の当たりにしているはずですよ。 アルフィノ まさか……!? ハイデリン ええ、そのまさかです。 ハイデリン 私は星の意志となって以来、 この場に満ちるエーテルを少しずつ結晶にしてきた…… ハイデリン ここへ精神を繋げた超える力の持ち主たちは、 必ず「それ」を見たでしょう。 ハイデリン そして姿を顕さない私に代わり、 「それ」を星の意志の象徴として捉えたのです。 ハイデリン マザークリスタル…… この星が蓄えてきた、反撃の切り札。 あなたたちを、天の果てへと運ぶ力です。 ハイデリン けれど、私が手を貸せるのはそこまで……。 行った先で待ち受ける、絶望の闇の中は、 あなたたち自身の力で、進んでもらわねばなりません。 ハイデリン だから、必ず覚えていてください。 ハイデリン 誰かの歓びが、誰かの悲しみであるのなら…… あらゆる人が絶望する中で、 あなたひとりが希望を抱くことも、あるのだと。 ハイデリン 最後にもうひとつだけ、あなたへ…… どうか、近くまで来てもらえませんか……? ハイデリン ……今日までの永い時間、 星の未来を繋ぐ方法を探してきました。 ハイデリン 幾度となく窮地に陥ったとき、 あなたから聞いた冒険の話や、あなたとの約束が、 どれだけ私に勇気をくれたことか。 ハイデリン 世界が変わっても、そこに何かを求めて旅をする者がいる。 別の歴史だったとしても、未来のために戦う者がいる……。 ハイデリン ただそれだけで、私は何度だって、 人を信じ直すことができたのです。 ハイデリン ありがとう……。 ささやかですが、心をこめて、お礼をさせてください。 ハイデリン アゼムの術が込められたクリスタルを、持っていますね……? ハイデリン 私、ハイデリンの司る力は、停滞、鎮静、平穏…… つまりは、存在を固定するものです。 ハイデリン その力をアゼムの術式に組み込むことによって、 数度かぎりではありますが、 姿なき者を喚び、形を与えることができるでしょう。 ハイデリン 星海の道すがら、あなたに応えた魂のように…… 肉体なき者でさえ、喚び寄せられるかもしれません。 ハイデリン ……けれど、アゼムの術は、 あくまで使う人の願いに応じるもの。 望みを持っていてこそ、力を発揮します。 ハイデリン 「自分でさえ結末を思い描けなくなったとき、 先を拓いてくれるのは、その術で喚ばないものだ」 ハイデリン 術のもとの持ち主は、そう言っていたわ。 ハイデリン ……託せるものは、今度こそこれですべて。 ハイデリン お願い、どうか……約束を…… あらゆる時代を超え、積み重ねてきた、人の答えを…… ハイデリン 私たちは終わるものかと…… 終焉を謳うものに、叩きつけて……! ▼人はもう大丈夫だ、ヴェーネス ハイデリン ええ……ええ……! よく知っているわ、たくさん見せてもらったもの……! ハイデリン 私は、きっともう、魂も残らないけれど…… ハイデリン 私の想いが、いつまでも、愛しき子らを護りますように……。 『すべての子らよ』 アルフィノ ……ふたりとも! アルフィノ 私は、この家を出てから、多くの失敗をした。 取り返しのつかない、償えないような過ちも犯した。 アルフィノ それでも再びこの場所に立った今、 君たちが、仲間として隣にいてくれる……。 アルフィノ ……ありがとう。 これも、後回しにせずに、伝えておきたかったんだ。 アルフィノ すまない、これはまだ言うべきじゃなかったかな……。 エスティニアン 礼を言うのはこっちの方だ。 エスティニアン お前たちが馬鹿正直に諦めなかったから、 俺は生きて、ニーズヘッグの想いまで連れてこられた。 エスティニアン ……感謝してる。 ▼友を救えたね、アルフィノ アルフィノ ああ……私の誇りだよ……! 『最後の休息』 クルル ……欲張りかもしれないけどね、星が救われるだけじゃなく、 あなたたちにも幸せでいてほしいの。 クルル たくさん笑って、ときどき泣いて…… 好きなものを食べたり、こうして穏やかに眠ったり。 クルル 新しいことに胸をときめかせて、 見慣れた街並みには、ほっと胸をなでおろす……。 クルル そういうことを、たくさん積み重ねていってほしい。 ときには仲間や、大切な人と一緒にね。 クルル だから……約束。 この先どんな困難があっても、 幸せになることを、決して諦めないでね。 クルル その気持ちは、大きな戦いに臨んだとき、 きっと最初に忘れられてしまう……。 クルル でも、最後には、いちばん力をくれるものだと思うから。 絶対の絶対に、心に刻んでおいて。 『最後の休息』 アルフィノ 行こう、月より遠い、天の彼方へ……! アルフィノ ラグナロク、発進ッ!! 『天の彼方へ』 メーティオン ねえ、どうして? 待っていれば終わりにしてあげたのに、 なぜ飛び出してきてしまったの……? アリゼー その「終わり」を、望んでないからよ……! メーティオン わからないわ。 生命は移ろって、最後には必ず終わるものでしょう……? メーティオン 長く苦しんでから死ぬよりも、 潔く終わりにした方がいいじゃない。 メーティオン 悩んで、もがいて、がんばったって、何になるわけでもないし。 必死に掴んだ幸福も、積み重ねてきた進歩だって、 たとえば星が寿命を迎えるようなときには、跡形も残らない。 メーティオン 生きることに意味はないのよ。 偶然に寄り集まった熱が蠢いていることを、 あなたたちが勝手に、素晴らしいと謳っているだけ……。 メーティオン 拒まないで……? あなたたちだって、夜、星の海を見上げれば理解できたはず。 メーティオン 宇宙の本質は、すべらかな冷たい闇、静かな無…… 星や生命は、そこに点々と生じた膿にすぎない。 メーティオン 生きるということは不自然で、だから、 到底うまくできるようになっていないの。 おとなしく、在るべき形にかえりましょう……? 『天の彼方へ』 そして 探求せし人々は 終わりの幻想に辿り着く ひとつずつ重ねられてきた旅路 その歴史が 厭というほど私に知らしめてきた 幾度幕を閉じれども 進むことを志す者がいるかぎり 新たな世界は始まるのだと だからこそ 彼らに終えてもらうとしよう さぁ 私たちの舞台―― 星と命の物語の フィナーレだ 『天の彼方へ』 ウリエンジェ サンクレッドの行方を、ご存じなのではありませんか? メーティオン おかしなことを聞くのね。 彼なら、すぐそばにいるでしょう? メーティオン そこにも……ここにも……この宙域の、どこにでも。 形はなくなってしまって、言葉も交わせないけれど……ね? メーティオン ああ、嫌悪と不安の味がする……。 あなたたち、自分がどうしてそこに立っていられるのか、 ちっともわかっていなかったのね。 メーティオン 私、アーテリスに贈っている終末と同じに、 デュナミスであなたたちのエーテルを喰らいつくそうとしたの。 メーティオン まず最初に、息もできないのに飛びかかってきた、 あのサンクレッドって人からね。 メーティオン 人ひとりなんて、消すのはあっという間だわ。 彼は瞬きする間も、異形になる余地すらなく消し飛んで…… メーティオン だけど、ほんの一片だけ、残ってみせたのよ。 メーティオン 心……魂……そういう、核となる部分…… 彼はそこで、この期に及んで、曇りなく想っていたの。 メーティオン 護る、と……。 メーティオン その想いはデュナミスを動かしていた絶望より強かった…… だから、逆に侵食されて…… この宙域が創りかえられてしまったわ。 メーティオン あなたたちが認識できる形に…… 生命の存在が許された空間に……。 メーティオン 今、呼吸ができているのなら、 それは彼の魂が、まだ消されずに抗っている証よ。 いつまで続けられるかは、知らないけれど。 エスティニアン だったら、とっとと用事を済ませるまでだ! メーティオン 無駄よ、本当の私には届かない。 メーティオン 言ったでしょう? ここは想いだけが真実となる世界…… 多少創りかえられたところで、その本質は変わらない。 メーティオン 見えているだけじゃ触れられないし、 歩いているだけじゃ進まないわ……。 『■と敗北■侵さ■■星』 ウリエンジェ …………肉体を失い、魂だけとなることを、何と呼ぶか。 私とて、知らぬわけではございません。 ウリエンジェ ですが私たちは、第一世界において、 それと近しい状態にあったのです……。 ウリエンジェ あのときとは事情が違うとわかっていても…… 嘆いて立ち止まるよりは、信じたい。 彼は「生きて」私たちを護っているのだと……。 『■と敗北■侵さ■■星』 アル・エンド やはり、どれほど遠くへ飛ぼうが、そんなものだ。 アル・エンド 血の海は満ち続け、痛みは止め処もない。 壊し、壊され、戦いの輪廻は巡り続ける……。 アル・エンド ならば、高潔な竜として…… そうあった者の最後の矜持として、その輪廻から抜けよう。 アル・エンド 我らは己が断絶を以て、繰り返される戦いを否定するのだ……! エスティニアン ……確かに、うちの星にもそんな道を選べる奴がいたら、 俺は家族を喪わずに済んだだろうよ。 エスティニアン だがな、本当に平和を願ってる奴は、 そんな風に何もかも諦めて、メソメソと燻っていたりしない。 エスティニアン 理想を持って、ぶつかって、傷ついて、 それでも武器より先に手を差し伸べようとする…… エスティニアン そうしてこそ悲しみの連鎖を断ち切れると、 俺を救った男が、命を張って示していた……! エスティニアン お前たちのやっていることは、高潔でもなんでもない。 不貞腐れたガキの負け惜しみだ。 エスティニアン それっぽっちで…… 譲れないものを背負って戦い抜いた、 俺とコイツを止められるものかよ! アルフィノ エスティニアン……ッ! エスティニアン 近寄るな! エスティニアン なるほどな…… こいつが、この場所を行き止まりにしていた想いか。 エスティニアン 行け、相棒……! アリゼー そんな……エスティニアンは……!? グ・ラハ・ティア 風が、吹いてる……? アルフィノ 動き出したんだ……。 ここはもう、行き止まりじゃない……! アルフィノ 創りかえたんだ……サンクレッドがしてくれたように…… 彼が……エスティニアンが……! アリゼー アルフィノ……。 アルフィノ 行こう……風の吹く方へ……! 私たちを、必ず、先へ導いてくれるはずだ……! 『尊厳と平和』 ウリエンジェ ですが「行き止まり」を生成するにあたっては、 ここが終点であることを強く願う存在が欠かせません。 ウリエンジェ 今後、また進む道が見つからないようなことがあれば、 「この場所で終わりを願っているのは誰か」 という点に着目してみてください。 グ・ラハ・ティア ……なんで、それを今、オレたちに言うんだ。 ウリエンジェ Tobariさんを選んだのは、 隠しごとをしないと、誓ったからです。 一度くらいは、ちゃんと果たしませんと……。 ウリエンジェ あなたを選んだのは……そうですね…… 水晶公と結んだ密約の、対価でしょうか。 ウリエンジェ 私はかつて、水晶公の信じた道を…… あなたの犠牲によって世界を救うという策を、 共犯者として受け入れました。 ウリエンジェ だから今度はあなたが、 己の良しとする結末に向けて進む私を、 どうか受け入れ、見守ってほしい……。 グ・ラハ・ティア そんな風に言われたら、断れるわけないだろ……! ウリエンジェ ……はい。 姑息な手を使った私を、どうかお許しください。 ウリエンジェ そうまでしても、気づかぬふりはできないのです。 私の中に見つけたもの……ここまで生きてきて得た真実…… ウリエンジェ どんなときならば、私は強く立てるのかという、答えに……。 『文明の発展』 ヤ・シュトラ ……あなたたち、落ち着いて聞いて頂戴。 ヤ・シュトラ じき私の身体も消える…… それをもとに戻す方法について、心当たりがあるの。 ヤ・シュトラ ハイデリンの力を受けた、アゼムの召喚術。 魂さえ残っていれば、それで私たちを喚び戻せるかもしれない。 ヤ・シュトラ でも駄目、それでは道がまた途絶えてしまう。 あえてこの話をしているのは、可能性に気づいても、 使わないと約束してほしかったからよ。 ヤ・シュトラ 私たちは、全員の力で勝ちにきた。 だからこそ、託されたときは進みなさい……ただ前へ! ウリエンジェ ご一緒させてください。 諜報活動でもなし、人が多くて困ることはないでしょう? ヤ・シュトラ ウリエンジェ……。 ウリエンジェ ……私は、あなたほど堅固な意志を持ちません。 迷い、後悔することも少なくない。 ウリエンジェ されど、こんな私でも誰かとともに在り、 背中を押すことができる…… ウリエンジェ それを……この旅で学んだことを、信じたいのです。 ウリエンジェ 幸いにして、数多の預言詩を学んだ身…… 事実を婉曲にし、解釈の幅を持たせることにかけても、 少々自信がございます。 ウリエンジェ 私は願う…… あなたやサンクレッド、エスティニアンに抗う力を。 そして残る者たちに、進む力を与えんと! ヤ・シュトラ ……確かに、悪くないわ。 ちっとも負ける気がしないもの。 『文明の発展』
https://w.atwiki.jp/ff0014/pages/32.html
ララー・ジンジャル ……うわ!? な、なにこれ……? 熱いっ……!! ララー・ジンジャル す……すみません、思わず落としてしまいました。 ソウルクリスタルが熱を持つなんてことは初めてで……! 熱反応が落ち着くまで、少し待ちましょう……。 ララー・ジンジャル ふう……ようやく反応が収まったようですね。 それにしても興味深い現象ですわ……。 ララー・ジンジャル あれほどの強い熱反応、魔法大学でも見たことがない……。 Tobariさんに反応したというの……? ララー・ジンジャル 盗まれた技術情報というのは、 こちらと同じ、「賢者」のソウルクリスタルです。 これは本国の医療機関から譲り受けてきたものなのですが……。 ララー・ジンジャル あの……Tobariさん、 あなたは、これまでの冒険のなかで、 誰かを救いたいと、強く、強く……願ったことがありますか? ララー・ジンジャル ……それが叶わず、 自分の至らなさに失望したことが…… あるのではないでしょうか? ▼救いたかった人を目の前で失ったことがある ララー・ジンジャル 不躾な質問をしてしまったことを、どうかお許しください。 ……ですがやはり、「賢者」のソウルクリスタルが、 あなたの秘めた想いに呼応したとみて、間違いないようですわ。 ララー・ジンジャル 賢学とは、シャーレアン魔法大学において創出された、 医学、エーテル学、魔法学を統合した複合学問のことを示します。 そして、その知識を極めた者を「賢者」と呼ぶのです。 ララー・ジンジャル 「医学」により肉体の仕組みを、 「エーテル学」を通じて魂の仕組みを解き明かし、 「魔法学」の知恵により、肉体と魂に影響を与えるわけです。 ララー・ジンジャル それゆえに賢学の知識は、 肉体を強化する術や、癒しの術にもなり得るのです。 あるいはその反対をもたらす恐ろしい術にも……。 ララー・ジンジャル ……Tobariさん。 他者の生殺与奪の権を握る覚悟がありますか? ララー・ジンジャル 「賢者」の知識を正しく使うと、誓いを立ててくださるのでしたら、 このソウルクリスタルを、あなたに託したいと思います。 そのお心が決まりましたら、どうか私にお声がけください。 『賢者の誓い』 ララー・ジンジャル ソウルクリスタルから、古の知識が流れ込んだようですね。 それではまず、賢者が操る武具…… 「賢具」について、少しご説明いたしましょう。 ララー・ジンジャル 古の時代、まじない師たちは、 アダーストーンと呼ばれる霊的な力を秘めた天然石を、 術を行使するために利用していたといいます。 ララー・ジンジャル 病に倒れた者の周囲に、数個のアダーストーンを並べ、 魔力の結節点として利用したのだとか……。 簡易的な魔法陣というわけですね。 ララー・ジンジャル その発展型に位置するのが、現在の賢具…… アダーストーンと同じ性質を秘めた材質が使われ、 数本の短杖で構成される魔具です。 ララー・ジンジャル これらを空中に展開して、立体魔法陣を構築、 高度な術を行使するのです。 『賢者の誓い』 ララー・ジンジャル ……ときどき、考えてしまうのです。 賢学は、人類の進歩を促す学問であり、人を癒やす術です。 だというのに、なぜ戦いに適した術も含まれているのか……。 ララー・ジンジャル ……彼らにも、ルイゾワ様やドクター・ファルドリネのように、 本国の方針に背いてまで、救いたい何かがあったのでしょうか? ララー・ジンジャル ソウルクリスタルに込められた願いに、耳を傾けてみてください。 あなたが守りたい人を、その手で救えるように…… きっと歴代の賢者たちが、智慧を授けてくれますわ。 『賢者の短杖』 ロイファ どうだ、賢者の使命とやらを感じるか? ……儚き生命の導(しるべ)となり、人の進歩を目指す賢き者。 己が手の届くかぎりの命を救い、守り、そして生かす……。 ロイファ 生かすこと……この罪の重さが、お前にわかるか? ファルドリネ これは参りましたね……随分と知った風な口を利くものです。 ファルドリネ 「罪」とは、価値ある命の綻びを前にして、何もできぬこと。 肉体と魂の滅びの前に、人は為すすべもなく命を落とします……。 そんな不合理に抗うすべを手にすることが、賢学の目指すところ。 ファルドリネ 理解しましたか? したのなら、供された尊い命も……報われることでしょう。 ロイファ 黙れ……!!! 『それは毒か否か』
https://w.atwiki.jp/ff0014/pages/61.html
エレンヴィル ……随分と自然豊かな地だ。 いろんな動物たちが棲んでるんだろうな。 ワーリカ お、来てくれたか! ここから先が、ヘイザ・アロ族の中でも、 特に自然を愛し伝統文化を重んじる一団の集落だ。 ワーリカ 実は俺も、彼らと取引するのは初めてなんだ。 いつもなら、契約を結んでるヨカ・トラルの商人から、 木材を買い付けてるもんでな。 エレンヴィル へえ、空気が澄んでいて気持ちいいな……。 青燐水の匂いを嗅いできたから、余計にそう感じる。 エレンヴィル 沃野(よくや)と呼ばれるだけあって水源も豊富だ。 動物にとっても人にとっても、楽園みたいな場所だな。 ???? 気に入ってもらえたようで、何よりです。 フーワト あたしはフーワト、この集落の首長をやっとります。 よくここまでおいでくださいました。 フーワト こやつは、あたしの倅でして…… 名をシェペットと言います。 シェペット よろしくね。 ワーリカ っと、こりゃ丁寧にどうも。 突然押しかけちまってすまねえな! ワーリカ 俺はワーリカ。 「サカ・トラル・レールロード」って鉄道会社を、 運営している者だ。 ワーリカ 先の地震の影響で、線路の枕木が破損しちまってな…… 木材を少し分けてもらえないかと思って来たんだ。 ワーリカ んで、このふたりは…… Tobariとエレンヴィル。 うちの会社に手伝いを申し出てくれた、親切な奴らだ。 シェペット ……あなたは、いろいろな匂いがするね。 鋼と脂、鞣した革に、ほんの少しの果実の香り…… もしかして、外つ国から来た人? ▼エオルゼアから来た シェペット いいね……いろいろな話を聞いてみたいな。 エレンヴィル ……おたくらは伝統文化を重んじると聞いていたが、 異なる文化に対しても寛容なんだな。 フーワト そうですねぇ……あたしたちは自然に「導かれし者」。 大地を愛し、そして祖霊(ヘイゾ)がもたらす導きに従い、 常に彼らとともに、より良い地を求めて移動する。 フーワト ですから、新しい風を感じ取ることにかけては、 ほかの部族よりも敏感なのかもしれません。 エレンヴィル なるほどな……。 祖霊(ヘイゾ)っていうのはたしか、 「生活を導く動物」を指す言葉……だったか? フーワト はい、家系や集落によって祖霊とする動物は様々ですが、 ここメワヘイゾーンで暮らす我々は、 ロネークを尊びます。 フーワト 自然や祖霊への深い愛は、あたしたちにとって変わらないもの。 一方で、そこにあるエーテライトのように、 新しい事物がもたらす変化を受け入れることもあるのです。 フーワト ですが、あたしたちには恐れていることもある……。 フーワト 木材が必要というのなら譲りましょう。 ですが、もしよければ同じ大地に生きる者同士、 少し話をしていきませんか? ワーリカ おう、もちろんだぜ! フーワト ありがとうございます。 倅もあなた方との出会いを喜んでいるようですので…… さあ、こちらへ。 『自然に導かれし人々』 フーワト ……恐れていることというのは、 先ほども話に上がった「変化」そのものなのです。 フーワト 先ほども申し上げましたが、 あたしたちにとって何より大切なもの…… それが祖霊、つまりロネークです。 フーワト 聞いたことがありませんか? ここ最近、ロネークの気性が荒くなっていると……。 エレンヴィル そういえば、ロネーク使いの男が似たようなことを言っていたな。 ……原因はわかってるのか? フーワト 詳しいことまでは…… しかし、青燐水を求める人々が増え続け、 シャーローニ荒野の環境は、日々刻々と変わっています。 ワーリカ ……鉄道もまた然り、ということか。 フーワト 大柄で力も強いロネークですが、 見た目に反して、繊細な一面もあるのです。 大地を揺らし轟音を立てて走る鉄の塊を見れば……。 シェペット でも、どうか勘違いしないで。 僕たちは新しい風を拒んでいるわけじゃない。 ワーリカ ああ、わかっている。 正直に話してくれて、ありがとよ。 ワーリカ この問題はヘイザ・アロ族だけの問題じゃねぇ…… シャーローニ荒野全体の問題だな。 エレンヴィル コーナ様なら、知恵を貸してくれそうなものだが……。 フーワト 新しい理王、コーナ様ですか……。 あたしたちが噂で知る限りでは、 彼の人柄は、何と言いますか……その…… シェペット 頭が固くて不愛想。 民の心よりも効率を重んじ、技術革新を進める冷徹な人物。 フーワト これっ! 何ということをッ……! エレンヴィル ふっ……半分くらいは合ってるかもな。 だが、俺たちが知るコーナ様の印象とは違うようだ。 ▼彼は旅を通じて変わったよ フーワト ほう…… 彼が変わりゆく様子を、その目で見てきたと……。 エレンヴィル 実際に継承の儀を通じて競い合い、 共闘までしたTobariの言うことだ。 そこらの噂話よりは信憑性があるんじゃないか? シェペット 継承の儀に!? すごい……! ワーリカ そうだったのか!? 知らなかったとはいえ…… とんでもない奴に手伝いを頼んじまったもんだぜ。 フーワト どうやら、あたしたちの方も知らないことが多くありそうです。 王が代わったことで、皆不安を抱いていたのですが…… フーワト 新王への継承という、新しい風が吹いている今だからこそ、 もっと心を開き、知る努力をしてみる必要があるようですね。 シェペット 理王コーナ様…… いつかこのメワヘイゾーンに来てくれるといいね。 フーワト ああ、かつてのグルージャジャ様のように、 我々を導いてくださるかもしれない。 その日を楽しみに待つとしよう。 フーワト 話を聞いてくださり、ありがとうございました。 あなた方と話せてよかった。 フーワト さあ、約束どおり木材は持っていってください。 湖のほとりに置いてあるものでしたら、お好きなだけどうぞ。 ワーリカ 恩に着るぜ……! ワーリカ 鉄道が及ぼすロネークたちへの影響については、 俺たちもしっかりと調査した上で検討する。 んで、必要とあらばコーナ様にも相談に行くからよ! ワーリカ それじゃ、ありがとな! この礼は近いうちに必ずさせてくれ! シェペット ばいばい! またいつでも遊びに来て! 『自然に導かれし人々』 エレンヴィル なかなかの迫力だな。 ナミーカさんもあの便に乗ってるはずだ。 シェンダ 列車が通るよー! ワーリカ お前さんたちのおかげで想定よりも早く復旧できた。 本当にありがとな! シェンダ やっぱこれだよー! 青燐機関車ってほんと最っ高!! ダーピャ ああ、走る青燐機関車は何度見てもいいもんだな! 荷車とはスケールが桁違いだぜ。 シェンダ 線路さえ敷けば、列車でどこまでも走れるんだよ! どんどん路線を延ばして、目指せ大陸横断、だよね? ワーリカ 鉄道の発展はまだまだこれからだ。 実際、隣接するヤースラニ荒野までしか開通できていない。 ワーリカ 俺たちの技術力もそうだが、 運用の面でも未熟なところが多くてな。 細かなトラブルが絶えやしねえ……。 ワーリカ だから、これからはもっと改良を重ねながら線路を延ばす。 そしていつか、東海岸から西海岸まで…… 大陸を横断できるようにするのが、俺たちの夢なのさ! ワーリカ すっかり話し込んじまったな。 さっきの列車も、そろそろヤースラニ荒野に、 到着している頃合いだろう。 ワーリカ 折り返して戻ってきたら、約束どおりお前さんたちの番だ! 出発準備は今のうちに…… シェンダ また地震!? ダーピャ おいおい、勘弁してくれよ……! ワーリカ ありゃあ……なんだ……!? シェンダ 嘘でしょ!? どうなってんの!? ダーピャ 乗客は……ニトウィケさんは……!? エレンヴィル あの方角……俺の、故郷も……。 ワーリカ チッ……とにかく状況確認だ! エレンヴィル 何だよあれ……! トライヨラに向かってるのか!? ▼あの飛空艇のようなものを追おう! エレンヴィル これはいったい……。 ウクラマト 来てくれたのか! 見たこともない空飛ぶ船と、妙な連中が現れて、 街を襲ってるんだ! ウクラマト 今はとにかく、みんなを助けないと……! アルフィノ 立てますか? クルル 落ち着いて避難してください! アリゼー 何なのよあいつら!? 人じゃないみたいだわ……! ペシワ お願い、誰かたすけてえ……! クルル 今……何をしたの……!? トナワータ族の少年 あ、ありがとう……! 戦のバクージャジャ ゲッグッグッグ! そんなことより、とっとと逃げな! 戦のバクージャジャ この場はオレサマが引き受けたぜェ! お前らは王宮に急ぎやがれ! 魔のバクージャジャ たくさんの敵が向かっていったからね! ウクラマト バクージャジャ……ありがとよ!! 戦のバクージャジャ これが、オレサマの新しい生き方だ…… 戦のバクージャジャ ぶっ飛ばされたい奴は、かかってこいやァー!! ゾラージャ よもや、父上が生きていようとはな。 ウクラマト ゾラージャ兄さん……なのか……? コーナ あの姿は、いったい……。 ウクラマト ……こいつは、アンタの仕業なんだな? ウクラマト 第一王子としてオヤジを支えてきたアンタが、 なんでこんなことを! ゾラージャ こちらの要求は、至極単純だ。 トライヨラ連王国の解体と、全領土の割譲。 ゾラージャ 従わない場合は……ひとり残らず殲滅する。 ウクラマト 乱心したのか!? ゾラージャ 俺の考えは、これまでと変わりはせん。 ゾラージャ 人々に戦の愚かさを知らしめ、平和を願う心を育むことで、 世界をひとつに束ねるのだ。 武のグルージャジャ その姿、その力…… 少し見ない間に何をしでかしやがった。 武のグルージャジャ お前、自分のしてることがわからないとは言わんな? 剣を向けたんだぞ、トライヨラの民に……! 武のグルージャジャ 許されると思うなよ。 我が息子であれば、なおさらだ……ッ! ゾラージャ ならばどうするというのだ? 武のグルージャジャ わしが取るべき路はひとつよ。 武のグルージャジャ 武を以て、お前を討ち倒す。 ウクラマト 待てよオヤジ! それなら、アタシが……! 武のグルージャジャ 手出しは無用! こいつが犯した過ちの責は、父のわしにある! コーナ たしかに兄さんは強い。 それでも、今まで一度も父さんに勝てたことはないんだ。 ゾラージャ とっくに死んだと思っていたお前を、 この手で討ち取る機会を得ようとは……まさに僥倖だ。 武のグルージャジャ ゾラージャ……我が息子よ。 さらばだ……。 ゾラージャ 老いさらばえたとはいえ、 さすがはトラル大陸を統一した初代連王だ。 ゾラージャ 片方の魂が消えても、 肉体に宿る生命力はふたり分、といったところか。 ゾラージャ ならば、こちらも追加するとしよう。 ウクラマト オヤジ…………? ゾラージャ ……たかが双頭、こんなものか。 コーナ 父さん!!! ウクラマト ゾラージャァァァァ!! ゾラージャ お前ごときでは、俺に傷ひとつつけることもできん。 ウクラマト よくもトライヨラのみんなや、オヤジを!! この国の武王として、絶対に許さねぇ!! ゾラージャ 臆病な様子ばかりが記憶に残っていたが、 なるほど、それが王としての眼差しか。 ゾラージャ ならば、この俺との力の差を知らしめるため、 「決闘」の機会をくれてやる。 ゾラージャ 武王ウクラマト。 お前が持つ最大の力を以てして、 「我が国」に攻め入ってこい。 ゾラージャ そして俺が先代にしたように、この首を討ち取り、 武王に相応しき器だと証明してみせよ。 ウクラマト 待て、ゾラージャ! ゾラージャ 我が軍の艦隊を、上空に待機させておく。 ゾラージャ お前が王たるに相応しきを証明できなかったときには、 即座に攻撃命令を下し、トライヨラを蹂躙してみせよう。 ゾラージャ よく考えて行動することだな。 ウクラマト うそだろ……オヤジ……。 『大地が鳴いた日』 ウクラマト オヤ……ジ…………。 武のグルージャジャ もういい…… もはや……手遅れだ……。 コーナ 父さん……諦めないでください……! 武のグルージャジャ 友よ……そこにいるか……? ケテンラム もちろん、いるさ。 武のグルージャジャ 我が子らを……たのむ……。 ケテンラム 俺だって、お前と同じくジジイなんだ。 そこまで時間は残されちゃいないが…… ケテンラム わかった、引き受けよう。 武のグルージャジャ なあ……またいつか、旅をしようじゃねぇか……。 ケテンラム ああ、きっとな。 武のグルージャジャ ウクラマト……コーナ……そばに。 ウクラマト オヤジ……。 武のグルージャジャ お前たち……ヨカフイ族の墓は見たな……? わしは……あいつらの考えが好きでな……。 コーナ 父さん……お願いです、無理に喋らないで……。 武のグルージャジャ 肉体はいつか終わりを迎えても…… 忘れられぬ限り、真の死には至らない…… 武のグルージャジャ わしの想いを、お前たちが受け継ぐ限り…… 連王グルージャジャは死んだことにはならんのだ…… 武のグルージャジャ だから……悲しむな……胸を張って歩め…… 新たな国の……夜明けの路を………… ウクラマト オヤジ……オヤジ……!! ウクラマト くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! ウクラマト えっと、それで……アタシたちはこの後……。 勇連隊の隊士 ご報告します……。 都を襲撃した謎の軍勢は上空の船へと撤退、 現在は勇連隊が総出で救助活動にあたっております。 勇連隊の隊士 しかし、隊士にも死傷者が多く、 人手が足りないというのが正直なところです……。 コーナ ……報告に感謝する。 別命あるまで、このまま人命救助を優先するよう、 隊司令部に伝えてくれ。 ウクラマト みんなを…… トライヨラのみんなを……助けにいかねぇと……。 アルフィノ 救助活動なら、私たちも手伝わせてもらうよ。 ウクラマト 悪い、そうしてもらえると助かる……。 今はひとりでも多くの民を救いたい……。 アリゼー 当然じゃない! そうと決まったら、手分けして被害状況を確認するわよ! ウクラマト なら、アリゼーとアルフィノはベイサイド・ベヴィー周辺を、 クルルとエレンヴィルは、連王宮周辺を頼む……! ウクラマト Tobariは…… アタシと一緒に「翼鏡の街」に来てほしい。 助けが必要な人に声をかけて、終わったら一度合流しよう。 『血の涙を拭って』 困惑した市民 ふう……。 ありがとう、恩に着るよ……。 困惑した市民 なあ、気になる噂を耳にしちまったんだ。 敵将が、ゾラージャ様に似てたって……。 困惑した市民 そんなの嘘だよな? だって、あの方はグルージャジャ様の実の子どもで、 ウクラマト様やコーナ様の義兄なんだぞ!? 困惑した市民 わけのわからないことだらけだよ……。 これからどうすればいいんだ……。 怯えた様子の商人 うう…………ありがとう、少し落ち着いたよ。 でも、まだ震えが止まらない……。 怯えた様子の商人 どうしてこんなことになっちまったんだ……。 それに、あの空に浮かぶ黒い塊は、なんでまだ街の上に……? 怯えた様子の商人 グルージャジャ様が連王だったときは…… こんなことは起きなかったのに……! 呆然とした市民 ありがとう……大丈夫だ……どうにか……。 呆然とした市民 なあ……あんたは見たか……? あいつら、たしかに人の形をしてたのに……。 呆然とした市民 人を殺すことに何の躊躇もなかった……! なんで、あんなことができるんだ? 呆然とした市民 次また襲われたらおしまいだ……。 涙に濡れた市民 ううっ……ありがとうございます……。 おかげでどうにか動けそうです……。 涙に濡れた市民 でも……子どもと……夫が目の前で…… うううっ……あああ……っ……。 怒りに燃える勇連隊士 すまねぇ……助かったぜ……。 怒りに燃える勇連隊士 だけど、ちくしょう……! 市民たちを守れなかった……!! 怒りに燃える勇連隊士 何でトライヨラが襲われなきゃなんねぇんだ……! 新しい連王たちは、何やってたんだ……!! 怒りに燃える勇連隊士 くそおっ、わかってるさ……新連王のせいじゃないって。 だけどッ…………だめだ、頭を冷やしてくる……。 『血の涙を拭って』 アリゼー ……おつかれさま、 こっちもひととおり見回り終わったところよ。 負傷していた人たちは、応急処置をして勇連隊に託してきたわ。 アリゼー 犠牲者が出てしまったことは残念だけど…… 勇連隊やバクージャジャたちが奮戦してくれたおかげで、 助かった人たちも大勢いたそうよ。 アリゼー ……これは私個人の見立てだけどね、 ゾラージャが本気で住民を狙っていたら、 被害はこんなものじゃ済まなかったと思うわ。 アリゼー 見て、商品の多くがダメになってしまったけど、 建物そのものには、大きな被害がないの。 アリゼー ゾラージャの目的は、あくまでも示威行為…… 自分がいつでもトライヨラを攻撃できることを示して、 恐怖心を植えつけることだったんだわ。 アリゼー ……それで、ラマチの様子はどう? アリゼー グルージャジャ様のこともあったばかりなのに…… 大好きなトライヨラを必死に護ろうとしているのね。 アリゼー でも、このまま走り回っていたら、あの子まで倒れちゃうわ。 アリゼー さっき、海辺の方に向かうのを見たって言っている人がいたから、 「ゴーニトルクの宝浜」の辺りで探してみましょう。 ウクラマト しっかりしろ……! ウクラマト 薬を持ってきたぞ。 さあ、飲め……! アリゼー ラマチ……! ここにいたのね、よかっ…… ウクラマト おい、飲んでくれよ。 頼むから、薬を飲んでくれ……。 アリゼー ……ラマチ。 アリゼー ラマチ……ッ! ウクラマト アタシ……何して……。 アリゼー 大丈夫よ、ラマチ。 こっちを見て。 アリゼー あとは私に任せなさい。 あなたは、この人と一緒に休んでいて。 ウクラマト でも…… トライヨラが……みんなを助けねぇと……。 アリゼー 勇連隊が中心になって、被害者の救助にあたっているわ。 だから今は少し休みなさい。 アリゼー 次にヤツらが襲ってきたとき、 指揮を執るべき武王の頭が鈍っていたら、どうなるの? アリゼー 休むことも王の務めよ。 ウクラマト 約束したのに…… トライヨラを、みんなが笑って暮らしていける国にするって…… なのに、このザマだ……。 ウクラマト ぜんっぜんダメじゃねぇか!! ウクラマト 何のための武王だ! 王なら……みんなを救ってみせろよ、クソッ!! ▼お前は独りなのか? ウクラマト また、お前を頼ってもいいのか……? ウクラマト ありがとよ、少し落ち着いたぜ。 今は、トライヨラの武王として……アタシのできることをする。 ウクラマト これまでにも、トライヨラを狙う奴らはいた。 チーワグー塩田のヴォーポーローたちや、 かつての「双血の教え」の連中のようにな。 ウクラマト だから戦いになる前に、対話して互いのことを知れば、 どんな奴とでも、手を取り合うことができるって信じてた。 ウクラマト だが……ゾラージャは違う。 平気で国のみんなや実の父親を手にかけるような奴だ。 対話なんて望んじゃいないだろう。 ウクラマト そしてなにより、今のあいつには力がある。 トライヨラの平和を壊すことのできる、絶対的な力が。 ウクラマト だから、アタシは武王として戦う。 これ以上、みんなの笑顔を奪わせないために…… ウクラマト この手で兄さんを……ゾラージャを、討ち倒す!! ウクラマト やるべきことがハッキリしたら、 少しは落ち着いて考えられるようになってきたぜ……。 ウクラマト 弱音を吐き出すようなことになっちまったけど、 話を聞いてくれてありがとよ、Tobari。 ウクラマト ……全然王様らしくないし、格好悪いけどさ。 ウクラマト 今はとにかく、わからねぇことだらけ。 考えなきゃいけねぇことが山積みだ。 ウクラマト あの人形みたいな兵士や、空に浮かぶ艦隊はいったい何なのか。 それに、ゾラージャの力の秘密も……。 ウクラマト 理解し合うためじゃねぇ…… 戦うためにも、相手を「知る」事は必要だ。 ただ無鉄砲に突っ込むだけじゃ、今までと変わらねぇからな。 ウクラマト ここからはちゃんと、武王ウクラマトだ。 この悔しさを胸に刻み込んで……必ずやり遂げてみせる! ウクラマト それじゃあ、アタシは先に連王宮に戻ってるよ。 コーナ兄さんと、急いで今後のことを話さなきゃならねぇからな! ウクラマト Tobariも、 あとで金凰の間に来てくれねぇか? みんなとも情報を共有しておきたいからさ。 ウクラマト それから、アリゼーにもずいぶん気を遣わせちまったよな。 きっとベイサイド・ベヴィーに戻って手伝いをしてるはずだ…… 悪いけど、声をかけてきてもらえると助かるぜ。 『血の涙を拭って』 アリゼー おかえりなさい。 どうだった……って、あなたのことだから聞くまでもなさそうね。 アリゼー ……ラマチはきっと、必死に強くあろうとしている。 だから私も、彼女を支えてあげたい。 アリゼー あの子が戦うなら、私も一緒に戦うつもりよ。 あなただって、そうなんでしょ? アリゼー よし、そうと決まれば…… アリゼー っと、まずは足元のこれを、あなたも見てみてくれない? 動かなくなった敵兵なんだけど…… やっぱり生き物じゃなさそうなの。 アリゼー これ、人じゃないのは確かなんだけど…… エオルゼアの魔法人形とも、帝国の魔導兵器とも似ていないわ。 アリゼー だから、あなたの意見も聞いてみたいと思ってたの。 私よりも、いろいろな物を見てきたと思うから……。 アリゼー ゾラージャが手に入れた力が何なのか知るためにも、 この「横たわる兵士」を、少し観察してもらえないかしら? 気づいたことがあれば、あとでみんなに共有しましょ。 目や口にあたるものは見られないが、 光を帯びた文様が浮かび上がっている。 遠目には甲冑のように感じたが、 近くで見ると複雑な部品で構成された機械だとわかる。 ただし、その材質はよく知る金属ではない。 青燐機関のようなものも見られず、動力源も不明だ。 襲撃中に兵士が扱っていた武器だ。 どうやら銃のようだが、一般的なそれとは形状が異なり、 高度な文明の産物であることを伺わせる。 アリゼー どう? 何か気づいたことはあった? ▼今までに見たことがない文明のものだ アリゼー あなたでも知らない文明の機械なのね……。 気味が悪いほど、人に似た形をしているし、 顔は甲冑みたいで味気ないけれど……動力源は何かしら? アリゼー なるほど、青燐機関のようなものも見られないし、 動力源も不明、か……。 アリゼー さっき、試しにエーテルを込めてみたんだけど、 特になにも反応しなかったわ……。 もしかしたら、魔法生物のように動くかもと思ったのだけど。 アリゼー いったい何なのかしら……。 襲撃中は絶えまなく動き回ってたのに、 今はピクリともしないし。 アリゼー そもそも素材すらわからないわ。 金属でもないし、質感はどちらかと言えば、石……? って……つい最近、どこかで似たようなものを見なかった? ▼天深きセノーテで見た アリゼー そう、そうよ……! 黄金郷の扉がある部屋の、光る石……! アリゼー ねえ、この兵士の黒い部分や、空に浮かんでる軍艦は、 「黄金郷の扉」を構成していた石材に、 そっくりだと思わない? アリゼー 何か繋がりがあるかもしれないし、 「金凰の間」に戻ったら、みんなに共有しましょ! アリゼー それにしても、不気味なほど人に近い動きをしていたのよね。 本当に誰かが中に入ってるんじゃないかって、 疑っちゃうくらいに……。 『頼れる仲間と共に』 ウクラマト みんな、わざわざ集まってもらってすまねぇ。 ウクラマト それから、率先して手伝ってくれてありがとな。 本当に助かった。 アリゼー 当たり前のことをしただけよ。 それよりも、状況を整理しましょう。 ウクラマト 今回の襲撃で命を落とした者は、少なくとも50名……。 怪我人は宮廷賢士と勇連隊が総出で治療にあたってる。 ウクラマト 一方で、建物や施設については、 生活に支障をきたすほどの大きな被害はなかった。 ウクラマト ただ、ほとんどの民が激しく動揺しているはずだ……。 一刻も早くこの事態を収めて、平穏を取り戻してやりたい。 コーナ それから……なにより不気味なのは、 敵の正体も目的も判明していないことです。 コーナ シャーレアンをも上回る技術で作られた、 機械仕掛けの兵士たち……。 コーナ ゾラージャ兄さんはいかにして、 この短期間で、あれほどの軍勢を用意したのか……。 エレンヴィル 出処はヤースラニ荒野を包んだ、あの光り輝くドームだ。 俺たちは、例の軍勢がドームの方から現れるのを見た。 ウクラマト ああ、そのドームとやらについてだが…… 実は、少しばかり心当たりがあるんだ。 クルル その話をするなら、同席してもらいたい「助っ人」がいるの。 ここに招いてもいいかしら? ウクラマト ああ、もちろんだ! クルル 許可が出たわ。 ふたりとも、王宮に来てくれるかしら。 ???? みんな、待たせたな……! アリゼー ラハ? それに、ヤ・シュトラまで!? ヤ・シュトラ ……長い船旅だったわ。 少し休んでから合流しようと思っていたけれど、 そうも言っていられない状況のようね。 グ・ラハ・ティア ああ、バルデシオン委員会の方は心配ないさ。 急ぎの仕事はきっちり片付けてきたし、 クルルが呼んでるならって、みんなが留守を預かってくれた。 クルル 継承式のあとのことよ……。 グルージャジャさんが、新たなふたりの王に、 黄金郷にまつわる過去を語ってくれることになったの。 クルル ラマチが気を利かせて、待機していた私にも声をかけてくれた。 それで、恐れ多くも同席させてもらったの。 クルル その内容は、バルデシオン委員会として看過できないものだった。 だから代表代行として、「専門的知識」の持ち主である、 ふたりを招聘(しょうへい)していたの。 クルル でも、予想外にもドーム出現に始まる一連の出来事が起きた。 おそらく、そのあたりとも無関係じゃない話よ。 ヤ・シュトラ 私たちもまだ詳しい話は何も聞いていないわ。 クルル、順を追って話してくれる? クルル そもそも、私がトラル大陸に来ようと思ったのは、 一通の手紙を見つけたことがきっかけだった。 クルル それは20年前に、連王グルージャジャさんから、 ガラフおじいちゃんに宛てた手紙だったわ。 アルフィノ 内容はたしか、 黄金郷の調査に協力してほしい、というものでしたね。 クルル ええ……だけどバルデシオン委員会に、 黄金郷に関連する調査記録は存在していない……。 クルル 私はおじいちゃんが何をしていたのかを知るために、 継承の儀に参加させてもらったわ。 クルル そしてついに、グルージャジャさんから、 20年前の出来事が明かされたの……。 クルル ガラフおじいちゃんは、 実際に天深きセノーテの最奥を訪れ、調査をしていた。 私たちも見た、あの「黄金郷の扉」をね……。 グ・ラハ・ティア 扉……それが、オレたちを呼んだ理由なのか? クルル ええ、実はね、その扉が開くと…… ヤ・シュトラ 繋がったんでしょう? いずこかの鏡像世界と……。 ケテンラム ここからは、俺が引き継ごう。 俺も20年前のあの日、調査に同行していたもんでな。 ……当事者として、何があったか説明させてくれ。 ケテンラム 忘れもしねえ。 俺とグルージャジャ、そしてバルデシオン委員会のガラフが、 天深きセノーテの最奥を調べていたときのことだ……。 ガラフ・バルデシオン この黒い石材はいったい……? ガラフ・バルデシオン ここに至るまでに広がっていた遺跡に、 まったく異なる文明の遺物が侵食しているようだ……。 理のグルージャジャ ヨカフイ族の記録によれば、 彼らの祖先が石切場としてこの遺跡を拓いたのは、 千年以上も昔のこと……。 理のグルージャジャ 当時、このような光る石は存在しなかったようです。 ガラフ・バルデシオン ふむ……。 ガラフ・バルデシオン 石材の内部にエーテルが蓄積されているようだ。 表面に浮かぶ文様は、ある種の魔法陣にも見えるが…… ガラフ・バルデシオン 古代アラグ文明とは異なり、魔大戦期のそれとも似ていない。 強いて言えば、南洋諸島の算術に近い整然さを感じるが、 到底一致しているとは…… ケテンラム なんだ!? 武のグルージャジャ お、おい……! お前さん、何かやったのか? ガラフ・バルデシオン いえ、私は何も…… ケテンラム 地震か!? ふたりとも、気を付けろ! 武のグルージャジャ なにが起こってやがるんだ!? こんなこと、今の今まで一度だって……! ガラフ・バルデシオン ヴォイドゲート!? いや、違う……これは……? ガラフ・バルデシオン え……あ、赤子……? ガラフ・バルデシオン 待ってください、これはいったいどういうことですか!? ケテンラム これは……!? 武のグルージャジャ お前さんたちは、何者だ!? ケテンラム それからガラフは数年にわたって調査を続けたが、 以降、再び扉が開くことはなかったよ。 ……そして最終的に、彼はこう結論づけた。 ケテンラム かの扉は、未知の技術体系で作られたものであり、 ヴォイドとも異なる世界に通じるものであった……。 ケテンラム 俺たちは、金色の光を帯びたあの遺跡を、 黄金郷だと考えて調査を依頼したわけだが…… 開いた扉の先にこそ「本物の黄金郷」があったわけだ。 ケテンラム 渡された人工物(アーティファクト)についても、 用途の解明までには至らなかったよ。 ケテンラム しかし、遺跡で見られた黒い石との類似性から、 何らかの重要な意味を持つものと判断…… 王宮で厳重に保管することとなったのだ。 ケテンラム そうしてガラフは調査を終えると、 女性から託された赤子を養子として引き取り、 シャーレアンへと帰還していったという次第さ。 アリゼー じゃあ、その赤ちゃんっていうのは……! クルル 手紙と一緒に隠してあったこの耳飾りも、 おくるみに入れられていたものみたい。 アルフィノ 驚いたな……それが事実だとするならば、 クルルさんは原初世界の生まれではないことになる……。 クルル そういうことになるわよね。 私もまだ、完全に受け入れられたわけじゃないんだけれど……。 クルル でも、振り返ると思い当たる節もいろいろ出てくるの。 おじいちゃんに私を拾ったときのことを尋ねても、 いつも、はぐらかされていたし……。 クルル だとしても、今気にすべきは私の生まれじゃないわ。 ヤ・シュトラ ここトライヨラを襲ったという謎の軍勢が、 黄金郷の扉の「向こう側」と関連している…… そう疑っているのね? アリゼー たしかに、あの機械仕掛けの兵士たちの体は、 天深きセノーテの奥で見た物質と似たような素材でできていたわ。 ケテンラム 加えて、それを率いていたのが、 ゾラージャだったという点も、 黄金郷との関連を疑う要因になりえる。 ケテンラム 実は、継承式があった日のこと、 ヤクテル樹海にある俺の家に賊が侵入してな……。 不意を突かれ、無様にも昏倒させられちまったんだ。 ケテンラム どうにか気がついたときには室内が荒らされ、 グルージャジャから預かっていた品々が消えていた……。 ケテンラム 扉の監視という役目のため、保管していた秘石がな……。 アルフィノ まさか、その賊というのは……! ケテンラム 朦朧とする意識の中、去りゆく賊の背中を見たんだが…… 青い鱗のフビゴ族だったよ。 そんな特徴を持つのは「奇跡の子」であるゾラージャのみだ。 コーナ 加えて、王宮で保管されていたアーティファクトも、 継承式で手薄になった隙をついて盗まれていました……。 アルフィノ つまりゾラージャが、盗んだ石板を使って封印を解除、 何らかの方法で「黄金郷の扉」を開き…… 鏡像世界の技術と軍勢を手に入れた、と? コーナ そうなるとヤースラニ荒野のドームもまた、 鏡像世界とやらに由来している可能性が高いことになりますね。 エレンヴィル ……待ってくれ。 鏡像世界がどうのって……さっきから……! 俺の故郷はどうなってるんだ……!? ▼今こそ「暁」の出番かな? アリゼー ええ! 天の果てに行ったんだもの。 謎のドームの中くらい、乗り込んでいってやろうじゃないの! ヤ・シュトラ 表向き「暁」は解散したことになっているから、 内密にしておいてもらえると助かるわ。 グ・ラハ・ティア 大丈夫、調査はぬかりなくやるさ。 なんといっても、うちの英雄が乗り気なんだからな! ウクラマト アタシも行くぞ。 ゾラージャがそこにいるなら、 行って決着をつける必要があるからな。 ウクラマト 正直、お前たちの話はさっぱりだが…… それでも、アタシは決めたんだ。 ウクラマト 武王として、トライヨラのみんなの笑顔を取り戻すために、 ゾラージャを討ち倒すって……!! コーナ ……僕もラマチと想いは同じ。 ですが、連王がそろって玉座を空けるわけにはいきません。 コーナ 遺憾ながら…… 僕は理王として、トライヨラに残りましょう。 コーナ 何があっても、僕が必ず民と国を守ってみせるよ。 だからラマチは、君の思うとおりに…… 目の前に広がる路を、思いきり突き進めばいい。 ウクラマト ……ありがとよ。 アルフィノ それなら私たちの方も、 ドーム突入組と、残留組の二手に分かれてはどうだろう? ヤ・シュトラ 賛成よ。 私はこちら側で調べておきたいことがあるの。 アルフィノ 私もヤ・シュトラとともに残留しよう。 トライヨラの上空には未だに巨大戦艦が停泊している。 いざという時のために、手を打っておく必要があるからね。 クルル 私は……ドームに行きたい! クルル バルデシオン委員会として、 世界の脅威を調査すべきだというのはもちろん……。 クルル 自分の出自探しを優先するつもりはないけれど、 やっぱり知りたいのよ。 扉の向こう側のことを……。 エレンヴィル それなら俺も連れていってくれ……! エレンヴィル 頼む……あのドームの中には俺の故郷があるんだ。 おたくらみたいには戦えないが、その分、土地勘はある。 ウクラマト 頼りにしてるぜ! 元々、アタシの方からガイド役を頼むつもりだったしな! アリゼー 私も突入組に回るわ。 報告を待ってるだけなのは、性に合わないし! ヤ・シュトラ グ・ラハ・ティアも突入組に加わってくれるかしら? あなたの経験と知識は、きっと現地で役立つものよ。 ヤ・シュトラ その間に私は、黄金郷の扉について調べておくわ。 情報交換をしながら調査を進めましょう。 グ・ラハ・ティア そういうことなら、了解だ! ドームの内外で連絡が取れるようなら、 わかったことは適宜共有するよ。 アルフィノ 希望が出揃ったようだね。 良い布陣になったんじゃないかな。 アリゼー そうね、異論はないわ。 鏡像世界にまつわる脅威の調査……そして何より、 このトライヨラを護るために、みんなで協力しましょう! ウクラマト ありがとよ、みんな……! 一緒に戦ってくれる仲間がいるってのは、やっぱ心強いぜ! ウクラマト ただ、出発の前に、少しだけ時間をくれ。 みんな、突然の襲撃で動揺してるはずだからな…… 王として、しっかり想いを伝えておきたいんだ。 ウクラマト アタシが今やるべきこと……。 これだけは、今向き合わないとならねぇんだ。 『頼れる仲間と共に』 ウクラマト 声、かけてきてくれたみたいだな……。 ほんとにありがとよ。 アルフィノ 私も今しがた戻ってきたところだけど…… アリゼーは君がまだ粘っていると聞いて、 またすぐに飛びだしていったよ。 コーナ ……トライヨラの問題にあなた方を巻き込んでしまって、 今更ながら申し訳ありません。 アルフィノ 私たちも継承の儀を通じて、トラル大陸の各所を巡ってきたんだ。 そして、そこで生きる人々と出会ってきた…… 他人事と思えるはずもないさ。 アルフィノ なにより、これはトライヨラだけの問題ではないはずだ。 かねてから世界統一という野望を抱いていたゾラージャのことだ、 放置すれば、いずれは大陸の外も狙うはずだからね。 アルフィノ だから、君たちが護りたいものを…… 私たちにも、ともに護らせてほしい。 コーナ ありがとうございます……。 この御恩は、きっと忘れません……。 アルフィノ それよりも、君たち自身は無理してないかい? 休む間もなかっただろう。 ウクラマト ……あたしは、もう大丈夫だ。 Tobariのおかげでな。 コーナ 僕の方もご心配なく。 父さん……いえ、父上から大切なものを受け継ぎましたから。 コーナ 今の僕には、護るべき大切な人たちがいる……。 悲しみは癒えずとも、立ち止まることはありません。 コーナ あらゆる手段を駆使して、この国に平和を取り戻す……。 それが父上にできる弔いなんです。 コーナ その一歩として…… まずは今の僕たちの精一杯の言葉を、みんなに届けてこよう。 ウクラマト コーナ兄さん……! ウクラマト それじゃあ、そろそろ準備してくるぜ。 始まるまで羽毛広場で待っててくれ! ヤ・シュトラ いい若者たちね。 グ・ラハ・ティア ……ああ。 コーナ ……ラマチ、大丈夫かい? ウクラマト ああ、大丈夫だ。 ウクラマト すべて受け止める覚悟はできてるさ。 悲しみも、怒りも、全部……。 コーナ 僕はこの国の理王であり、君の兄だ。 ラマチだけに、背負わせはしない。 ウクラマト すでに知ってる奴も多いと思うが…… 先代の連王であり、アタシのオヤジであるグルージャジャが、 先の襲撃で命を落とした。 ウクラマト 襲撃を率いる頭目に決闘を挑んだオヤジは、 正々堂々と戦い、一度は勝利を手にした……はずだった。 ウクラマト 敵は不可思議な術を使って蘇ると、 驚くべき力でオヤジの命を奪ったんだ。 ウクラマト アタシは、それを見ていることしかできなかった。 決闘を申し入れたオヤジの誇りを、 傷つけるわけにはいかなかったんだ。 ウクラマト みんなの中にも、愛する者を傷つけられたり、 殺されたりした者もいると思う。 ウクラマト この場を借りて、謝らせてくれ。 武王として、護ってやれなくてすまなかった……。 ウクラマト そして、もうひとつ…… みんなに詫びなきゃならないことがある。 襲撃を主導したのが、アタシの兄、ゾラージャであったことだ。 シャトナ族の青年 ゾラージャ様が……!? シュバラール族の青年 俺も見たぞ! ウクラマト 奴らはヤースラニ荒野を占拠したらしく、 今やあの地は、巨大な輝くドームによって閉ざされてる。 家族や親しい知人がいる者は、気が気じゃねぇだろう。 ウクラマト アタシは武王として、これ以上奴らの好きにはさせねぇ。 オヤジが築いた平和を、命を懸けて護ってみせる。 トナワータ族の青年 護れるのか!? 見たこともない不気味な機械を使う連中が、 今もまだ、空の上から俺たちを見下ろしているんだぞ! ウクラマト そのとおりだ。 ただ待ってるだけじゃ、みんなを守ることはできねぇ。 ウクラマト だから、向こうが攻め入ってくる前に、 今度はこちらから乗りこんでいって、ゾラージャを討つ。 コーナ 武王が留守の間、王都の防衛は理王である僕が担います。 もう二度と、皆さんに指一本触れさせはしません。 ウクラマト オヤジの意思を受け継いだふたつの頭が、 みんなの笑顔を、必ず取り戻してみせる! だから……信じて待っててくれ! 戦のバクージャジャ ゲッグッグッグ! 戦のバクージャジャ 武王が自ら武器を掲げて攻め入り、 理王が守りを固めるっていうなら…… オレサマは異論ないぜェ。 戦のバクージャジャ だが、ただ黙って見てるだけじゃねェぞ! この国を守るためなら、オレサマだって戦うぜェ! 魔のバクージャジャ オイラも戦うよ! 戦のバクージャジャ さぁ、これでふたり……いや、ふたつか? 戦のバクージャジャ ええいそんなことはどうでもいい、お前らはどうすんだ!? ただ黙って連王に守ってもらってるだけか!? ハヌハヌ族の老人 然り、然り……我らもともに抗おう……! 同じ大地に生きる皆がひとつになってこそ、 トライヨラ連王国なのだ! トナワータ族の青年 そうだよな。 俺たちだって、この国が大好きなんだ……。 トライヨラの青年 俺は戦うぞ! トライヨラのために! ヘイザ・アロ族の青年 よっしゃ! 俺もやるぜ! フビゴ族の女性 私たちは、この国のひとりなんだから! ウクラマト みんな、ありがとよ! コーナ 敵は一度、こちらに手の内を明かしています。 あの空に浮かぶ脅威を打ち払う策も、 必ずや見つけ出してみせましょう。 コーナ この国を愛する皆さん…… そして外つ国の友人たちと手を取り合うことができれば、 二度目の敗北はありえません! コーナ 奴らに、トライヨラの力を見せつけてやりましょう! ウクラマト あらためて知ったよ。 アタシ、この国とみんなのことが大好きだ! ウクラマト 不安かもしれねぇけど、今は雌伏のとき…… どうか変わらぬ日常を送ってもらいたい。 ウクラマト そうして力を、食料を、資材を備え蓄えることが、 アタシらの国を揺るぎないものとするはずだ。 ウクラマト だが、そのときが来たら、みんなの力を貸してくれ! ウクラマト トライヨラは決して屈しない! 必ずこの国に平和を取り戻し、みんなで笑おう! 『心をひとつに』 グ・ラハ・ティア ……ウクラマトとコーナの演説を聴いて、 第一世界での日々を思い出したよ。 グ・ラハ・ティア 水晶公は王だったわけじゃないが、 それでもクリスタリウムのみんなに語りかける機会は多かったし、 彼らは言葉で、行動で応えてくれた。 グ・ラハ・ティア トライヨラの人々からも、同じ気風を感じたんだ。 ……いい国だな。 アルフィノ さて、いよいよ出発するときだね。 アルフィノ 突入組はこのままサカ・トラルへ向かうとして…… 残留組の私たちも、途中までは同行させてもらうつもりだよ。 ヤ・シュトラ ええ、あのドームがどういう性質のものか…… 直接この目で視ておきたいの。 アルフィノ それでは、準備が整い次第出発しよう。 ラマチには私から声をかけて…… ???? おおーーい! アリゼー あ……ラマチ! アルフィノ ちょうど呼びにいこうと思っていたところだよ。 もういいのかい? ウクラマト ああ、時間をくれてありがとよ。 おかげでトライヨラのみんなから、勇気までもらえちまった! ウクラマト よっしゃ、この勢いのまま出発しちまおうぜ! 「サカ・トラル関門前」に集合だ! ウクラマト みんな、準備はよさそうだな。 ウクラマト トライヨラのみんなのために、絶対に負けられねぇ。 どんなことがあっても、ゾラージャ兄さんを…… いや……ゾラージャを討って、トライヨラに平和を持ち帰る。 ウクラマト それじゃ、まずは「シャーローニ荒野」へ急ごう! 現地で監視にあたっている勇連隊から、 向こうで動きがあったって報告も上がってきてるからな……。 ウクラマト 勇連隊から報告が上がってきてたんだ。 この数刻の間に、次々とあの船がドームの方角から飛来してきて、 威圧するように留まり始めたってな……。 アリゼー 嫌な感じ……。 トライヨラのものと同じで、攻撃してくる様子はないわね。 ウクラマト ああ、だが念のため各地の様子を見ておきてぇ。 ウクラマト ヤースラニ荒野に向かうにせよ、ドームの様子を見るにせよ、 シャーローニ駅の辺りに行くことになる。 その道中にある集落に寄って、状況を確認しておいてもいいか? エレンヴィル 俺も手伝おう。 ここらの連中とは交流があったばかりだからな。 ウクラマト 助かるぜ! それなら二手に分かれよう。 ウクラマト エレンヴィルとアリゼー、それからTobariは、 アタシと一緒に集落を回って、住人たちから情報収集を…… その間に、残りのメンバーはドームの様子を確認しておいてくれ。 アルフィノ 了解だよ。 では、後ほどシャーローニ駅で合流しよう。 ウクラマト まずは、フーサタイ宿場町に行こう。 たしかあそこは、自警隊が仕切っていたはずだな。 エレンヴィル ああ、隊長の「ケマッカ」に話を聞けばいいだろう。 ケマッカ 君たちは先日の…… それにウクラマト様までご一緒とは……! ウクラマト 自警隊のケマッカ隊長だよな? 町のみんなの様子はどうだ? ケマッカ ええ……幸いにも、この町に直接的な被害はありません。 空に浮かぶ船がやってきたときには騒然としましたが、 今のところ動きもなく……。 ケマッカ しかし、いろいろな情報が錯綜してましてね…… 自警隊総動員で確認に当たっているのですが、 まだシェシェネ青燐泉の方までは手が回っていない状況です。 ケマッカ 向こうの方には、 機械仕掛けの兵士が現れたという情報もあったのですが……。 ウクラマト 何だって!? 住民を襲ってたら大変だぞ……! エレンヴィル だとすると、ほかの集落も心配だな…… 俺はメワヘイゾーンを見てくる。 おたくらは「シェシェネ青燐泉」へ向かってくれ。 アリゼー 私もエレンヴィルに同行するわ。 またあとで落ち合いましょう! ウクラマト 機械仕掛けの兵士は……。 ウクラマト よかった。 今のところ見当たらねぇな。 ウクラマト ひとまずは安心だが、情報の出処は確認しておかねぇとな。 手分けして調べてみようぜ。 XTRR社の事務員 あなたはたしか、先日手伝ってくださった……! XTRR社の事務員 ワーリカ社長たちは状況確認のために出払っていますが、 ニトウィケさんは無事だと連絡がありました……! XTRR社の事務員 一番列車がヤースラニ駅に到着した後、 こっちに引き返す途中で例のドームが出現したようです。 XTRR社の事務員 ですので、折り返し便の乗員乗客は無事なのですが、 ヤースラニ駅で下車した方々の安否までは……。 XTRR社の事務員 せっかく線路が直ったのに、 直後にこんなことが起こって、本当に大混乱ですよ……。 イヤーテ あっ、Tobariさん! 来てくれたんだね……こっちはなんとか無事だよ! イヤーテ 実は上のアレが来てから、 白黒の甲冑を着込んだ不気味な連中が現れてさ。 ここを包囲しようとしてきたんだ……。 イヤーテ でもね、すっごく強い旅人さんが助けてくれたんだ! あっという間に敵を薙ぎ払ってくれててさ。 イヤーテ 名前を聞きそびれちゃったんだけど…… 槍使いの男の人だったよ! イヤーテ その人のおかげでここは無事だけど、 ヤースラニ荒野のみんなは大丈夫かな……連絡がつかなくてさ。 ナミーカさんも無事だといいけど……。 ウクラマト ……そうか、お前も聞いたみてぇだな! 機械仕掛けの兵士から守ってくれた、槍使いの男……。 ウクラマト それってやっぱり…… ???? なんだ、なんだ? 俺様の噂話か!? デコワ へっへっへー! デコワ様の大活躍のおかげで、この町は無事だぜ! デコワ それから、この旦那もな! ばっさばっさと敵をなぎ倒してさ……すごかったんだぜ! エスティニアン ……来たか。 いったいこれは、どういう状況なんだ……? ウクラマト エスティニアン、やっぱりお前だったんだな! みんなを守ってくれたって聞いたぜ……ありがとよ! エスティニアン 礼には及ばん。 あの鎧を着た人形もどきそのものは、大して強くはなかった。 それよりも…… エスティニアン 町の連中から、グルージャジャが殺られたと聞いたが本当か? 衰えていたとはいえ、並みの相手に負けるとは思えんが……。 ウクラマト ああ、本当だ。 オヤジは卑怯な手を使われて、ゾラージャに……。 ウクラマト この落とし前は絶対につける。 グルージャジャの娘として、連王として……絶対にだ。 エスティニアン Tobariのことだ。 こいつと一緒に、敵地に乗り込むつもりなんだろう? エスティニアン ……なるほどな、「暁」の奴らも一緒なら心配あるまい。 ならば、俺は今しばらくこの地に留まり、守りに手を貸そう。 ウクラマト そうしてもらえると心強いぜ! コーナ兄さんにも報せておくから、 いざという時は連携をとってもらえるとありがてぇ! デコワ コーナ兄さん……? デコワ え、もしかしてこの人……武王様ぁ!? ウクラマト ああ、デコワって言ったか? お前のことも頼りにさせてもらうぜ! デコワ うおおお、任せてくれよ武王様! あんな奴ら、バンバンバンってやっつけるからよ! デコワ 俺様の銃の腕前は、 Tobariがよく知ってるもんな!? ウクラマト へへっ、そいつは頼もしいぜ。 ふたりとも、シャーローニ荒野をよろしくな! デコワ っしゃあ、エスティニアンの旦那! さっそく見回りに行こうぜ! エスティニアン くれぐれも、無茶だけは…… エスティニアン ……いや、言っても仕方ないか。 相棒、お前の納得できるようにやりきってこい。 ウクラマト それじゃあ、そろそろヤ・シュトラたちと合流するか。 「シャーローニ駅」に向かおう! ウクラマト こっちは大きな被害はなさそうだったぜ。 エスティニアンたちのおかげでな。 エレンヴィル ヘイザ・アロ族の集落も無事だった。 彼らのところに敵兵は降りてきていないみたいだ。 ウクラマト ヤ・シュトラたちの方は、何かわかったか? ヤ・シュトラ ドームのエーテルを視てみたけど、 かなり強い雷属性の力で覆われていたわ……。 ヤ・シュトラ あれほどの密度となると、触れるだけでも命取りでしょうね。 無闇に近づくのは避けた方が無難だわ。 ウクラマト となると、どうやって突破するか……。 ゾラージャや敵兵が出入りしていたわけだから、 どこかに出入口みたいなものがありそうだけどな……。 ???? その出入口なら、僕たちわかるかも! エレンヴィル ここの鉄道会社の連中だ。 シャーローニ荒野とヤースラニ荒野を繋ぐ列車を運行している。 ダーピャ 実は、ヤースラニ荒野の近くまで行って、 途中で立ち往生していた列車を回収してきたんだ。 そのとき、ついでにドームとの境界も確認してな……。 シェンダ それでね、僕たち望遠鏡で見ちゃったんだよ! ドームを貫通するように造られた…… どでかい基地のようなものをさ! アリゼー 貫通するように……? ということは、そこから中に通じているのかしら。 ダーピャ 遠くから観察しただけだが、 建物からはたくさんの兵士たちが出入りしていた。 恐らく、ドームの内外を繋ぐ通路のようなものだと思う。 ダーピャ だが、周辺に防備が張り巡らされていて、 簡単には近づけそうにもなかったぜ。 エレンヴィル ところでワーリカ、 一番列車の乗客たちのことは、なにかわかってないか? ウクラマトの乳母だった人も乗っていたはずなんだ。 ウクラマト 何だって!? ナミーカが……!? ワーリカ ……列車に乗っていたのは、 ヤースラニ駅からの、折り返し便の乗客だけだ。 ニトウィケ あたしは機関士だったから、しっかり確認してる。 あの一番列車に乗っていた人たちは、全員無事に下車したし、 折り返すときも、何の異状もなかったんだ。 ニトウィケ なのにヤースラニ駅を出発して、しばらく走ったところで、 ものすごい地震が起こって……緊急停車させて…… 振り向いたときには……。 シェンダ 線路さえ無事だったら、 ヤースラニ荒野まで列車で送ってあげられるのに…… よりによって、その線路上に基地があるんじゃなあ……。 クルル 基地がドームの内側へと通じる通路だとして、 どうやって敵に見つからずに近づくかも問題よね……。 ウクラマト ……隠れる必要なんてねぇ。 正面突破だ。 ウクラマト 考えなしに言ってるわけじゃねえぜ。 ゾラージャはアタシに、武王としての器を証明しろと言った。 それができなかったとき、みんなが危険に晒される……。 ウクラマト だからこそ、正面から殴り込んでいって、 アタシが攻めてきたと知らしめる必要があるんだ。 ゾラージャの目を引き付けるためにな! ワーリカ へっ、気に入ったぜ! ワーリカ みんな、俺の提案を聞いてくれ。 正面突破は上等だが…… 近づく前にやられちまったんじゃ意味はねえ。 ワーリカ だからこそ素早く接近して、 最初の一撃で基地の守りを崩す、そんな策が必要なはずだ。 ワーリカ だったら……特製の爆弾列車を作ろうぜ! 列車を装甲で覆った上で高濃度の青燐水を積んで、 基地に突っ込ませるんだ! シェンダ えええええ!? ちょっとちょっと……社長、何言ってんの!? ダーピャ せっかく青燐機関車が無事だったってのに、 それをわざわざ壊すような真似をするってのかよ!? ワーリカ ……俺は本気だぜ。 大陸横断鉄道は、俺たちが描いてきた夢そのものだ。 これから先もたくさんの夢を乗せて走るはずだった……。 ワーリカ 今、その路の上に障害ができちまった。 それを黙って見ていることなんて、できねえ相談だよな? ワーリカ だったら、俺たちがやるしかねえだろうが……! ワーリカ それになあ、俺はこいつらの気概が気に入ったんだ! 得体の知れねえドームに乗り込もうなんざ、 よっぽど肝が据わってなきゃできねえ。 シェンダ で、でもさ……! ニトウィケ あんたたち、よく聞きな。 人間、いくらひどい挫折を経験したってねえ、 命さえありゃ、何度だってやり直せるチャンスはあるんだ! ニトウィケ 列車のひとつやふたつ、また作りゃいいんだよ。 生きてるくせに、うだうだ文句言ってんじゃないよ! シェンダ 死んだら文句言えないじゃん……。 ニトウィケ それから、その爆弾列車の運転は、 あたしが引き受けさせてもらうよ! ニトウィケ この列車は片道切符! しかも、爆発に巻き込まれないよう到着直前に飛び降りる、 強制途中下車の、暴走特急だ! ニトウィケ それでもよけりゃ、乗ってくかい? ワーリカ こいつ、こうなったら聞かないからな……。 ワーリカ ただし、命だけは大事にしてくれよ。 ▼ワーリカを飲んだくれにはさせないよ ワーリカ あ? 俺は酒は一滴も飲まねえよ。 ワーリカ 列車に未練が無いと言えば嘘になるが…… ワーリカ 最高の仲間と、最高の妻がいる。 今の俺には、それで充分なんだよ。 シェンダ まあ、トラル大陸を救う伝説の列車ってことになるなら、 そんなに悪くないかもね……。 ダーピャ ……ああ。 こうなったら仕方ねえ、とことん改造するぞ! アリゼー 魔導技術の知識があるわけじゃないけど…… 手伝えることがあったら、やらせてちょうだい! ワーリカ おっ、助かるぜ嬢ちゃん! ワーリカ そんじゃ、もしほかにも手を貸してくれる奴がいたら、 倉庫の方まで来てくれよな! アルフィノ 現状打破のために、やることは見えたようだね。 私は急ぎトライヨラに戻って、理王コーナに状況を報告するよ。 ヤ・シュトラ 私も、すぐに戻らないと……。 調べなければならないことが増えたようだから。 ヤ・シュトラ あのドームと、黄金郷の扉…… 属性的な偏り方が似ている可能性がある。 詳しい調査をすれば、役立てることがあるかもしれないわ。 ウクラマト よくわからねぇが、 この謎だらけの状況を解き明かす手がかりは多いほどいい。 みんなで手を取り合って、日常を取り戻そうぜ! ウクラマト ……列車がワーリカたちにとって大切な物だってこと、 ちゃんとアタシにも伝わったよ。 ウクラマト それでも、トライヨラのためにこの作戦を提案してくれた……。 彼らの厚意を無駄にしねぇためにも、必ず成功させよう。 『荒野に落ちる影』 グ・ラハ・ティア ……作戦に異論はないが、少し確認してもいいか? グ・ラハ・ティア 爆弾列車で基地の防備に風穴を開ければ、 ドーム内に入るための足がかりは作れるだろう。 だが、ゾラージャ側からの都市部への報復は考えなくていいのか? ウクラマト その可能性については、アタシも考えた。 ……ただ、ゾラージャはこう言ってたんだ。 ウクラマト 「決闘」の機会を与える…… そして「我が国」に攻め入ってこいって……。 ウクラマト つまり、アタシたちに余裕を見せつけることで、 自分の国が、トライヨラより格上であることを誇示したいのさ。 ウクラマト だから、武王不在の都を攻めて、満足はしねぇはずだ。 ドーム内で堂々と待ち受け、望みどおりアタシらが攻め入れば、 力の差を見せつけ、叩き潰そうとしてくるはずだからな……。 アリゼー そうね……むしろ、ゾラージャの期待を裏切れば、 トライヨラは危険に晒されると思うわ。 クルル 少なくともトライヨラの防衛体制が整うまでは、 こっちは彼の望みどおり動くしかないってことね。 ウクラマト ああ、真正面から乗り込むことで、 アタシがゾラージャの注意を引き付ける。 ウクラマト その間に、コーナ兄さんたちが必ず、 最良の防衛策を考えてくれるはずだ……! グ・ラハ・ティア ……そこまで考えているなら何も言うことはないさ。 ほかでもない、義妹のあんたの言うことだ。 グ・ラハ・ティア よし…… この作戦を成功させるために、オレも知恵を絞ろう。 敵の抵抗に遭うことは、想定しておくべきだからな! ウクラマト へっ……ありがとよ、グ・ラハ! ウクラマト それじゃ、悠長にしてる時間もねぇことだし、 「ワーリカ」のとこに行こうぜ。 みんなで列車改造だ! ワーリカ よっしゃ、ここから急ピッチで進めるぞ! お仲間さんたちには、すでに作業を割り振っておいたぜ! ウクラマト アタシたちは何を手伝えばいいんだ? 何でもするから遠慮なく言ってくれよな! ワーリカ ああ、お前さんたちには、ちと相談したいことがあってな。 改造の方針についてと……必要な職人についてだ。 ワーリカ 継承の儀で各部族と交流してきたお前さんたちだったら、 協力してくれそうな奴らを知ってるんじゃないかと思ってな。 ウクラマト そういうことならアタシたちに任せてくれよ! ばっちり答えてみせるぜ! ワーリカ ありがてえ……! そんじゃ、さっそく質問させてもらうぜ! ワーリカ よし、ひとつ目の相談なんだが…… 敵の基地に近づけば、当然迎撃される可能性があるだろ? ワーリカ お前さんたちに敵の対処を任せるとしても、 青燐水が満杯になった貨車を狙われたら、ひとたまりもねえ。 ワーリカ 目撃者の話じゃ、敵兵は雷撃を放つ武器を使うらしい。 だから、クリスタル製の避雷針でも付けようと思うんだが…… 「大工仕事が得意な知り合い」はいないか? ワーリカ ほう、オック・ハヌに優秀な大工がいるんだな。 そいつはぜひとも協力を頼みてえ! ウクラマト ああ、ウケブなら申し分ないな! ちょっと気難しいところもあるけど…… 「オフォカリー」って挨拶すれば大丈夫さ! ワーリカ ……ただ、いかに腕利きでも、 ひとりだけじゃ、作業がいつ終わるかわからんな。 ワーリカ 「身体が大きくて、力持ちの知り合い」はいないか? 大きくて重い部品を楽々運べる奴がいれば、 それだけ仕上がりも早くなるはずだ。 ウクラマト ああ、あいつらなら助っ人としてばっちりだな! ヨカフイ族の怪力ぶりは有名だし、 トライヨラのためなら、きっと助けてくれるさ! ワーリカ おお、ヨカフイ族にまで知り合いがいるのか! さすがだな、ぜひ当てにさせてくれ! ワーリカ んじゃ、次の相談に移らせてくれ。 列車に取り付ける「武装」についてなんだがよ……。 ワーリカ 高速で爆走する列車の迎撃には、 あの空飛ぶ乗り物を使ってくる可能性が高いだろう。 だから対抗手段が必要だと思ってな。 ウクラマト たしかに、アタシは魔法を使えないし、 コーナ兄さんみたいに銃が使えるわけでもねぇ……。 ウクラマト 遠距離攻撃が可能な武装……何か思いつくか? ワーリカ なるほどな……バリスタか。 だが、いちいち一発射つごとにボルトを装填して、 弦を引き絞ってとなると、時間がかかってしょうがねえ。 ワーリカ もっと、装填が楽にできる方法があればいいが、 兵器となると専門外だからな……。 グ・ラハ・ティア そういうことなら、オレに任せてくれないか? グ・ラハ・ティア クリスタリウムにあった「魔装砲」を参考にできそうだ。 いわば魔法版のバリスタってところだな。 グ・ラハ・ティア オレが造ったわけじゃないが、構造は理解しているから、 材料と金属加工に長けた職人さえいれば、なんとかなるはずだ。 ウクラマト 金属加工となると、フォンジャンテーンに頼めそうだぜ! 材料は何が必要なんだ? グ・ラハ・ティア 砲身はエーテル伝導率が高い金属なら何でもいい。 ただ、エーテル供給源になる高純度のクリスタルが必要…… それも火属性の力を秘めたやつがな。 ワーリカ うーむ……火属性の高純度クリスタルか…… それならシェシェネ青燐泉の採掘師が詳しいかもしれんな。 グ・ラハ・ティア なら、クリスタル調達と職人の手配は任せていいか? その間にオレは、設計図を起こしておこう。 ワーリカ おうよ! 職人の手配は俺が引き受ける! ワーリカ んで、お前さんには、必要な材料の調達を頼みたい。 材料の管理はシェンダに任せてあるから、 奴と話し合って進めてもらえると助かるぜ! ワーリカ これで後はどうにかなりそうだな。 相談に乗ってくれてありがとよ! ワーリカ よーし、さっそく手配してくるぜ! 最高の素材と最高の職人を集めて、最高の爆弾列車を作るぞ! ウクラマト へへっ、うまくいきそうだな! ウクラマト アタシもヨカ・トラルのみんなに連絡して、 手伝ってもらえねぇか、掛け合ってくるよ! ウクラマト そっちはバリスタの材料の調達、よろしくな! 「シェンダ」なら南東の方で見かけたぜ。 シェンダ ええと…… 装甲に使う木材の発注は済んだから、次は…… シェンダ うわ、ごめん気がつかなかった! 僕になにか用? シェンダ なるほど、魔装砲って奴を作るための材料が必要、と……。 そのエーテル伝導率が高い金属っていうのは、 心当たりがあるから、こちらで引き受けるよ。 シェンダ ただ火属性の高純度クリスタルとなると、 採掘師の人に聞かないと、調達方法がわからないかも……。 まるっと頼んでもいい……? シェンダ 最高! もう、ほんと神様! シェンダ たしか、君ってば「イヤーテ」さんと知り合いなんだよね? 彼女は、ここらでは名の知られた採掘師だから、 相談してきてもらえると助かるよ! イヤーテ あら、また会いに来てくれて嬉しいよ。 で、どうしたの? イヤーテ 火属性の高純度クリスタルかあ…… それなら前に一度、話を聞いたことあるよ。 イヤーテ たしか……えーと…… すぐ思い出すから、ちょっと待って! 『路を拓くために』 ウクラマト シェンダから聞いたぜ、 高純度クリスタルの調達に行ってくれたんだって? ありがとよ! ウクラマト アタシの方も、助っ人を募集してきたところだ。 誰が駆けつけてくれるかは、来てのお楽しみだな! エレンヴィル こっちも、準備は順調にいってる。 あとはとにかく、人手がそろえばって感じだな。 エレンヴィル 正直、故郷のことを考えると気が気じゃないが…… 今ばかりは待つしかない。 ウクラマト なあ、エレンヴィル…… お前のおふくろも、必ず見つけだすからな。 ウクラマト カフキワとは、アタシが小さいころに会ったきりだけど、 80年前にオヤジと一緒に旅したときの話とか、 いろいろ聞きてぇしよ! エレンヴィル ふっ……きっと、1聞けば100は答えが返ってくる。 おふくろはそんな奴だから、長話は覚悟しておけよ。 ウクラマト ああ、そいつは楽しみだ! ウクラマト それじゃあ、手伝いに戻ろうぜ! 助っ人たちがそろったら、本格的に作業開始だ! ウクラマト 遠いとこまでありがとな。 お前らが来てくれて大助かりだぜ! ウケブ トライヨラ襲撃の一件があってから、 何か力になれることはないかと思案していたのです。 ウケブ そんなときにお声がけいただいたものですから、 まさしく渡りに船でしたよ。 マーブル ういうい! 平和を取り戻して、みんなに飲んでもらいたいからね! 美味しいメスカルをさ! マーブル そのためにできることなら、何だってするよ! ズームーウー 王都の方も、先の襲撃の痛手で人手が要るとのことでしたので、 そちらは、祭司長グーフールーがあたっております。 ウクラマト ありがてえ……! ウクラマト こんなにも頼もしい奴らが協力してくれてるんだ。 百人力どころか、百万人力だぜ! ウクラマト よっしゃ、アタシもこうしちゃいられねぇな! みんな、もうひと踏ん張りだ! エレンヴィル ……俺も、行ってくる! ワーリカ よーし、作業は一旦ここまでだ! みんなありがとう! みんなありがとう! ニトウィケ 車体に取り付ける装甲や砲座の準備は完了したし、 あとはあたしたちに任せて、みんなは休んどくれ。 ウクラマト アタシからも改めて礼を言わせてくれ。 呼びかけに応じてくれて、本当に感謝してるぜ。 デコワ おう、いいってことよ! 俺様の助けが必要な時は、いつでも呼んでくれ! ウケブ なに、自国の危機とあらば当然のことです。 マーブル ういうい! みんな、大好きなんだよ! この国と、武王ウクラマトのことが! ウクラマト みんなの想いに、絶対に応えてみせるぜ。 アタシも、トライヨラとみんなのことが大好きだからな! ワーリカ お前さんたちも、手伝いありがとよ! おかげでだいぶ捗ったぜ。 ワーリカ 大半の助っ人にも帰ってもらったし、 あとの作業は俺たちに任せて、お前さんも少し休んでくれよな。 『トライヨラが好きだから』
https://w.atwiki.jp/ff0014/pages/46.html
エリディブス ……エルピス? ふむ、確かにそれは私たちの時代にあったものだ。 エリディブス もっとも、私が知るのは花の名前ではなく、 「ある場所」の名前としてだが。 エリディブス エルピスは、創造魔法で生み出された生物の実験場だった。 そこで生態を調べ、認可された種だけが、 世界に解き放たれたんだ。 エリディブス そして、もうひとつ……。 先の話に出たオリジナルのファダニエルが、 十四人委員会に入る前、そこの所長を務めていた。 エリディブス そのころの……座に就く前の彼の名は「ヘルメス」という。 エリディブス とはいえ、それらの事実と終末の関係性はわからない。 エリディブス 君が持ってきてくれた記憶のクリスタルは、 あくまで十四人委員会に関するもの…… 就任前の情報には乏しいんだ。 エリディブス エルピス自体も、かつての終末で壊れ、残骸すら残っていない。 何か秘された事実があったのだとしても、 君が行って暴くことは…… エリディブス いや……君はエルピスにいた……。 私はそれを……見た覚えがある……。 エリディブス おかしい、そんなはずはない……。 この記憶の断片は、なんだ……? エリディブス これは……どうして……こんなにも…………。 エリディブス ……すまない、記憶が混濁したようだ。 だが、おかげでひとつ、思いついた手がある。 エリディブス 君が過去の…… ヘルメスが所長をしていた時代のエルピスに行く、という手だ。 エリディブス 恐らく、誰の目にも見えないし、声すらも届かない……。 エリディブス よしんば干渉できたとしても、 君がやれるのは、せいぜい見聞きすることだけだ。 根本的な解決は望めないだろう。 エリディブス なぜなら、君が帰ってくる「ここ」は、 あくまで終末が起きたという歴史を辿った世界…… エリディブス 過去で何をしたところで、悲劇をなかったことにはできない。 今の苦しみをなくしてはくれないんだ。 エリディブス ……それでも行くのか? 敵であった私に、命を委ねてまで。 エリディブス わかった……。 ならば私も、調停者の最後の責務として、 君を送り届けるとしよう。 『指し示されたエルピス』 エリディブス よし、それで準備は完了だ。 間もなく門が開く……星見の間の方に移動してくれ。 エリディブス いい調子だ。 エーテルも順調に流れ込んでいる。 エリディブス これなら、私の魂も含めて使い切ってくれるだろう。 エリディブス 何を驚く。 言っただろう、これが「最後の」責務だと。 エリディブス ゾディアークが散った今、私がここで永く微睡む理由はない。 エリディブス 私は還る……そしてまた、会いたい人たちがいるんだ。 夢ではなくて、大地の上で。 エリディブス だから、振り返らずに行くがいい。 君が「光の戦士」なら……。 ――ハイデリンよ 私は先に逝く 真なる者 旧き人も 残すところは君だけだろう 最後のひとりは いちばん寂しい その役回りを譲ることが ゾディアークからの意趣返しだ 残された者の意地で 君と新たな英雄のやり方で この星を どうか―― 『指し示されたエルピス』 懐かしい雰囲気の青年 ねえキミ……それ、視えてるでしょ? 聞き覚えのある声の青年 ……視えてない。 私には何も、視えてない。 懐かしい雰囲気の青年 えー、そんなわけないでしょ。 懐かしい雰囲気の青年 ほら! 薄くてちょっとわかりにくいけど、 魂の色がアゼムとすごくよく似てる。 懐かしい雰囲気の青年 もしかして、彼が創ったものかな? 使い魔だとしたら、魂持ちなんて珍しいね。 聞き覚えのある声の青年 ……知るか。 あいつ関連なら厄介だ。 似て異なるものなら、さらに厄介だ。 聞き覚えのある声の青年 結論、関わらないにかぎる。 さあ行くぞ。 懐かしい雰囲気の青年 うーん、何か訴えようとしてるみたいだけど、 これじゃあ会話もままならないね。 懐かしい雰囲気の青年 キミ、少し存在を補強してあげなよ。 どうせ魔力余ってるでしょう? 聞き覚えのある声の青年 お前、人をなんだと思ってるんだ……。 懐かしい雰囲気の青年 もちろん、善良なる親友だとも! こうして遠路遥々つきあってるんだから、 頼みのひとつくらい、聞いてくれるに違いない! 聞き覚えのある声の青年 ……おい、目を閉じていろ。 さもないと酔うぞ。 聞き覚えのある声の青年 もう目を開けてもいいぞ。 懐かしい雰囲気の青年 フフ、フフフフ……待って……。 ちょっとまだ小さくないかい……? 聞き覚えのある声の青年 頭部の大きさからして、こんなところだろう。 これ以上だと圧が強すぎる。 懐かしい雰囲気の青年 なるほど……フフ……。 ヒュトロダエウス ということで……はじめまして! ワタシはヒュトロダエウス、創造物管理局の局長さ。 ヒュトロダエウス 隣にいるのがエメトセルク。 正真正銘、十四人委員会の一員だよ。 ヒュトロダエウス キミの名前は? 言葉、わかるかな……? ヒュトロダエウス いいね、会話ができるなんて優秀だ。 ワタシもそう呼ばせてもらうとするよ。 ヒュトロダエウス それで、キミはどこからきたの? あれだけ不安定だったんだ、 ここで創造されたものではなさそうだけど……。 ヒュトロダエウス わからない……あるいは、答えられないのかな……? よし、じゃあ質問を変えてしまおう。 ヒュトロダエウス キミはどうしてここへ? 何をしたいんだい? ▼ヘルメスを探しにきた ヒュトロダエウス ……驚いた。 ワタシたちと同じだなんて。 ヒュトロダエウス ねえ、やっぱりアゼムの使い魔なんじゃない? 本当は一緒に来たかったとか。 エメトセルク もしそうだったら自力で乗りこんで来るだろう、あいつの場合。 ヒュトロダエウス ……おっしゃるとおりで。 ヒュトロダエウス 失礼したね。 ワタシたちは魂の色が視えるんだけど、 キミのそれが、友人の色によく似ていてさ。 ヒュトロダエウス 加えて、目的まで一緒だったものだから、 早合点してしまったんだ。 ヒュトロダエウス ワタシたちは、ここの所長であるヘルメスと話をしにきた。 加えて、彼の働きぶりを知るためエルピスを見学したいんだ。 ヒュトロダエウス ……厳密には、それはエメトセルクの目的で、 ワタシはただの案内役なんだけど。 仕事上、ここには何度か来たことがあるからね。 ヒュトロダエウス ということで…… よかったら、キミも一緒に来ないかい? 勘違いのお詫びに、案内するよ。 エメトセルク おい、そんな素性も得体も知れないものを、 公務に連れていけるわけがないだろう。 ヒュトロダエウス いいじゃない、怪しいと思うなら余計に、 そばに置いて見ておかないと。 ヒュトロダエウス それに、不思議な生き物を連れているなんて、 ここじゃむしろ当たり前さ。 ヒュトロダエウス ようこそ、創造生物たちの実験場…… 空の果てのエルピスへ! エメトセルク さて……どんな事実が待っているやらだ……。 『指し示されたエルピス』 ---- エメトセルク さっきから何だ、人の顔をじろじろと……。 ヒュトロダエウス うん、気持ちがいいね。 それにほら、空に手が届きそうだ! ヒュトロダエウス キミにどこまでの知識があるかわからないから、 案内役として、少し説明をしておこうかな。 ヒュトロダエウス ワタシたちの扱う創造魔法は、 エーテルを素とし、イデアを設計図として、 無機物から生物まで森羅万象を綾なす技だ。 ヒュトロダエウス 各自が考案したイデアは、 ワタシの勤め先でもある「創造物管理局」に提出されて、 審査、分別、管理される。 ヒュトロダエウス ここエルピスには、そのうち「生物」に類するものと、 一部の「魔法生物」に類するものが送られてくる。 そして、さらに詳しく観察、研究されるのさ。 ヒュトロダエウス フフ……なかなか興味深い施設だろう? ワタシたちと一緒に、見回ってみようよ。 『指し示されたエルピス』 『ペタルダは翻る』 ヒュトロダエウス さてさて…… ワタシたちの探している「ヘルメス」は、ここの所長。 そして彼自身も創造生物の研究をしているんだ。 ヒュトロダエウス ということで、まずは職員たちの居住地に、 向かおうと思うんだけど…… ヒュトロダエウス ……うーん、キミのその格好は、どうにも目立ってしまうねぇ。 ヒュトロダエウス エメトセルクが、一応お忍びというか抜き打ちで来てるから、 もう少し馴染む外見にしてもらった方がいいかな。 キミ、普通のローブを創ることはできるかい? ヒュトロダエウス ダメか。 じゃあエメトセルク、キミが代わりに創って…… エメトセルク 厭だ……私は魔力を分け与えたんだぞ? 拾ったお前が面倒を見ろ。 ヒュトロダエウス つれないなぁ。 エメトセルクってば、ほぼ無尽蔵みたいな魔力の持ち主だから、 こんなのまったく問題にならないはずなんだけど。 ヒュトロダエウス よし、じゃあ最終的にはワタシが形を創るとして、 せっかくだし、できるところまでは自分でやってもらおうかな。 そこの階段を下りて「芽吹の玄関」に行こう。 ヒュトロダエウス 思ったとおり、ちょうど良さそうな相手がいるね。 キミにこの、「エーテルロープ」を渡そう。 ヒュトロダエウス それを使って、ローブのもととなる生物を捕まえてきてほしい。 ヒュトロダエウス この場所には「キアネ・ペタルダ」「コーキネ・ペタルダ」、 そして「イアンティネ・ペタルダ」という3種類の蝶がいる。 うち、いずれか2種類を1体ずつ……ってところかな。 ヒュトロダエウス 「エーテルロープ」は、使用者の魔力に応じた能力を発揮する。 エメトセルクが見た目を繕ったとはいえ、 キミが有するエーテルの量は、人に遠く及ばない……。 ヒュトロダエウス だから、しっかり蝶を弱らせてから、 「エーテルロープ」で捕まえるんだ。 がんばってね! エメトセルク ダメだダメだ、私は手伝わないぞ。 待っててやるだけ、ありがたいと思え。 ヒュトロダエウス この場所にいる3種類の蝶のうち、2種類を1体ずつ、 しっかり弱らせてから「エーテルロープ」で捕まえるんだ。 がんばってね! ヒュトロダエウス ……うん、完成! ヒュトロダエウス はい、よかったらこれを着てね。 ローブや靴、標準的な服装一式だ。 ▼生き物をローブに……? ヒュトロダエウス より正確には、生き物を「エーテルに戻し」て、 創造魔法によってローブに創り変えているってところかな。 ヒュトロダエウス 種類の違う蝶を集めてもらったのは、 それぞれが有するエーテルに属性バランスの違いがあるからさ。 混ぜることによって、より均整のとれた服ができる……。 エメトセルク 熱心に教え込むのはいいが…… そいつが人らしい服を着たところで、 多少なり視る眼がある奴には、すぐに異質だとバレるぞ。 ヒュトロダエウス まあねぇ……。 でもほら、遠目だけでも誤魔化せれば、 キミの「抜き打ち」の体裁を保つのに役立つじゃない。 ヒュトロダエウス 彼の言うとおり、キミが異質な存在であることは、 そのローブを着ていようが見抜かれてしまうだろう。 ヒュトロダエウス そういうときは、下手に言い訳せずに、 自分は使い魔だと名乗ってしまった方がいい。 実際のキミが何なのかは置いておくとして……ね? ヒュトロダエウス 問題は、誰の使い魔を名乗るかだけど…… ヒュトロダエウス うん、アゼムにしてしまおう。 それなら多少変なことをしようが、あれこれ聞いて回ろうが、 「そんなものかな」って説得力がある。 エメトセルク いない奴を勝手に使う……。 ヒュトロダエウス いないからこそ、だろう? ヒュトロダエウス それじゃあ、キミの素性はひとまずそういうことにして、 職員たちの居住地に向かおうか。 エメトセルク まあ、そうだな…… アゼムの使い魔というのは、適当な言い訳だ。 あいつも、不満があるなら日頃の行いを正せという話だ。 エメトセルク もとの大きさなら、人の子どもに思えないか……だと? そんなわけがないだろう…… 少なくとも、生物としての強度が完全に別物だ! ヒュトロダエウス 準備はいいかい? それなら、目指すはここから北…… 「アナグノリシス天測園(てんそくえん)」だ。 ヒュトロダエウス エルピス全域に研究対象である動植物が放たれているけれど、 天測園もまた、職員たちの居住地であると同時に、 創造生物を観察する場でもあるんだ。 ヒュトロダエウス とりあえず行って、適当な職員に声を掛けてみよう。 ヘルメスの居場所を教えてもらうためにね。 『アナグノリシス天測園』 ヒュトロダエウス ああ、彼女でよさそうだ。 エメトセルク 何をしているのかと思えば…… その植物も創造魔法で創られたものか。 天測園の観察者 あら、あなた方は……? ヒュトロダエウス やあ、所長のヘルメスに会いたいんだけど、 彼は今どこにいるかな? 天測園の観察者 その赤い仮面、十四人委員会の方ですね。 いらっしゃる予定なんてあったかしら……? ヒュトロダエウス ちょっと、抜き打ちで確認したいことがあってね。 協力してくれると嬉しいな。 天測園の観察者 そういうことでしたら……。 天測園の観察者 ヘルメスは、いつもどおり、創造生物の観察に出ています。 ここ数日は水棲生物の担当だったはずですから、 園内の水場にいるのではないかと。 ヒュトロダエウス 園内の水場だね、ありがとう。 観察の邪魔をしてしまって、ごめんよ。 エメトセルク おい、ヒュトロダエウス。 私は初対面になるが、 お前は何度かヘルメスに会ったことがあるんだろう? エメトセルク だったら、わざわざ聞いて探さずとも、 エーテルを追えるんじゃないか? ヒュトロダエウス うーん、もちろん、できないことはないんだけど…… ヒュトロダエウス ああ、ワタシとエメトセルクはね、 少し変わった力を持っているんだ。 ヒュトロダエウス エーテルを、普通よりも深く広く視ることができる眼…… キミの魂の色がわかったのも、そのおかげさ。 ヒュトロダエウス ヘルメスのエーテルだって、覚えていないわけではないよ。 ただ、それで探してしまっては、機会損失というものだ。 ヒュトロダエウス せっかくの視察なんだから、 彼が管理するエルピスを見回りながら探す方が、 より人柄や働きぶりもわかるというものじゃない? エメトセルク もっともらしく言ったものだ……。 エメトセルク お前、仮にも同行者なんだ。 探す手伝いくらいはできるな? エメトセルク 資料によると、ヘルメスは深緑の短髪をしているそうだ。 それを頼りに探せるだろう。 エメトセルク 言っておくが、公的な場でフードを被らずにいるのは、 エルピスだからこそ認められている特例だ。 危険な生物もいる以上、視野は広くしておくべきだからな。 エメトセルク お前にどんな常識が刻まれているかは知らんが、 ほかの場所で、こんな個を主張するような真似はするなよ。 マナー違反だぞ。 ヒュトロダエウス まあまあ! おかげで、容姿で人を探すなんていう、 めったにない貴重な経験ができるわけだしさ。 ヒュトロダエウス さあ、ヘルメスを探して、水場を見ていくとしようじゃないか。 青い有翼の少女 アンビストマは、不思議なお顔、ね? うー、ぱー、るー、ぱー、って感じがする! ヘルメス 君は…… 青い有翼の少女 あなた、みんなと、ちがう……! 青い有翼の少女 あの、仲間、もしかして、わたしたち…… だから、その、仲良く…… 青い有翼の少女 ううー、待って、待ってね…… 青い有翼の少女 こんにちは! こんにちは! 聞こえますか……? 青い有翼の少女 私はあなたに敵対する者じゃありません。 あなたの音を聞き、想いを感じ、考えを知りたいのです。 青い有翼の少女 どうか、仲良くしてくれませんか? 青い有翼の少女 へへ……仲良くし、ませんか! ヒュトロダエウス ああ、見つけられたんだね。 ヘルメス ヒュトロダエウスか。 会うのは、久しぶりだ……。 ヒュトロダエウス そうだねぇ、職場同士は、しょっちゅう連絡しあってるけど。 今日はキミに会いたいって人たちを連れてきたんだ。 ヘルメス 十四人委員会の……。 エメトセルク エメトセルクだ。 お前が所長のヘルメスで間違いないな? ヘルメス ……ああ、ヘルメスだ。 アーモロートからでは、遠かっただろう。 エメトセルク まあな……。 だが、エルピスの用途を思えば仕方のないことだ。 こいつに案内役を頼む羽目になったのは不本意だがな。 ヒュトロダエウス 失礼しちゃうなぁ。 ワタシはいつだって善良な友人だというのに。 ヒュトロダエウス それからこちらが、さっきプロピュライオンで拾った…… ヒュトロダエウス ……って、なんだか懐かれてるね。 そっちの青い子は、ヘルメスの使い魔かい? ヘルメス 彼女は、メーティオンという……。 「流星」を意味する名だ。 ヒュトロダエウス へぇ……ずいぶんと構成するエーテルが薄いんだね。 これだと、あまりに脆い気がするけれど……。 ヒュトロダエウス 創造物管理局にも、届け出てないでしょ? イデアを見た覚えがないや。 ヘルメス 彼女は、自分の個人的な研究のために創造した。 けれどまだ、成果を得ていない段階だ……。 ヘルメス だから申請できていないが、いずれは伺うつもりでいる。 そのときは、よろしく頼む……。 ヒュトロダエウス 了解、確かにキミはここの所長であると同時に、 飛行生物創造の第一人者だからね。 こだわりもあるんだろう。 ヒュトロダエウス 申請、のんびりお待ちしているよ。 エメトセルク それも結構なことだが、こちらも仕事の話がある。 エメトセルク ……私が来た時点で、概ね察しているだろうがな。 ヘルメス 承知した……。 ひとまず、奥の館で待っていてくれ。 ヘルメス 自分も、観察対象たちを造物院に返したら…… メーティオン ヘルメス、どうした? ヘルメス アンビストマが……1匹……足りない……! ヒュトロダエウス ふむ、その子たちと同じエーテルなら、 あっちの方向……敷地の外にいるみたいだね。 それも、木の上だ。 エメトセルク ……木に登ったのか? あの手足で? ヘルメス ミトロン院が空を泳ぐ魚を創ってから、 水棲生物に浮遊能力をつけるのが流行っている……。 ヘルメス アンビストマも、わずかに……がんばれば、木くらい登れる。 だが、降りられないのかもしれない……! メーティオン わたしも、さがすー! エメトセルク ……どうするんだ、残りのこいつらは。 ヒュトロダエウス フフ……フフフ…… ここは、手分けを、するとしようか……フフ……。 ヒュトロダエウス すまないけれど、ヘルメスを追って、 手伝ってあげてくれるかい? 残りのアンビストマは、ワタシとエメトセルクで見ているよ。 エメトセルク なぜこんなことに……。 「独創的かつ有益な水棲生物の創造」がミトロン院の理念だが、 何がどうして空を泳がせた……。 エメトセルク そもそも、それは「水棲」か……!? ヒュトロダエウス アンビストマ……そこにいる水棲生物は、 確かに最近登録申請されたイデアだよ。 現在ここで研究の真っ最中ということなんだろうね。 ヒュトロダエウス 悪いけど、キミはヘルメスを追って捜索を手伝ってあげて。 残ったアンビストマは、ワタシたちで見ておくよ。 メーティオン ヘルメスー、平気ー!? メーティオン ヘルメス、木の上にアンビストマ見つけた! よじ登って、助けようとした! メーティオン そしたら、アンビストマ、ヘルメス踏んで下りてきた! ヘルメス、ぐるんってなって、今! ▼ヘルメス、大丈夫? ヘルメス ああ、大丈夫だ……見苦しいところを……すまない……。 ヘルメス ひとまず、少し離れていてほしい。 巻き込まないという……保証ができない……。 ヘルメス ウッ…………。 メーティオン ヘルメス、平気? 大丈夫? ヘルメス あ、ああ……大丈夫だ……。 心配をかけて悪かった、メーティオン。 ヘルメス それに………… ヘルメス Tobari Seto……。 おもしろい響きの名前だ。 新種の生物という感じがする……。 ヘルメス ありがとう、わざわざ追いかけてきてくれて。 ヘルメス 君も無事で何よりだ。 だが、いくら浮遊能力があるといえど、 高い木から落ちたら怪我をしてしまうかもしれない。 ヘルメス 今後はどうか、気をつけてほしい。 ほかの仲間たちも心配…… ヘルメス …………。 ヘルメス ほかの仲間たちを、置いてきてしまった……! ヘルメス そうか、エメトセルクとヒュトロダエウスが……。 よかった……あとで彼らにもお礼を言わなければ……。 ヘルメス 今さらになってしまったが…… エルピスの所長として、君たちを歓迎しよう。 どうぞよろしく。 メーティオン ヘルメス、無事! アンビストマ、無事! よかったね! 『深くにある想い』 ヘルメス よし……エメトセルクたちが困っているといけない。 まずはみんなで、彼らのもとへ戻るとしよう。 メーティオン 観察の期間、ずっと放す子と、造物院に戻す子がいる。 アンビストマ、造物院に戻す子! エメトセルク やれやれ……。 これでやっと大事な話ができそうだ。 ヒュトロダエウス こっちは異常なしだったよ。 みんな、のんびりしたものさ。 『深くにある想い』 ヘルメス 改めて、各方に迷惑をかけた……。 おかげさまで、アンビストマはみんな元気だ。 ヘルメス 自分は彼らを、待機場所に送り届ける。 魔法で転移させるから、そう時間はかからない。 ヘルメス 天測園の北側に、ほかよりも大きな館がある。 1階が打ち合わせに使える場になっているから、 そこで待っていてもらえるだろうか? エメトセルク 了解だ。 適当に待たせてもらうから、 お前は今度こそ、そいつらを取り逃がすなよ。 ヘルメス 君も、話に同席するのであれば、北の館へ……。 エメトセルクたちと一緒に、待っていてほしい。 エメトセルク ヘルメスに指定されたのは、ここで間違いなさそうだな。 エメトセルク ……だが、お前はダメだ。 同席はさせられない。 エメトセルク やましい話じゃないが、人の今後を左右する大事な話だ。 どこから来たのかも言えないような奴に、聞かせられるものか。 エメトセルク なんだ、食って掛かる気か? ▼こちらにも引き下がれない事情がある エメトセルク だったら、その事情とやらを明らかにしたらどうだ。 納得できるものなら、協力するぞ。 ヘルメス ……自分は、彼に同席してもらっても構わない。 エメトセルク ヘルメス……だが、こいつは……。 ヘルメス メーティオンに気に入られた存在だということは、 自分にとって、どんな言葉で論じられるよりも信用に値する。 ヘルメス それに……第三者がいてくれた方が、冷静でいられそうだ。 エメトセルク ……わかった、お前の意見を尊重しよう。 エメトセルク 静かに聞いているんだぞ。 ヘルメス それで、話というのは、やはり……。 エメトセルク ああ、ファダニエルが座を降りることを決めた。 後任として、お前を推挙している。 エメトセルク 十四人委員会としても、お前の実績と深い知識を買って、 その提案を受ける方向で動いている。 エメトセルク あえて面識がない私がここに来たのは、 公正な目で近況を確認するため。 エメトセルク そして何より、お前自身の意志を問うためだ。 エメトセルク 現ファダニエルも、もともとはここの所長だ。 公私ともに、お前と親交があったと聞く。 エメトセルク 座を譲りたいという旨も、何度か話をしていたそうじゃないか。 だから予測がついていたんだろう? ヘルメス ……そうだ。 「私が為すべき仕事を終えるときには、お前を推そう」と、 あの方は、何かにつけておっしゃっていた。 エメトセルク とてもじゃないが、喜んでいるようには見えないな。 それほど十四人委員会の名を背負うのが嫌か? ヘルメス いや……そうじゃない……そうじゃないんだ……。 ヘルメス 委員会に推挙してもらえたことは、光栄に思う。 研究ばかりの自分には、過ぎるほどの申し出だ。 ヘルメス だが、現ファダニエルが座を降りようとしていること…… それそのものが、割り切れない……。 ヘルメス ……やはり、彼は……星に還るのだろうか……。 エメトセルク そのつもりだとは聞いている。 過去に十四人委員会に属した者も、 ほとんどが退任とともに還っているしな。 メーティオン 星に還るは、死ぬ、のこと……? ヒュトロダエウス おや、珍しいね。 エルピスではそう呼ぶ方が主流なのかい? その言葉を使う人は、滅多にいないと思っていたけれど。 ヒュトロダエウス 我らは星の意志であり、細胞である……。 この命こそが星に流るる血の一滴、 己が身のごとく星を育め……。 ヒュトロダエウス それが、ワタシたち「人」の役割だよ。 星を善くすることで、そこに生きるすべてのものが、 幸せでいられるようにするわけだね。 ヒュトロダエウス みんな、そのために識り、考え、創り出してきた。 おかげで原初のころは荒々しかったという星は、 これほどまでに穏やかに、優しいものになった。 ヒュトロダエウス 星に還るというのは、 そうして星を育んだ者にこそ与えられる選択肢だ。 ヒュトロダエウス 大いに生き、己のやるべきことを果たしたと思ったときに、 人々はそれを選ぶ……。 ヒュトロダエウス 最期の瞬間はいつだって、それは美しいものさ。 エメトセルク 十四人委員会に加わった者とて、その流れからは逸脱しない。 ここで存分に役目を果たせたら、 まさしく還るにふさわしいと、多くの者は考える。 エメトセルク 私たちの座は、就いた者にとって命数と同義だ。 ……ごく一部の例外を除いてな。 エメトセルク ファダニエルが還るのを認められないのは、 彼の功績がそれに値しないと考えているからか? エメトセルク 知らないわけはないとおもうが…… あの御仁は、多くの素晴らしいイデアを生み出した。 エメトセルク こと、新たな動物を創ることにかけてはな。 エルピスでの経験を活かし、いくつもの種を生み出したものだ。 ヘルメス もちろん、それはよくわかっている。 自分は……ただ…… ヘルメス あれほど偉大で、命を知る人であっても、 やはりそうして終わりを選ぶのか、と……。 ヘルメス 不甲斐ない……。 こちらの動揺が、彼女にまで伝わってしまったようだ。 ヘルメス 同席を勧めておいてすまないが、 少しの間、彼女を連れ出してやってはくれないか……? 気分転換をした方がいい。 エメトセルク わからんな……。 ヘルメスの奴は、何にそれほど抵抗を感じている? ヒュトロダエウス 思ったより、話が難航しそうだね。 キミはヘルメスが言っていたとおり、 メーティオンと外を回ってくるといい。 ヘルメス すまない……この埋め合わせは、あとでまた……。 メーティオン Tobari、あの、ごめんなさい……。 わたし、外でるね……。 メーティオン よかったら、一緒に、お散歩いこう……? メーティオン ……ヘルメスは、死ぬこと考えると、すごく悲しくなる。 メーティオン ヘルメスが……まわりの人が悲しいと、わたしも同じに悲しい。 そういう風に、創られてるから……。 メーティオン でも、もう大丈夫! だから、仲良くお散歩、希望します! メーティオン あなた、目的、エメトセルクと違う……? どうして、エルピスいる……? メーティオン エルピスと、ヘルメス知るため! じゃあ、じゃあ、わたし紹介する! メーティオン わたし、ひとつ教えたら、あなた、ひとつ教える……どう? ▼よしきた! メーティオン やったー! とても、とても、嬉しい! メーティオン じゃあね……えっとね…… そこの広場で、「メムノン」と話すはどう? メーティオン このとおり、わたし「口で会話」、とても下手。 でもメムノン、話すの上手! きっとあなたの役立つ、から、行こう! メムノン おやおや、あなたは……ふむ…………。 メムノン 人に似せているようですが、まるで玩具の人形のよう…… ということは、メーティオンと同じく、擬人型の使い魔ですね。 どうかしたのですか? メーティオン あの、Tobariに、ここのこと教えてほしい! メムノン なるほど、彼は新しく来た使い魔なのですね。 ええ、お安い御用ですよ。 メムノン 前提として、人は星を善くしていくという使命を帯びています。 創造魔法で新たなものを創るのも、そのための行いです。 メムノン しかし、無暗に創っていては、星にカオスが生じる。 だからこそ、自分たちの創ったものに対して、 適切な判断を下すことが必要になってくるのです。 メムノン エルピスでは、創造物管理局への正式登録に先駆けて、 生物や魔法生物に対して、より詳しい観察と研究が行われます。 メムノン どういった性質を持つのか、生育に適した地域はどこか、 他の種や環境にどういった影響を与えるのか…… メムノン それらをすべて明らかにし、問題なしとされた創造生物のみ、 実際に適切な地域に放つのです。 メムノン ……あなたたちも、星を善くすることを願って創られた存在。 ヘルメスたちの言うことを聞いて、おりこうにするのですよ。 メーティオン わたしたち、おりこうだから散歩してる! 教えてくれてありがとう、メムノン。 メーティオン Tobari、エルピスのこと、ひとつわかった? そしたら、わたしからも、質問していい……? メーティオン じゃあね、まずはね…… あなたは、どこからきましたか! ▼とても遠いところから メーティオン うーん、じゃあ、わからないかも……。 わたし、地上はあんまり詳しくないから……。 メーティオン ああ、だけど…… その場所への、あなたの想いは、伝わってくる……。 メーティオン ハッ……いけない……! わたしの力、話してない……! メーティオン じゃあ次は、それ教える! だから、天測園の中で、ヒマそうな創造生物を探して! メーティオン たしかに、ヒマそう……! メーティオン 名前、なんだっけな……。 そもそも、エルピスに、こんな子いたっけ……? メーティオン ともかく、この子の考えてること、読み取ってみせるね! それが、わたしの力! メーティオン わからない……というか…………無……? メーティオン 違う、違うの、こんなはずじゃなくて……! 待って、待ってね、今度はあなたに…… メーティオン こんにちは! こんにちは! 聞こえますか……? メーティオン これが私の力……。 周囲の想いを読み取り、自分の想いを返しているのです。 メーティオン 知的生命は、届いた想いを無意識のうちに言語化する…… だから、頭の中で私が話しているように聞こえるはずです。 メーティオン 私の「役目」には、この力が欠かせません。 未知の言語を用いる者や、音声に依らない意思疎通を行う者、 あらゆる知的生命と対話ができるようになっています。 メーティオン 代わりに、口述での意思疎通は、あまり上手くありません……。 メーティオン でも、ヘルメスから、 人には隠したい想いもあるのだと習いました。 だから、力を使わずに話せるときは、そうしなさいと……。 メーティオン 私はあなたに、定義するのがとても難しい、 けれど確かな親愛を抱いています。 メーティオン 「私たち」と性質が似ていること…… その想いが、光色のように不思議な複雑さを持つこと…… それらを好ましく感じ、知りたいと思うのです。 メーティオン だから、できるだけ力を介さずに話したい。 少し不便かもしれませんが、どうか、仲良くしてください。 メーティオン ……伝わった? メーティオン じゃあ、じゃあ、わたしもまたひとつ、聞くね! あなたの得意は、何……? ▼戦うこと メーティオン すごい……! じゃあ、危ない創造生物、暴れても、平気ね……! メーティオン ヘルメスも、強い……と思うんだけど…… 戦うの、好きじゃない……暴れてる創造生物でも……。 メーティオン ……もしかして、わたしたち、邪魔? メーティオン Tobari、次、行こう……! 館に近い建物の中に、「エウアンテ」いる。 そこで、またひとつ、教えるね! エウアンテ あらまあ、こんにちは、メーティオン。 今日はお仲間を連れているのね。 メーティオン こんにちは、エウアンテ! あのね、リンゴを、創ってほしい。 メーティオン 瓶に入れて、砂糖、どばどばする! それ、ヘルメスの好きなもの。 だから、Tobariと食べる! エウアンテ リンゴの砂糖漬けね……? 確かにそれは、ヘルメスの好物だけど、 あなたは食べ物を摂るように創られていないのよ。 メーティオン で、でも、砂糖どばどばのリンゴ、わたしも好き……。 エウアンテ あなたは心を通じさせる能力を持つ…… だから彼の歓びを、自分の歓びだと思ってしまっているのね。 エウアンテ この場でリンゴは渡せないけれど、 近いうちに創って、ヘルメスに差し入れるわ。 それを待っていて頂戴ね。 メーティオン Tobari、ごめん……教えるの失敗……。 うまくいったら、あなたの好きも、聞きたかった……。 ▼好きなものを教える メーティオン …………わぁ! すごいすごい、嬉しい気持ち、たくさんね! メーティオン 教えてくれて、ありがとう、Tobari。 わたしも、とても、嬉しくなった! メーティオン ……ヘルメスたち、話し合い、終わったかな? 様子、見に行ってみようか。 ヒュトロダエウス いいところに戻ってきたね。 天測園の中を散歩してきたのかい? エメトセルク なんだ、もう少し長く散歩していてくれたら、 お前を置いて出発できたんだが…… ヘルメス ああ、おかえり、ふたりとも。 気分転換はできただろうか……? メーティオン とても新鮮! とても楽しい! Tobariはね、エルピスとヘルメスを、 観察したくて、ここに来たんだって。 メーティオン だから、教えようとした! エルピスの役割、わたしの意思疎通の方法、 それから、ヘルメスの好物! ヘルメス 最後のは……役立つとは思えないが……。 ヘルメス 彼女につきあってくれて、ありがとう。 こちらも、話し合いがちょうど終わったところだ。 エメトセルク 終わったというか、お前が返事を保留にしただけだろう。 それで仕方なく、先に仕事ぶりの確認をすることにしたんだ。 ヘルメス 面目ない…………。 ヘルメス そんなわけで、このあと、エメトセルクたちを連れて、 いくつか仕事をこなすことになったんだ。 ヘルメス メーティオンを連れ出してくれたお礼も兼ねて、 一緒にどうだろうか……? もちろん、君の役に立ちそうであればだが……。 エメトセルク ひとつ忠告しておくと、そいつは目的こそ私たちと同じだが、 十四人委員会の指示で動いているわけじゃない。 たまたまプロピュライオンで拾っただけだ。 エメトセルク 知られた情報がどこに届くかは、保証しないぞ。 ヘルメス 構わない……。 メーティオンがこれだけ楽しそうなんだ、 悪意ある詮索ではなかったと思う。 メーティオン Tobariは、本当に、優しい。 わたしが教えた分だけ、自分のこと、教えてくれた……! メーティオン ねえ、一緒に行こう! ヘルメスの仕事、発見いっぱい! きっと、あなたが探してる何かも、見つかる! ヒュトロダエウス 毎日のように創造魔法で生み出されたものを視ているけれど、 エルピスで行われている観察は、また主旨が違うからね。 どんな体験ができるか楽しみだ。 エメトセルク 情報は開かれているべし……というのは、 十四人委員会も含めたすべての組織が順守すべき基本原則だ。 エメトセルク だからといって、お前みたいな正体不明にまで、 仕事を見せる必要はないと思うがな……。 くれぐれも、邪魔をするんじゃないぞ。 メーティオン Tobari、お散歩、ありがとう。 今度はヘルメスたちも連れて、みんなで、出発! 『定義は生命を分かつ』 ヘルメス では、仕事の続きに向かうとしよう。 まだ何件か、野に放っている創造生物の観察が残っているんだ。 ヘルメス まずは、天測園の東…… ちょうど先ほどアンビストマを保護したあたりへ。 敷地外に出るから、気性の荒い創造生物には注意してくれ。 エメトセルク ヘルメスめ……。 話し合いのときは、あれほど意気消沈していたのに、 観察の仕事となると、急に積極的じゃないか。 ヒュトロダエウス イアンティネ・ペタルダか。 蝶といえば、たくさんの種類が創られている、 人気の生物のひとつだよ。 ヒュトロダエウス さっき少しだけ捕まえて、 キミのローブに変えさせてもらったけど…… なに、観察に支障をきたすような数じゃないさ。 メーティオン ペタルダ、きれい! ほかにも観察中の仲間、いるけど、 みんな、地上に行けたら、いいね。 ヘルメス これは、しばらく前から放っている新種のペタルダだ。 うん……うん……どこも異常はない……。 ヘルメス 生物として、存在も安定している。 この調子で観察期間を終えれば、 晴れて地上の適切な地域に送られることだろう。 ヘルメス 君は「生物」と「魔法生物」をわけるのは何か、知っているか? ヘルメス 正解は、魂の有無だ。 そして魂というものは、宿すか否かを決められるものじゃない。 ヘルメス 自身のみで生存が可能な形に創られたとき、 うちに魂が生じて、「生物」となる。 ヘルメス 一方で、単独では生存が不可能な形で創られたとき…… たとえば術によって構築されたり、 自然現象に伴って発生するものには、魂が生じない。 ヘルメス 外見が動植物に似ていたとしても、 それら魂なきものは「魔法生物」になるんだ。 ヘルメス ……そう、魂を持つこと、生命になるということは、 人が手出しできない領域の現象……。 自分たちが管理すべきだなんて、おこがましい妄想だ。 ヘルメス さあ、次へ行こう。 報告によると、北の「灯台」のもとに、 ある魔法生物が集まってしまっているそうだ。 エメトセルク ヘルメスの仕事を見ているというのに、 メーティオンに絡まれてたまらん。 エメトセルク まあ、こいつを視るだけでも、 創造主であるヘルメスが特異な研究者であることは、 十分すぎるほどわかるがな……。 ヒュトロダエウス ワタシも、キミには興味があるんだ。 飛行生物創造の第一人者、天を識る者ヘルメス…… その申請前の創造生物を視る機会なんて、そうそうないからね。 メーティオン ヒュトロダエウスと、エメトセルクのことも、知りたい。 どうしてアンビストマ、外ってわかった……? ヘルメス 聞いていたとおりだ。 「雷のプネブマ」が集まっている……。 ヘルメス ここは「灯台」と呼ばれているが、 島を浮遊させたり、周囲の気温を調整したりするために、 属性のバランスを操作する巨大な魔具なんだ。 ヘルメス そのため、周囲よりも特定の属性が強くなることがある。 ヘルメス 雷のプネブマが集まっているのは、 彼らの極端に雷属性に寄ったエーテルを補充するため…… 生物でいうところの「おなかがすいた」状態だからだろう。 ヘルメス ……メーティオンはエメトセルクたちと話し中か。 ヘルメス だったら君が、雷のプネブマたちに、 餌をやってみないか? ヘルメス この「集雷魔法のイデア」を使えば、 使い手の素質によらず、場の雷属性を集められる…… ヘルメス それで、雷のプネブマたちのそばに、雷球を生成するんだ。 彼らにとって、最高のごちそうになるだろう。 ヘルメス 蒔き終えたか。 ……ああ、ほらご覧。 ヘルメス 気に入ってもらえたようだ。 彼らは言葉を持たないが、だから素直に行動で示してくれる。 ヘルメス 言わないからといって、何も感じていないわけじゃない。 人から見て知能が低いからといって、 何もわかっていないわけじゃない……。 ヘルメス 彼らのように魂のない魔法生物だって、 ペタルダのように儚い生物だって、 みんな、思い思いに生きているんだ。 ▼メーティオンは生物? ヘルメス さて……理論上の仮定なら話せるが、 最終的にそれを視るのは、創造物管理局の仕事だ。 ヘルメス ヒュトロダエウスのような視る力のある者には、 きっと正解が見えているのだろうが…… ヘルメス 自分にとっては、どんな分類を与えられようが、 メーティオンはメーティオンだ。 それで十分だと思っている。 メーティオン あれ……もう終わってる……? わたし、視察、邪魔した……!? ヘルメス いや、特筆すべきようなことはしていない。 仕事はまだ残っているから、次へ行こう。 ヘルメス ここから東にある「汐沫(せきまつ)の庭」で観察中の職員たちに、 いくつか確認すべき事項があるんだ。 案内しよう。 メーティオン かわいいけど、気をつけてね。 大きい口、くしゃみもすごい……ヘルメス、最初に吹っ飛んだ! エメトセルク これは……。 いったい何を意図して創造されたんだ……? ヒュトロダエウス ああ、これは創造物管理局でも話題になった生物だよ! ワタシも、すごく気に入ってる。 気の抜けた顔に反して、牙がすごいところとかね! ヘルメス 見事なものだろう? 「アンペロス」という…… 最近観察をはじめたばかりの創造生物だ。 ヘルメス 少しいいか? 経過を聞かせてもらいたい……。 メーティオン それ、エルピス、エルピスの花! メーティオン わたしと、一緒の、エンテレケイア! ヘルメス その花は、この施設で創られたんだ。 それで、エルピスの名を冠している……。 ヘルメス 昔ここに、美しい花を創ることを愛している職員がいた。 彼女が試行錯誤するうちに、偶然生み出したのだという。 ヘルメス おもしろいのは、なんといっても、 周囲の心を映して纏う色を変えるところだ。 ヘルメス ……とはいえ、ここでも地上でも、 陰りなき純白を纏っていることが大半だが。 ヒュトロダエウス へぇ、人の心を映す…… それってどういう仕組みなんだい? ヘルメス 世界には、エーテルとはまた異なる、 「想いが動かす力」というものがある。 ヘルメス 自分たちがエーテルを自在に操るように、 この花は、その力を受けたり、作用させることができる。 ヘルメス ……とはいえ、花自身には明確な意思がない。 だから、周囲の感情によって動いた力を受け、 それを色や輝きといった現象に変換しているんだ。 ニッダーナ アーカーシャは、ラザハン式の錬金術に存在する概念で、 目には見えない力のひとつよ。 想いが動かす力、なんて言われてるんだ。 ヘルメス アーカーシャ……。 その呼び名には心当たりがないが、 話を聞くに、同じものを指しているように思う。 ヘルメス 自分たちはその力を「デュナミス」と呼んでいる。 ヘルメス そして、エルピスの花のように、 デュナミスを操ることができる存在…… ヘルメス 想いを自在に現象へと換えられる存在を、 「エンテレケイア」と呼ぶ。 メーティオン わたしも、わたしも! エンテレケイア! ヘルメス ああ……。 その子は世界で最初の、意思を持つエンテレケイアなんだ。 エメトセルク 待て待て! エーテルとは異なる力、デュナミスだと? エメトセルク そんなもの、私ですら初めて聞くが? ヘルメス 無理からぬことだ……。 まず、デュナミスは人に見えないし、感じ取れもしない。 ヘルメス 理論上は長らく「あるに違いない」とされていたが、 エルピスの花が偶然創造されるまでは、 存在を実証することさえできていなかった……。 ヘルメス 次に、デュナミスは、エーテルと比べてずっと弱い力だ。 普通の状態では、エーテルに押し負け、かき消されてしまう。 ヘルメス だから、自分たちのように多量のエーテルを有し、 何につけてもエーテルを活用する生物は、 デュナミスを使う必要がない……。 ヘルメス まさに、「在って無い」存在だ。 ごく一部の研究者にしか知られていないのも、頷けるだろう。 エメトセルク なるほどな……。 しかし、だとしたらどうしてお前はエンテレケイアを…… メーティオンを生み出した? ヘルメス ……アーテリスは、エーテルが特別に濃い星だ。 それこそ、名の由来になるほどに。 ヘルメス だが、宇宙全体でみれば…… 計算上、すべての質量とエネルギーの68.3%を、 デュナミスが占めると考えられている。 ヘルメス エーテルとは比べ物にならないほど大きいんだ。 それを自在に操れるとしたら……? ヘルメス 緩く流れる水では石を穿てずとも、 滝のように勢いをつければ、岩をも削っていくように…… デュナミスがエーテルに勝る力になるかもしれない。 ヘルメス ……とは言ったものの、実のところ、 自分はそんな大それた目的を持っているわけじゃない。 ヘルメス 天を、宇宙を翔ぶものを、創りたかった。 ヘルメス そのために、星外では補給しにくくなるエーテルではなく、 別の力を利用できるようにしてはどうかと考えたんだ……。 ヒュトロダエウス ああ、だからその子は、極端にエーテルが薄かったのか。 ヘルメス ご明察だ……。 メーティオン あなたも、薄いと感じる! だから、エンテレケイアの、仲間と思った……。 メーティオン ちがう……? ▼きっと仲間だ! エメトセルク いや、お前はそんな上等なものじゃなく、 消えかけのうっすら使い魔もどきだっただろう……。 素性は依然不明だぞ。 ヘルメス エーテルが薄ければエンテレケイアになるというわけじゃない。 だが、デュナミスに干渉しやすくなるのは確かだろう……。 ヘルメス それが、思いもよらぬ勝利や逆転に繋がるかもしれない。 君の特性として、大切にするといい……。 ヘルメス ああ、待たせたままになっていた……。 まだいくつか確認したいことがあるから、済ませてくる。 ヒュトロダエウス デュナミスやエンテレケイアについては、ワタシも初耳だよ。 「エルピスの花」が創造物管理局に申請されたのも、 ワタシが職に就く前だったんだろうね。 メーティオン エンテレケイアでも、なくても、わたしとあなた、薄い仲間。 はじめて会うから、嬉しい! ヘルメス こちらの用件も間もなく終わりそうだ。 『最良の貢献』 エメトセルク デュナミス…… まさか、この期に及んで認知していない力があるとはな。 しかも、星外ではそちらの方が多い……か。 エメトセルク もっとも、私たちは星とともに、星のために生きる存在だ。 エーテルが満ちているのにデュナミスを利用するなど、 確かに不条理でありえない話だ。 エメトセルク それはそれとして、ヘルメスの知識は目を見張るものがある。 現在の十四人委員会に天文の専門家がいないという点でも、 奴が次期ファダニエルになるのは悪くない…… エメトセルク だが、いかんせん、本人の気が進まないときた! 理由も、奴の中では筋が通っているのだろうが、 こちらには理解しがたい……。 ▼エメトセルク自身は、なぜ十四人委員会に? ヒュトロダエウス おおっと、その話を聞きたいかい!? エメトセルクが何を見込まれ、 どうして十四人委員会に入ったのか! ヒュトロダエウス いいとも、このワタシが説明しよう。 始まりは、そう………… エメトセルク やめろ、黙れ、お呼びじゃない。 エメトセルク 知るべきは私じゃなくヘルメスだ。 さあ、あいつの仕事ぶりを、引き続き視察していくぞ。 ヒュトロダエウス 恥ずかしがるような話じゃないんだけどなぁ。 Tobari、あとで機会があったら、 コッソリ教えてあげる エメトセルク …………なんだ。 知るべきは私のことじゃなく、 ヘルメスのことだと言っているだろう。 ▼十四人委員会について勉強したい エメトセルク どうした唐突に……。 だがまあ、無知なまま同行されるよりはいいか……。 エメトセルク 十四人委員会は、世界が正常に営まれ、 星がより善い未来へ進んでいくように、 諸々の大方針を決定する機関だ。 エメトセルク 名のとおり十四の座があり、 抜きんでた実力を持つ者が、それぞれ推薦によって就任する。 エメトセルク 座によって「特定の分野に長じている者が就く」ものと、 「特定の使命に対し、適した実力を持つ者が就く」 ものがあってだな。 エメトセルク 前者は、水棲生物創造の専門家が就く「ミトロン」の座、 陸棲生物の創造と畜産の専門家が就く「アログリフ」の座…… エメトセルク 菌類や植物創造の専門家が就く「ハルマルト」の座、 医療を牽引する者が就く「エメロロアルス」の座…… エメトセルク そして、創造魔法の基礎理論を追求し、 最高難度を誇る幻想生物創造を果たした者が就くことのできる、 「ラハブレア」の座などがそれにあたる。 エメトセルク 後者は、芸術を振興させる役の「ウルテマ」の座、 弁論と知識を充実させる役の「イゲオルム」の座、 規律の制定と秩序の維持を行う「パシュタロット」の座…… エメトセルク 冥界、すなわちエーテル界を見守る「エメトセルク」の座と、 物質界、すでに存在する物事の理を解明する、 「ファダニエル」の座…… エメトセルク そして、お悩み受付係の「アゼム」の座なんかだな。 エメトセルク ……そんなサラリと大事な話をしていいのか、だと? 寝ぼけたことを言うな、子どもですら知っている基礎知識だぞ。 しっかり頭に叩き込んでおくんだな。 メーティオン エンテレケイアでも、なくても、わたしとあなた、薄い仲間。 はじめて会うから、嬉しい! ヘルメス 待たせてすまない。 こちらが確認しておきたかったことは、 すべて確かめることができた。 ヘルメス アンペロスも、このままいけば、 無事に地上に放たれることになるだろう。 ヘルメス ただ……それとは別に、気がかりな話を聞いたんだ。 この近くで行われている「カリュブディス」の観察が、 思わしくない状況になっているらしい。 ヘルメス 次は、その現場に行ってみようと思う。 ヘルメス エメトセルクとヒュトロダエウスも、出発しよう! 天測園がある浮島、「ノトスの感嘆」の北側だ! エメトセルク 鳥……いや、蛇…… それともヒレを持つ海洋生物か……? ヒュトロダエウス カリュブディスだね。 だけど、個体ごとにエーテルの属性バランスが少し違う…… ヒュトロダエウス ということは、イデアをもとに創った第一世代じゃなくて、 そこから繁殖させたものかな? メーティオン こっちの子だけ、青くて、ぴかぴか……? ヘルメス カリュブディスの観察、ご苦労様。 一部の個体に問題が出ていると聞いたのだが……。 悩ましげな観察者 ええ……そうなんです……。 悩ましげな観察者 カリュブディスは、海洋生物をもとにしながら、 陸上で生活できるように構造を調整したもの。 風属性との親和性を高めることで、飛行が可能です。 悩ましげな観察者 イデアから創った個体には問題がなかったので、 繁殖させて経過を観察していたんですが…… 悩ましげな観察者 第三世代の中に、 海洋生物としての性質が強い個体が生まれたんです。 悩ましげな観察者 水属性に偏った分、風属性への親和性が弱まり、 何度試しても飛べなくって……。 悩ましげな観察者 第三世代でこの変化とは、ちょっと不安定すぎますね。 悩ましげな観察者 今回は見送りということで、一度全部「エーテルに戻し」ます。 風属性との親和性をさらに上げるよう、 創造物管理局を通じて、イデアの調整依頼を出そうかと。 ヘルメス …………確かに、水属性への偏りが強いことで、 ほかの個体よりも、風の制御が難しいのかもしれない。 ヘルメス だが、飛行能力がないと断定するには早すぎる。 失敗をしたことで、飛ぶのを恐れているのかもしれない。 ヘルメス 自分が「転身」してともに飛び、 その子がコツを掴むまで、魔法で風の制御を手伝おう。 悩ましげな観察者 えええっ!? い、いや……そこまでしなくとも……。 エメトセルク なんだ、「転身」を知らないのか? 知識が中途半端だな……。 エメトセルク 「転身」は大量のエーテルを使って、 己の身体の外に、もうひとつの身体を創ることだ。 エメトセルク 肉体という枷をなくし、望む力に適した形を得ることで、 能力は飛躍的に向上するわけだが…… エメトセルク それを他者の前で行うことは、力の誇示に等しい。 ローブを脱いで走り回るのと同等の、恥ずべき行為だ。 エメトセルク お前……普段からそんな簡単に、 転身するなどと言っているのか……? ヘルメス ち、違う……! 自分の転身は、風を操り、空を飛ぶのに都合がいいんだ! ヘルメス 観察ひとつに大袈裟だと思うかもしれないが、 カリュブディスたちにとっては、命が懸かっている事態だ。 ヘルメス こちらも最善を尽くして補佐をするべきであって、 それを恥ずべき行為だとは思わない……! エメトセルク いや、しかしだな………… ヒュトロダエウス ふむ…………。 ヒュトロダエウス だったらワタシに、いい案がある。 エメトセルクは、その飛べないカリュブディスを、 ほかの個体から離れた場所に移動させてくれないかい? ヒュトロダエウス ほかのみんなは、この場に残ってもらえるかな。 ちょっとした準備が必要だからさ。 エメトセルク ……どんな悪知恵を働かせる気だ? ヒュトロダエウス まっさかー! キミだって「ヘルメスが軽率に転身していた」なんて、 十四人委員会に報告しにくいでしょ? ヒュトロダエウス だから……ね? ワタシを信じて、さあ行った行った! エメトセルク ……こいつを借りていくぞ。 ヘルメス この短時間で名案が浮かぶなんて、 さすが創造物管理局局長だ……! メーティオン 登録、見送りなったら、 今のカリュブディス、みんな「死ぬ」になる……。 きっと、絶対、飛ばしてあげよう…… ヒュトロダエウス さて、エメトセルクは向こうに行ったね。 そこでワタシの考えた作戦なんだけど…… ヒュトロダエウス ズバリ、エメトセルクに、 カリュブディスの補助をやってもらうのさ! ヒュトロダエウス 彼なら、転身しなくても空を飛べるし、 風脈だって視えている。 ヒュトロダエウス カリュブディスの飛行を補助する風魔法だって、 適切に繰り出してくれるはずだよ。 ヘルメス それは、そうかもしれないが…… さすがに申し訳なさすぎるのでは……? ヒュトロダエウス 大丈夫、大丈夫! さっきも言ったけど、キミがヒョイッと転身してたって、 当代のファダニエルに報告するよりは、いくらも気が楽さ! ヒュトロダエウス いいかい、Tobari。 まずはキミが、エメトセルクに「頼みがある」と切り出すんだ。 ヒュトロダエウス すると彼は、まず間違いなく厭だと言うだろう。 それで怯んではいけないよ。 しつこく「お願いだ」と伝えれば……勝てる! ヒュトロダエウス よーし、それじゃあ突撃だ。 キミたちの健闘を祈っているよ! Tobari Seto 頼みがある エメトセルク い・や・だ・こ・と・わ・る!! エメトセルク ……いや用件は知らんが、 ろくでもない入れ知恵があったのは察したぞ。 諦めろそして別案で出直せ……! Tobari Seto お願いエメトセルク エメトセルク いや、だから私に言われてもだな……! ヘルメス 君ならば、そのカリュブディスが飛ぶのを助けてくれる…… 必ずそうしてくれるはずだと聞いた……! ヘルメス 偉大なるエメトセルクよ、どうか頼む。 その子に飛び方を教えてやってくれ……! メーティオン じゃないと、ヘルメス、 今からここで、だいたんに、転身する! ヒュトロダエウス おやおや、こうなったら、 手を貸してあげたほうが早いと思うなぁ。 エメトセルク 何が「おやおや」だ! 仕組んだのはお前だろう……! ヒュトロダエウス そんな人聞きの悪い。 ワタシはただ、そういう素晴らしい選択肢もあるって、 提示をしたまでさ。 メーティオン お願い、エメトセルク! エメトセルク はぁ……私は手伝いのために来たんじゃない。 それだけは、よくよく、覚えておけよ。 エメトセルク ……おい、地上からカリュブディスを飛ばすのはお前がやれ。 私が力を貸すのは、空中での補助だけだ。 ヒュトロダエウス それじゃ、ワタシたちは、このあたりから見物していようか。 ヒュトロダエウス さっきの質問だけど…… ほら、エメトセルクがなぜ十四人委員会に入ったのかって話。 ヒュトロダエウス 実は、最初に十四人委員会への誘いを受けたのは、 彼じゃなくワタシだったんだ。 エーテルを視る眼を買われてね。 ヒュトロダエウス ……でも、ワタシは断った。 確かに視ることにかけては人並み以上だけれど、 あくまでも視るだけだ。 ヒュトロダエウス エーテルを操作する方は、どちらかというと下手な部類なのさ。 実際、転身もできないしねぇ……。 ヒュトロダエウス 視て、識ることができても、 結果に対応するすべがなくちゃ仕方ないだろう? ヒュトロダエウス その点、エメトセルクは完璧だ。 エーテルが視えるだけじゃなく、それを自在に引き寄せて、 強大な魔法を使うことができる。 ヒュトロダエウス あれほど偉大な魔道士を、ワタシはほかに知らないよ。 ヒュトロダエウス だからワタシは彼を推したんだけど…… 彼を推薦する声は、ほかにもたくさん届いていたんだ。 それも、世界中からね。 ヒュトロダエウス なんでも、以前彼に手を貸してもらった人たちが、 「彼の実力は確かなものだ」って声を上げたらしい。 ヒュトロダエウス フフ……当人は驚いたんじゃないかな。 彼としては、人助けをしてたつもりなんて、 これっぽっちもなかったようだからね。 ヒュトロダエウス ……ワタシとエメトセルクには、 もうひとり、仲のいい友人がいるんだ。 ヒュトロダエウス それがまあ、なんというか面白い人でね。 やらなくてもいいことにイチイチ首を突っ込んで、 あわや大惨事! みたいなことが常で……。 ヒュトロダエウス エメトセルクは呆れてばかりだけど、 まあ……心配もしているわけさ。 ヒュトロダエウス だから呼ばれればついていくし、 必要だと判断すれば、助っ人に駆けつける。 ヒュトロダエウス 結果として、周りからは、 エメトセルク自身が人助けをしてるように思われたってわけだ。 ヒュトロダエウス 本当に、とびきり愉快な友人たちさ! ヒュトロダエウス 彼らの望みが叶うようにすること、 それがワタシにできる、最良の星への貢献だ。 ヒュトロダエウス エメトセルクは、 十四人委員会の座は命数に等しいというけれど…… ヒュトロダエウス だったらワタシの命数は、 友人たちのそれに等しいのだろうと思うよ。 ヒュトロダエウス いけないね、つい語っちゃった。 どうにもキミには親近感が湧いてしまうものだから……。 ヒュトロダエウス やっぱり、その色……キミの中にある色のせいかな。 これほど似ているのに違うものだなんて……そんなこと、ある? メーティオン すごい、カリュブディス、じょうず! ヒュトロダエウス うん、あれならもう大丈夫、飛ぶ練習は終わりでよさそうだ。 ヒュトロダエウス 近くまで行って、エメトセルクに手を振ってあげなよ。 終了の合図代わりにさ。 ヒュトロダエウス ほら、浮島の端まで行って、 エメトセルクに手を振ってあげなよ。 終了の合図代わりにさ。 メーティオン Tobari、みてみて! カリュブディス、すごいの! エメトセルクの魔法のおかげ! ヘルメス 飛べた……飛べたんだ、あれほど自由に……! 本当によかった…………。 エメトセルクが、こちらに気づいたようだ。 カリュブディスに指示を出し、ゆっくりと陸地に向かっていく。 ヘルメス ありがとう、エメトセルク。 カリュブディスが、君の適切な指導のおかげで、 あんなにも悠々と飛べるようになった……! ヒュトロダエウス 本当、危なげなかったね。 おかげで、のんびり休憩できてしまったよ。 エメトセルク よく言う……。 エメトセルク 最初の方こそ補助が必要だったが、 後半は、ほとんど自力で飛んでいた。 あの調子なら、今後は補助もいらないだろう。 悩ましげな観察者 みなさん、おつかれさまです……! 悩ましげな観察者 少し離れたところから見ていましたが、 このカリュブディスでも、しっかり飛べていましたね。 ヘルメス これで、水属性に偏ったカリュブディスにも、 飛行能力はあると実証された。 ヘルメス 今回は人が補助したが、彼らは群れを成す性質がある…… 経験が蓄積されていけば、同じような個体が生まれても、 群れの仲間が補助するようになるかもしれない。 ヘルメス その点もふまえて、もう少し観察を続けてほしい。 悩ましげな観察者 ヘルメス所長がそう言うのであれば……。 悩ましげな観察者 ただ、そういった可能性に賭けるよりも、 水属性に偏った「例外の個体」が生じないよう、 イデアを調整してもらう方が確実だと思うのですが……? ヘルメス …………すでに彼らはここにいるんだ。 まずは目の前のものと、徹底的に向き合ってくれ。 悩ましげな観察者 はーい、了解です。 メーティオン ヘルメス…………。 ヘルメス ……大丈夫だ。 ヘルメス さて……。 直近で予定していた仕事は、これですべて終了となる。 ヘルメス ここで一旦休憩にするにせよ、 別の仕事場を視察してもらうにせよ、 ひとまずは、アナグノリシス天測園に戻るとしよう。 ヒュトロダエウス なかなか興味深い視察だったよ。 最後はとくに……フフ、良い思い出になったとも! ヘルメス 今さらだが、こんな他愛もない仕事でよかったのだろうか……。 君は、退屈をしなかったか……? メーティオン お仕事、完了! 創造生物、今日はみんな元気で、よかった。 ヒュトロダエウス なかなか興味深い視察だったよ。 最後はとくに……フフ、良い思い出になったとも! ヘルメス 今さらだが、こんな他愛もない仕事でよかったのだろうか……。 君は、退屈をしなかったか……? メーティオン お仕事、完了! 創造生物、今日はみんな元気で、よかった。 エメトセルク …………なんだ。 無理やり手伝いをさせたことに、謝罪でもしてくれるのか? エメトセルク だとしたら不要だ。 私は手っ取り早い対処法として、手伝っただけだ。 断じて、お前たちの押しに負けたわけじゃない……。 『炎狼リュカオン』 ヘルメス Tobari…… こうして戻ってきたわけだが、 君の求めていた情報は、少しでも得られただろうか? ▼デュナミスの件が、関係あったかも…… ヘルメス デュナミスが、君の目的と関係しているのか……? それはまた、ずいぶんと珍しい案件のようだ。 熟練の観察者 おや、ヘルメス所長が、 ちょうどいいところにいてくださった。 ヘルメス ……自分に何か用だろうか? 熟練の観察者 いやね、またあの炎狼「リュカオン」が、やらかしたんですよ。 熟練の観察者 今日は野原に放って動向を観察する予定だったんですが、 あいつときたら、放った途端に大暴れ。 近くにいた怪鳥オキュペテを、片っ端から殺したんです。 ヘルメス 食事は十分に足りていたのだろうか? オキュペテから、リュカオンを挑発したりは? 熟練の観察者 そのあたりの不備はありませんよ。 単純に、リュカオンは気性が荒すぎる。 熟練の観察者 非常に完成された、美しい生物であることは間違いないので、 そういった報告を受けた上でも、 創造物管理局はイデアの登録に踏み切るでしょう。 熟練の観察者 ただ、あくまでイデアを保管しておくだけで、 実際に世界に放たれることはない…… そんなケースに落ち着くんじゃないかと思います。 熟練の観察者 エルピスにおいても、もう研究すべき点はありません。 間もなく、主担当のドーロスが、 観察用に創造したリュカオンを「エーテルに戻す」でしょう。 ヘルメス ……現場はどこだ? 熟練の観察者 そこの門を出て、道なりに南西へ…… しばらく進むと正面に見えてくるはずですよ。 ドーロスたちがまだ残っているかはわかりませんが。 メーティオン あっ、待って、ヘルメス……! エメトセルク これも奴の仕事なら、私には見届ける義務がある。 すぐに追いかけるぞ。 メーティオン 重たい想い、満ちてる……。 悲しくて、悔しい……きっとヘルメスの……。 ヒュトロダエウス この鳥……オキュペテも、決して弱い生き物ではないはずだよ。 ヒュトロダエウス 見てのとおり大型で、牛や馬に似た屈強な脚と、角を持つ。 それによって、鳥でありながら地上での戦いも得意とする…… というコンセプトだったはずだからね。 エメトセルク これはまた、ずいぶんと派手に暴れたな……。 当のリュカオンは、どこへ行った? ヘルメス 爪痕に噛み傷……それから火傷の痕…… 間違いない、炎を繰る狼、リュカオンにやられたんだ。 ヘルメス だが、リュカオンと、観察者たちの姿がない。 もう引き上げてしまったようだ。 ヘルメス 主担当を務める「ドーロス」は、 この先にある「十二節(じゅうにせつ)の園(その)」を観測拠点にしているはず。 自分はそこへ向かって、彼から事情を聞いてくる。 ヒュトロダエウス 一応、ワタシとエメトセルクで、 リュカオンが逃げ出したという線がないか視ておくよ。 そうだとしたら、危ないからね。 ヘルメス 感謝する。 のちほど「十二節の園」で合流しよう。 ヘルメス メーティオンは、Tobariの案内を。 君たちは焦らずに来てくれ……! メーティオン Tobari、一緒に行こう。 このまま南西、橋のむこうが、十二節の園! メーティオン この先が、十二節の園…… ヘルメスは、「ドーロス」探してるはず。 わたしたちも、探そう! メーティオン 「ドーロス」は確か、金の髪を束ねた、男の人。 観察者、いっぱいいるけど、ふたりでなら、見つけられるはず! メーティオン あっ、いた! ドーロス! 金髪を束ねた男性 うん? 誰かと思えば、メーティオンじゃないか。 お使いでも頼まれたのか? ヘルメス ドーロス、見つけたぞ……! ヘルメス 君たちも探してくれていたんだな。 聞き慣れた声がしたおかげで、彼に気づけた。 協力に感謝する。 ヘルメス 君は、炎狼リュカオンの観察を担当していたな。 彼らはどうした? ドーロス どうもこうも、あれだけ暴れちゃ、造物院に返すのも難しい。 ドーロス ひとまず魔法の檻に入れて、郊外に待機させてるが…… レポートを提出し次第、「エーテルに戻す」つもりだ。 ヒュトロダエウス 彼の報告に嘘はないと思うよ。 ワタシたちが視た結果と一致してるからね。 ドーロス 何だよ大勢で……! しかも、十四人委員会……!? エメトセルク いろいろと事情があってな。 だがお前が気にする必要はない、そちらの話を続けろ。 ヘルメス リュカオンが、オキュペテを殺してしまったと聞いた。 彼らの気性は荒く、世界に放つことは認められない……と。 主担当である君の見解も、そうなのだろうか? ドーロス ああ、リュカオンは他の生物に対して異常なまでに攻撃的だ。 そして、戦闘能力は大抵の種族を凌駕している。 ドーロス あんなものを世界に放てば、 どこであれ、先住の生物たちを根絶やしにするぞ。 ヘルメス 調べた個体が、偶然そういった性質だったという可能性は? ドーロス ないな、何体か創ってみたが、そこに違いは見られなかった。 ドーロス 「カイロス」で記憶を白紙化して、 学習過程や環境を変えてみてもダメだ。 エメトセルク カイロス……? ドーロス 記憶操作の機構だよ、ヘルメスが創り上げたんだ。 ドーロス あれを使えば、都度生物を創り直さなくても、 記憶を消したり改変したりして、 別の環境で育成した場合の観察ができるってわけさ。 エメトセルク なんてものを創ってるんだ……。 エーテルの放射量によっては、 パシュタロットがスッ飛んでくるぞ。 ヘルメス 法を犯してはいないはずだ……ギリギリ……。 それに、決して人に使うことのないよう、 所長権限で規制をかけている。 ヘルメス 記憶を操作するなど、到底好ましいことではないが…… 違う育成環境を試すために、創られた生物が殺められるのは、 どうしても看過できなかった……。 ドーロス 殺めるだなんて、大袈裟な! 「エーテルに戻して」改めて創造してるだけだろ? ドーロス 所長はどうもそこが気になって仕方ないらしいが、 俺たちがやってるのは、星を善くするための、大事な選定だ。 ドーロス 何回創り直してでも、しっかり観察すべきだし、 在るべきじゃないものは、きっちり消去する。 その必要性は、誰に問うても、議論の余地すらないと思うぞ。 ヘルメス ……わかっている。 自分だって、世界に脅威を解き放ちたいわけじゃない。 線引きはできているつもりだ。 ヘルメス だが、自分たちの判断ひとつに、 創られたリュカオンたちの命が懸かっているんだ。 ヘルメス 観察の不足や不備はなかったか、 考慮しそこねている可能性はないか、 念入りに確認すべきだ……。 ドーロス なら、詳しく報告をするから、一緒に検討してくれ。 ヒュトロダエウス その話し合い、ワタシたちも立ち会っていいかな。 エメトセルクの視察の一環としてさ。 ヘルメス ああ、もちろん構わない……。 ヘルメス 彼らを談話室へ……そこで話をしよう。 ヘルメス 自分の使命はわかっている。 だが、創造されたリュカオンたちの命に責任を持つことも、 エルピスで働く者の使命じゃないのか……。 メーティオン 人には、人ではないものが生きてること、わからない…… それは魔法と同じで、管理すべきもの……。 メーティオン ヘルメスは、それが…………。 『伝えたい気持ち』 ヘルメス そういうわけで、自分たちは話し合いをしてくる。 しばらく掛かりそうだが、君は…… ヘルメス ……メーティオン? どこか、具合が悪いのか? メーティオン つらくなってるのは、わたしじゃない。 わたしに流れ込んでくる、ヘルメスの心……。 メーティオン Tobari、わたし、あなたといる。 ヘルメスたちの話し合い、行かない……。 ヘルメス ……すまないが、任せてもいいだろうか。 ヘルメス ありがとう……。 それじゃあ、行ってくるよ。 メーティオン わがまま、ごめんなさい……。 だけど、一緒に、やってほしいことある……。 メーティオン ヘルメス、話し合い、多分とても悲しくなる。 だから優しいこと、嬉しいこと、歓び、探しておきたい……! メーティオン あのね、ヘルメス、いろんな知識あるけど、 エルピスにくる創造生物で、いちばん好きなの、 「花」なんだって。 メーティオン ほとんどの生物は、新しいこと、美しいこと、 優れていること、望まれる……。 メーティオン だけど花は今でも、 贈る相手や、伝えたい気持ちに似合うもの、創られる。 それが好ましい、ヘルメス言ってた。 メーティオン だからわたし、ヘルメスに花、贈りたい! 創るのはできないけど、あるものから選ぶはできる! メーティオン Tobari、わたしと一緒に、 ヘルメスに贈る花、探してください……! まず、園の中から……お願いします! 鮮やかな紫色をした大輪の花が、 あちこちの枝で咲き誇っている……。 メーティオン きれいだねぇ……! 明るい色、大きな花びら、とても華やか! メーティオン ……でも、ヘルメスには、ちょっと元気すぎるかも。 贈る相手を想うから、花、好ましいって言ってた。 別のも、探してみていい……? すらりと伸びた美しい樹だ。 メーティオンとともに、樹冠を見上げた……。 メーティオン ……花、ついてないね。 せめてリンゴがついてたら、砂糖どばどばにして、 ヘルメス大喜びだったのに……。 メーティオン うーん……。 次は、十二節の園の外、見てみよう! メーティオン 十二節の園の外にも、草花、たくさん! いいの、見つかるといいな……! 花畑の中で、花々が美しく咲き誇っている。 色の異なる花で、模様が描かれているようだ。 メーティオン これなら、さっきより、ヘルメスに似合うかも……? メーティオン だけど、花壇の中にあるのは、「触らないで」の意味。 観察に必要だったり、毒持ってる植物だったりする……。 メーティオン ほかのところに生えてる花、いいのあるかな……? もう少し、進んでみよう……! すぐ近くに、うねうねと妖しく動く、 妙に背の高い花が生えている……。 メーティオン この子は、コーネイオン! 動物みたいに、意志を持って、動く花! メーティオン よく、うしろ向いてるヘルメスに、種をぶつけて遊んでる! 贈りものには…………ダメだよね。 メーティオン それにしても、Tobari、よく見てる……! すごいね、一緒ならきっと、 ヘルメス嬉しいもの、探せるね……! メーティオン Tobariは、お仕事、何してる? 探すの上手で、観測者みたい! 小道が交わる地点で、あたりを見渡した。 ……どこにでもある雑草が、小さな花をつけているくらいだ。 メーティオン このあたりは、何も…………あっ!? メーティオン Tobari、すごいのいた! 西の方、道の先! 行こう! メーティオン 大物発見、見にいってみよう! けど、「あの子」に近づくときは、気をつけなくちゃだね……! あたりには、酷い悪臭が…… 雨に濡れたまま日陰に放置されたブーツの臭いが漂っている。 原因は、傍らに佇む、モルボルの一種と思しき生物のようだ。 メーティオン この子は、アドニス! 口の周りに、花びらみたいなの、ついてる! 頭についてるピカピカが、本当の花なんだって! メーティオン ヘルメス、最初にこの子調べたとき、 頭からパクッてされて、5日、部屋から出てこなかった…… どうかな!? 思い出深い!? ▼それは良くない思い出かなぁ…… メーティオン ダメかぁー……。 メーティオン うーん……贈りもの、難しいね……。 きれいなもの、おもしろいもの、たくさんあるけど……。 メーティオン Tobari、あと少しだけ、探していい……? もう少し島の外側、行って、 なければ、これまでのどれかにするから……。 メーティオン あなたは、誰かに贈りもの、したことある? わたし、そういえば、これが初めてかも……。 なんだか緊張、するね……! 浮島の外側に向けて緩やかな下り坂になっており、 青々とした草原が広がっている。 メーティオン ここの先なら、何かあるんじゃないかって、思ったんだけど…… メーティオン ……あれ? 今、茂みの向こう、光った気がする……。 何かあるのかな? メーティオン アナグノリシス天測園のある浮島と、 十二節の園がある浮島は、 あわせて、「ノトスの感嘆」なんだよ。 メーティオン 南風の化身ノトスが、「すごいねー」って感動するほど、 美しい場所だ……ってことなんだって。 前に、メムノンから習った! メーティオン これ、エルピスの花……! ここにも、咲いてたんだ……。 メーティオン ……ヘルメスはね、この花のこと、 好きだけど、好きじゃないみたい。 メーティオン わたしと同じ、エンテレケイア。 だから、ヘルメスの苦しい気持ちを感じ取って、 暗い色になっちゃう……。 メーティオン ほかの人が近づいても、いつも、きれいな白のまま……。 ヘルメスは、それが哀しくて、寂しいみたい……。 メーティオン 本当……!? あなたのいた場所では、不安の暗い色、してたの!? メーティオン じゃあ、あなたにも、何か…… この花を暗く染めるような想い、ある……? ▼不安に感じていることがある メーティオン ああ……そうなのね……! メーティオン 思い浮かべるだけで、胸が重くなるようなこと、 ヘルメスにもある…… だけど、周りは、そうじゃないみたいなの……。 メーティオン Tobari……お願い……。 あなたの、その不安を、一度だけ貸してください……! メーティオン この花を暗い色にして、ヘルメスに見せてあげたいの。 メーティオン ヘルメスは、わたしを創ったときからずっと、 ひとりで思い悩んでるから…… 暗い色、わかちあうの、必要だと思う……。 メーティオン いいの……? メーティオン ありがとう……ありがとう、Tobari! ああ……言葉、下手なのが、こんなにもどかしいなんて! メーティオン それじゃあ、十二節の園で、話し合い終わるのを待って、 ヘルメスをここに連れてこよう。 きっと、驚くね! メーティオン まだ、話し合い、続いてるみたい……。 わたし、あなたと一緒に、待つ! メーティオン ヘルメス! ヘルメス ふたりとも、待っていてくれたのか……? メーティオン 話し合い、終わった……? ヘルメス ……ああ、結論は出した。 ヘルメス メーティオンを見ていてくれて、ありがとう。 ヘルメス エメトセルクとヒュトロダエウスには、 中にある客室で、そのまま休んでもらうことになった。 ヘルメス 君にも部屋を用意させてもらう。 案内しよう……。 メーティオン 待って、案内、わたしたちが先! ヘルメス エルピスの花……? メーティオン お願い……! メーティオン 暗い気持ち、寂しい色、ヘルメスだけじゃない……。 だから……ダメ、ちがう……。 ヘルメス そうか、君は、メーティオンの頼みを聞いてくれたのか……。 ヘルメス よければ、少し…… 話をさせてもらえないだろうか……。 ヘルメス 自分は……人に定められた生き方を…… 星のために生きるということを、悪いとは思っていない……。 ヘルメス だが、ここで働いていると、 どうしようもない違和感に襲われることがある……。 ヘルメス ファダニエルの座についての話を受けたとき、 ヒュトロダエウスが言っていたことを覚えているか……? ヘルメス 死とは、やりとげた者が選ぶ選択であり、 最期の瞬間はいつも、美しいものだと……。 ヘルメス だが、それはあくまで人の話だ。 ヘルメス 創られた生物が星の益にならないと判断された場合、 彼らは問答無用で消される……死を与えられる……。 ヘルメス 生まれたばかりで、何も成し遂げていなかったとしてもだ。 ヘルメス 処分の際は苦しませないようにしているが、 死を与えられることを察した生物たちは、怯え、憤る。 その終わりは美しいものなんかじゃない……。 ヘルメス ……だが、そんな事実を、誰も気にしていないんだ。 ヘルメス 星を善くするという目的は当然すぎるほどに当然で、 誰しも疑うことなくそれを信じ、行っている。 ヘルメス 自分の前には……死にゆく生物たちの瞳には…… 哀しみも、絶望も、理不尽への怒りも確かにあるのに……。 ヘルメス この世界は、素知らぬ顔で幸せそうに笑い続けるんだ。 エルピスの花はいつだって、 無垢な白と、明るい歓びの色に輝いている……。 ヘルメス そのことへの違和感が……何か、暗いものが…… 日に日に胸の内で膨れ上がっているんだ……。 ヘルメス 周りにおかしいと叫んでやりたくなる一方で、 おかしいのは、こんなことを思う自分じゃないかと…… 怖ろしくなってくる……。 ヘルメス だが、この世界で哀しみを知るのは…… エルピスの花をこんな色に染めるのは、自分だけじゃなかった。 ヘルメス 花の傍らで何を思ったのかは聞かない。 もしかしたら、メーティオンにせがまれて、 仕方なくやってくれたことかもしれない。 ヘルメス それでも……ありがとう……。 ヘルメス こうして確かに哀しみがあり、怒りがあり、苦しみがある。 その事実を知っていてくれることが……こんなにも優しい。 ▼どういたしまして ヘルメス 君は、変わっているな……。 こんな話、眉を顰められるかと思っていたが……。 ヘルメス 君は、天に輝く星の正体を知っているか? ヘルメス ここからじゃ、ちっともそうは見えないが…… あのひとつひとつが、アーテリスと同じ、 あるいはさらに大きな大地でできている。 ヘルメス ……これだけの数だ。 自分たちは星のために生きているが、 別の価値観を持つ生命もいるだろう。 ヘルメス 自分は、彼らに問いかけたい。 彼らがなぜ生きるのかを……命の意味を。 ヘルメス だから、デュナミスで天を翔ぶ鳥、 メーティオンを創ったんだ。 ヘルメス 実のところ、メーティオンというのは、 ここにいるひとりだけじゃない……。 ヘルメス 彼女には大勢の姉妹たちがいて、すでに宇宙へ飛び立っている。 意思を持つ生命を探して、星から星へと翔んでいるんだ。 ヘルメス 宇宙の探索は予想外のできごとの連続で、 思ったような成果が上げられていない……。 ヘルメス だが、そろそろ…… 次こそは、何かしらの結果が報告されそうなんだ。 ヘルメス もし、君がここに滞在している間に、報告が届いたなら…… この夜のお礼に、きっと共有させてくれ。 ヘルメス ……さて、これ以上夜が深くなる前に帰るとしよう。 明日、そろって寝ぼけた顔をしていては、 エメトセルクたちに申し訳が立たない。 ヘルメス メーティオン、そろそろ戻ろう! メーティオン はーい! エメトセルク ああ、お前か……。 私たちが話し合いに立ち会っている間、 問題を起こしたりはしなかっただろうな? ヒュトロダエウス キミも少しは休めたかい? それほどエーテル量の少ない身体じゃ、疲れるでしょ。 休憩をしたかったら、遠慮なく言うんだよ。 メーティオン ヘルメスに、あの花を見せられて、よかった…… どうもありがとう、Tobari。 メーティオン ……これで、今日、乗り越えられるといいな。 『結論と責任』 ヘルメス みんな、休息は十分だろうか。 ……これより、次の仕事に向かう。 ヘルメス 立ち会っていたエメトセルクとヒュトロダエウスは、 すでに知っていることだと思うが…… 先の話し合いで、リュカオンの処遇が決まった……。 ヘルメス エルピスに現存する、 観察用に創造されたリュカオンは、7体……。 ヘルメス そのすべてを…………消滅させる。 ヘルメス ドーロスの観察は、正しく行われていた。 彼の導き出した結論に、誤りはなかった…… 自分は、エルピス所長として、それを認めなければならない。 ヘルメス リュカオンを解き放てば、 周辺の生態系を破壊し、やがては自身も死滅する……。 世界のどこに移送することも、エルピスに残すこともできない。 ヘルメス せめてそのイデアを、制約のつく危険生物として残せないか、 創造物管理局に提言するつもりだ…… ヒュトロダエウスも、それは支持すると約束してくれた。 ヘルメス だが……いずれにせよ、 現存する個体は消し去らなければならない。 ヘルメス すでに、主担当であるドーロスが、 リュカオンたちを観察拠点から離れた場所に連れ出している。 ヘルメス 自分は、そこに合流して……見届けるつもりだ……。 人の……己の行いの……結果として……。 エメトセルク お前がそう決めたなら、私たちも付き合うだけだ。 ……視察をするのが役目だからな。 ヘルメス ああ、行こう……。 ここからだと、大橋を越えた先にいるはずだ……。 ヘルメス ドーロス! 大丈夫か、いったい何が……!? ドーロス ハァ……ハァ……しくじった……。 ドーロス 強固な「鎖」の魔法で、リュカオンを繋いでおいたんだが…… こいつらが、今までにないくらい、暴れ出して…… 魔法が、千切られたんだ……! ドーロス とっさに、4体は討ち取った……。 だが、残りの3体に……逃げられて……。 ヒュトロダエウス ……視えた。 2体は、十二節の園の方角、上空だ。 エメトセルク 最後の1体は、まだこの先の草原に留まってるな……。 エメトセルク お前とTobariで、草原の方に対処しろ。 十二節の園の方は、私が引き受ける。 ヘルメス ……了解だ……恩に着る。 ヒュトロダエウス ワタシも、微力ながら手伝うよ! ヘルメス 君はここで、ドーロスと一緒に待っているんだ。 メーティオン でも、ヘルメス……! ヘルメス …………リュカオンを倒すことになる。 そのときの気持ちを、君まで味わうことはない。 ヘルメス 君にも、無理強いはしない。 それでも協力してくれるのなら……追ってきてほしい。 ヘルメス ……ありがとう……それに、巻き込んですまない。 ヘルメス リュカオンは、この先だ。 見てのとおり宙に浮いた状態…… うまくやらないと、空を駆けて逃げるだろう。 ヘルメス 作戦がある…… 君はリュカオンの正面に出て、注意を引いてくれ。 ヘルメス 彼らは炎狼の異名で呼ばれるとおり、炎を吐く。 君にも、火球を飛ばしてくるはずだ……。 ヘルメス 申し訳ないが、それに耐えて、正面に立ち続けていてくれ。 リュカオンの警戒が君に集中したとき…… 自分が魔法で不意打ちをかけよう。 ヘルメス ………………よし、行動開始だ! ヘルメス すまない……すまない……本当に……! ヘルメス どうか、どうか君の魂が安らかであらんことを……。 ヘルメス 魂の寄る辺の海が、深き冥界が、穏やかであらんことを……。 ヘルメス 君たちのイデアは、必ず残す……。 それがいつか……いつかはまた形を得るだろう……。 ヘルメス 星を善くしなくたっていいんだ…… 君の、生きたいという願いが……そのときこそ……どうか……。 ヘルメス 恨んだまま、赦す必要はない。 その証に、苦しみはここへ置いていくといい……。 ヘルメス 次に生まれるときにはきっと…… 思うがまま、大地と空を駆けまわってくれ。 エメトセルク ヘルメス、十四人委員会に入れ。 エメトセルク ……この場所は、お前には向いていない。 ヘルメス 自分がここを離れたって、誰かが選別を続ければ同じことだ! ヘルメス 教えてくれ……! 星を善くするという名分は、今消えた吐息よりも重いのか!? ヘルメス やり遂げた者が死ぬというなら…… いつか星が最善に至ったときに、どうする。 よくやったと満足して、死に絶えるのか!? ヘルメス …………わからないんだ。 ヘルメス ファダニエルの座を継げば、 今その座にいる彼が星に還るのを、肯定することになる。 ヘルメス それが正しいことなのか、わからない……。 ヘルメス こんなことで悩んでしまう自分が…… 人の代表として立っていいのか、わからないんだ……。 メーティオン ヘルメス……ッ! メーティオン 怒らないで……責めるは、ダメ…… とても、苦しい……。 ヘルメス ……すまない。 ヘルメス まだ選べる余地が残っているなら、 少し、頭を冷やして考えさせてほしい。 ヘルメス ヒュトロダエウス。 すまないが、案内は君に任せた……。 ヒュトロダエウス ……了解。 好きにさせてもらうから、心配ないよ。 ヘルメス 君も……。 ここに来た目的が果たせることを願ってる。 ヒュトロダエウス ワタシたちは、ひとまず十二節の園に戻ろうか。 このあとどうするか、そこで相談しよう。 エメトセルク そうだな……。 ヒュトロダエウス ここで一段落といこうか。 キミも、突然のことばかりで驚いただろう。 怪我はしていないかい? エメトセルク 私たちが合流した時点でヘルメスも察していただろうが、 残り2体のリュカオンへの対処も、すでに終わっている。 エメトセルク これで、この件は終了だ。 あとはいつもどおりに事が進んでいくだろう……何もかもな。 エメトセルク ……ヘルメスの考えは、理屈としては理解できる。 素晴らしい終わりだったとしても、知人が星に還ったあとに、 ふと寂しく思うようなことはあるからな。 エメトセルク だが、何かを喪ったことで、 あれほど深刻に悲しんで、取り乱した経験はない。 ……どんな想いなんだろうな、あれは エメトセルク ヘルメスに掛けるべき言葉さえ、正直、見当がつかん……。 あいつが、あれ以上塞がないといいんだがな……。
https://w.atwiki.jp/14log/pages/29.html
メインクエスト クロニクルクエスト サブストーリークエスト その他 メインクエスト 蒼天のイシュガルド 1 + 開く イシュガルド編1 イシュガルドへ サブクエスト 壮麗なる皇都 わだかまる雲霧 サブクエスト クルザス西部高地編1 鷹の巣 ゼーメル家の大工 征竜将の彫像 届かぬ届け物 哨戒部隊を捜索せよ! 足跡が導く再会 目の曇り、今は晴れ アバラシア雲海編1 雲上の騎兵団 困ったヤツのあしらい方 対するはバヌバヌ族 マリエルの憂鬱 湧水のクリスタル 雲海より現れしもの 困ったヤツの称え方 イシュガルド編2 蒼天の騎士 教皇トールダン7世 ウルダハの今 ラウバーンを追って ラウバーン奪還作戦 冒険者たちの決断 アルフィノの策 クルザス西部高地編2 イゼルを探して 異端者の遺した物 円形劇場の激闘 嗚呼、聖フィネア連隊 千年の裏切り 高地ドラヴァニア編 対話への旅路 襲いくるグナース族 竜の棲む塔 はみだし者の好物集め 分かたれし者たち グナース族の神 危険な賭け 武神降臨 Lv.53「真ラーヴァナ討滅戦」 ドラヴァニア雲海編1 霊峰を越えて Lv.53「霊峰踏破 ソーム・アル」 意外な姿 雲海のモーグリ族 モグタンの試練 モグムグの試練 モグポンの試練 モグリンの結果発表 カヌ・エ・センナの懸念 雲海にかける橋 それぞれの想い 幻想を砕く真実 蒼天のイシュガルド 2 + 開く ドラヴァニア雲海編2 竜の巣 風壁を切り裂く秘策 砂都からの報せ ウルダハの目覚め 真の友 血戦を前に 邪竜狩り Lv.55「邪竜血戦 ドラゴンズエアリー」 竜詩の始まり イシュガルド編3 皇都騒乱 アイメリクの決意 抵抗組織との接触 ツケの回収 悲しき昔話 懐かしき香り 長耳の行方 変革への一歩 ただ盟友のため Lv.57「強硬突入 イシュガルド教皇庁」 真の変革 アバラシア雲海編2 新たな蛮神を追って いざ高空層へ 教皇の行方 大らかなズンド 白鯨の伝説 魔大陸の鍵 Lv.57「真ビスマルク討滅戦」 北方より来たりし者 己が信念を胸に 機工師の見解 エーテルを辿って 地脈を彷徨い ヤ・シュトラ 低地ドラヴァニア編 いざ、シャーレアンへ イディルシャイア 廃都の初仕事 無手勝流の知人 マトーヤの洞窟 隠者マトーヤ 禁書庫に眠る論文 Lv.59「禁書回収 グブラ幻想図書館」 エーテルラムを造れ 灯されし希望 アジス・ラー編 その翼、エクセルシオ アラグの遺産 誘導を信じて キメラの棲む島 青き鎧の猛者 翼、広げて 蒼天のイシュガルド Lv.60「蒼天聖戦 魔科学研究所」 Lv.60「ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦」 竜詩戦争完結編 + 開く パッチ3.1「光と闇の境界」 蒼天の未来 対話の再開 心強い助っ人 水晶の目 その先に待つ者は 迫り来る闇 揺れる皇都 光と闇の境界 パッチ3.2「運命の歯車」 遠海からの報せ 星の呼び声 哀しみを抱いて 和平への期待 ただいま警備強化中! 楽しい宴 償うべきは その者の選択 四国合同演習 光さす明日へ 運命の歯車 パッチ3.3「最期の咆哮」 ふたつの魂 決戦に備えて 聖竜の試練 ただ盟友とともに フォルタン家の人々 最後の咆哮 竜詩戦争戦後編 + 開く パッチ3.4「魂を継ぐ者」 戦う者たちの休息 天険の谷へ ルヴェユールの双子 コボルト騒動 岩神を喚ぶ声 星影に雫れて 懐郷の民 真なる革命者 絡み合う宿命 魂を継ぐ者 パッチ3.5「宿命の果て」 ギラバニアからの報せ イシュガルド代表使節団 四国会合 終わりの始まり 悲しみを背負って 想定外の協力者 珍客来る オメガ起動 宿命の果て クロニクルクエスト 機工城アレキサンダー + 開く 古の神々 + 開く シャドウ・オブ・マハ + 開く サブストーリークエスト ヒルディブランド 蒼天編 + 開く 聖アンダリム神学院記 + 開く 竜詩戦争 番外編 + 開く 異邦の詩人 + 開く アニマウェポン + 開く 蛮族エクストラストーリー 蒼天編 + 開く イシュガルド復興:ストーリークエスト + 開く イシュガルド復興:サブクエスト + 開く その他
https://w.atwiki.jp/toriaezu_tori/pages/32.html
ソロ前提1stキャラ。 とりあえずチュートリアル終わらせて29~32までするのは大前提で。 30~50 ステ:MAG極 狩場:サウスD1F ロボとブロックスが良い感じにMDEF低いのとフィールド属性と弱点が合ってるのでか なりの背伸び狩りが可能。 RX1は足遅いので逃げ撃ちも可。 ブリキングはM.DEF高いので範囲に巻き込まないように注意。 スペルキャスター来たら諦めましょう^q^ 50~75 ステ:MAG極余ったらDEX 狩場:光の塔メインフロア バットが詠唱反応なのとコダマーがアクティブなの注意。 機械系相手に風ブラスト引き撃ちが美味しいです。 これ以降はPの効率にはソロでは勝てません^q^ 野良とかでDD大陸逝きましょう。 As狩場 ~20 ノーザンシティ前。 火ブラストで一確。 火力足りなかったらSU使いましょう ~40 イーストDでからすとカカシ。 火力(ry 40~ イーストD蛙地帯。 火力(ry 50~60 AAでコニグラス。 GF連打。 62~72 海底洞窟。 リザ$とディバ皿作っとくだけで安定さが全く違う感じ。 全体的に硬いけどSU使って背伸び狩りが美味しい。 くらげにつっこむときは盾+アンプリ必須。 72~ DD大陸 F4でオーラ+アシッド耐久やるか5FでLFゲーの二択。 93~ DD氷結 祈り+LF+SU+盾 正直$いないと厳しい。 うまくやれない人だったら素直に野良推奨。
https://w.atwiki.jp/ff14-etheirys/pages/194.html
【ボボラン】 Bobolan 種族 ララフェル族?(デューンフォーク?) 性別 男性 場所 クエスト サブクエスト「流行色は夢の彩り」 錬金術師ギルド?のメンバー。 寝食を忘れて錬金術の研究に没頭している。 ※文章の著作権は当wikiにあります。内容の複写、転載を禁じます。 © SQUARE ENIX